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死を見つめる火葬場(ネパールより)

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死体が焼かれる火葬場が見れる場所といえば、
ガンジス川のあるインドのバラナシを
思い浮かべる方が多いと思う。

私はバラナシに行ったことがあるが、
私の記憶では、近くではっきり見える場所はなく、
自称ガイド野郎がわんさかつきまとい、
火葬が見える場所を法外な値段で案内する、
といったことが横行していたように思う。
もちろん写真撮影も禁止だ。
※私が訪れた時の記憶なので、現状は違うかもしれない。

ネパールのカトマンズにも、
川沿いで火葬を行い、
それが見れる場所がある。
ヒンズー教寺院のパシュパティナートという場所だ。

ここはガイドブックにも載っていて、
観光客もわんさか来る場所なのだが、
インドよりも火葬の様子がはっきり見えるのだ。

死体が置かれて焼かれる場所は、
寺院内にありヒンズー教徒以外は立入禁止なのだが、
その対岸は観光客も入場料250ルピー(約300円)払えば、
入ることができ、
対岸からばっちり火葬している様子が見えるのだ。

しかもビデオやカメラの撮影が禁止ではない。
インドのバラナシのように、
カメラを持っているだけでトラブルになりそうな、
そういう気配はない。

偶然、私が訪れた際、
一般用の火葬場ではなく、金持ち用の火葬場で、
死体が運ばれ焼かれる場面に遭遇した。

対岸にはカメラかかえた欧米人観光客や日本人観光客ほか、
地元の人たちも興味深くその様子を見守っている。
火葬場は通学路にもなっているのか、
学校帰りの子供たちも歩いている。
こんなに“死が近い”場所というのは、
とても珍しいのではないか。

死を見ること、死を撮ることは、
禁止されていなくても、
不謹慎であるかもしれないけど、
死とは誰にでも生きている以上、
避けられないことで、
生きている間にはいろんな人の死に、
遭遇しなければならないことを考えると、
死から目をそむけること、死を隠すことより、
“観光”という形といえども、
死を見つめることは大事なことのような気もする。
生きた犬が売られたり(韓国)、
生きた豚や鳥が売られたりする(ベトナム)、
市場が誰の目にもふれられるように。

ただ火葬場を見たからといって、
すごいかといえば何にもすごくはないし、
見れば必ず哲学的な思索ができるわけではない。

私の場合、バラナシでも見て、
パシュパティナートも以前、来たことがあるせいか、
死体が焼かれる場にそれほどの衝撃があるわけでもなく、
冷酷かもしれないけど、
死体が単なる“物体”にしか見えなかった。

ただ、ここにいる間、
延々と流れてくる死体が焼かれる煙が、
自分の体中にまとまわりついてきて、
その煙と臭いがしみこんでいくことが、
逃れられない死のリアルを感じた瞬間だった。

火葬場を見たいなら、
インドではなくネパールへ行くとよいと思う。

by kasakoblog | 2009-05-08 00:05 | 旅行記

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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