2009年 06月 30日
1Q84読みました!
100万部も突破したという大ベストセラーとなった、
村上春樹5年ぶりの書き下ろし新作「1Q84」読みました!

一言で感想言うなら、
おもしろいけど、文庫で十分。
です。

村上春樹的世界観が好きな人は買えば、
存分に楽しめるでしょう。
しかし、単に流行っているから、
大ベストセラーになっているから、
周囲についていくために読んでおかねば、
みたいな理由で読んだ人の多くは、
期待はずれと感じるのではないか。

総ページ1055ページ。
上下巻あわせて3780円。
金額も高いし、読むにも時間がかかる。
それほどの価値があるかといえば、
多くの人にとっては、ない。
100万部売れるほど万人受けする作品では決してない。

私は借りて読んだ。
読んだ後、そこそこおもしろかったなという余韻は残った。
だけど、自分で3780円出して買う本かといったら、
間違いなくノーだろう。
文庫が出たら買って再読してもいいかなとは思うけど。

私はハルキストでもないし、
すべての村上春樹作品を読んでいるわけではないので、
正確なことはわからないけど、
結局、5年ぶりの新作だって、
過去の作品のなんだか繰り返しを読まされているような、
そんな気がしてしまう。

私の個人的好みだが、
「海辺のカフカ」や「アフターダーク」より、
はるかにおもしろい素晴らしい作品ではある。
ただ私が大好きで、ぜひみなさんにも読んでほしいと思う、
「国境の南、太陽の西」「神の子どもたちはみな踊る」「ノルウェイの森」
に比べたら、あまりおもしろいとはいえない。

村上春樹っていい意味でも悪い意味でも特徴があるから、
批判しようと思えばいくらでも批判できるし、
絶賛しようと思えばいくらでも絶賛できる。

そこで絶賛評と批判評を書いてみよう。

<下記、ネタバレしないように注意し、
ほとんど作品の内容には触れないようには書いていますが、
厳密なネタバレが嫌な方はご注意ください>

・絶賛評
現代社会に生きる彷徨える人たち、
とくにちょっとした心の病や、
何かしらのコンプレックスを持った人や、
消極的で行動に移せない人たちにとって、
行動しよう!運命に向かい合って生きていこう!
自分の運命から逃げてはいけない!
みたいな、前向きなメッセージを、
巧妙で不可思議な物語世界を用いて教えてくれる、
現代人が今、最も必要とされる書。

・批判評
結局言いたいことは、
自分の運命から逃げず、前を向いて歩いていけ、
ということだけ。
たったそれだけのことを言うために、
1055ページも使い、3780円もかけて、
音楽や文学のうんちくを聞かされ、
クールな現代人の生活スタイル話を延々読まされ、
人を煙に巻くような、
暗喩だかなんだか知らないけど、
わかったようでちっともわからない、
不思議な世界を延々語られ、
結局は今の世の中でありもしない、
純愛のために生きると、
遠回りしても自分自身に素直になれば、
最終的には結ばれるみたいな、
「そんなこと言わなくてもわかるよ!」
みたいな1点を聞かされるだけの、
ディレッタンティズム的うんちく物語。
※ディレッタンティズム:芸術や学問を趣味や道楽として愛好すること。

絶賛評も批判評もどちらにでも書ける本。
これすなわち村上春樹的物語だから。

<こんな人は読まない方がいいです>
・物語のストーリー重視
→村上春樹に明快なストーリーを期待してはならない。
・テンポ重視派
→上巻はとにかくちんたらしてます。
テンポが早いのが好きな人には、
苛立ちだけでなく怒りすら覚えるかもしれません。
・キャラ重視派
→村上春樹作品に出てくる登場人物は、
全部村上春樹自身です。
はっきりいってどれもキャラは一緒。
クールでかっこつけで、真面目で不器用。
さまざまなユニークなキャラは出てきません。

<こんな人は読むとおもしろいかも>
・脱線気味でも言葉遊びを楽しめる人
ふんだんに遊びの要素が入った、
実に巧みな文章は物語として楽しむというより、
文章自体を楽しみたい人にはよいでしょう。

・物語の結末をはっきりつけてほしくない人
著者がストーリーを完全に描ききってしまうのではなく、
ぼんやりとした世界観だけが描かれ、
なんとなく結論めいたような一歩手前まできて、
あとはどうなったかよくはわからないけど、
その物語の余韻だけが残って、
あとは読者が想像できる楽しみを残している作品ではあります。
そういうのが好きな人は最適!

・ファッションとして読む
村上春樹を読むこと自体が、
ある種のファッションと捉えることもできる。
おもしろい、つまらない関係なく、
村上春樹が何を書いているか、
その知識を得るためだけに読むという読み方も、
この作家の場合にはありなような気がします。

長々と書きましたが、
一言でいうなら、おもしろいけど文庫で十分な本です。
決して100万人から絶賛される本ではない。
書評を見ても、結構、意見がわかれていて、
高い評価にも低い評価にもそれぞれうなづける、
そんなわりと両極端な内容ではあります。

どうしても今、読みたい。
こんな人は読むとおもしろいかも、
にあてはまる人だけ読むとよいかと思います。

かさこアマゾンレビュー(現在レビュアーランキング288位)


by kasakoblog | 2009-06-30 18:45 | 書評・映画評


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