2009年 07月 08日
人間兵器の飛行場跡・鹿児島知覧を訪ねる
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本州最南端の飛行場・知覧。
日本が敗戦濃厚な終戦間近に、
沖縄戦の特攻隊の拠点として、知覧に飛行場が整備された。
ここから1000名以上の若者が飛び立ち、
国家のために“犬死”を強いられた。

特攻隊。
完全玉砕である。
戦いは生き延びてこそ“勝利”といえようが、
特攻隊は生き延びることを許されない。
死ぬことが最大の使命なのだ。

爆弾をたっぷり積んで、
敵艦隊に飛行機ごと突っ込む。
自分は間違いなく死ぬが、
相手に壊滅的な打撃を与えられる可能性がある。
人間兵器といっていい。
(残念ながらほとんど打撃を与えられず、
相手の銃撃乱射にあって散っていくことも多かったようだ)

知覧には、特攻隊として飛び立った人たちの、
膨大な手紙=遺書が残され、展示されている。

その中の1つ。
「必沈」
必ず沈む。
なんという言葉だろう。
生きることは許されない。
死ぬことが、沈むことが成功という、
なんとも悲惨な使命。

しかし手紙の言葉に、自らの運命を呪う言葉は一切ない。
むしろ国家のために自分の命が役立つと信じ切っている。
無論、内心はわからないし、
時代から考えて、
国家を呪うようなことなど書けるはずもないが、
国家の“洗脳”によって、
特攻隊として命を捧げることが、
崇高な任務と信じた若者も多かったはずだ。

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家族のため、国家のために、俺は死ぬ。

なんだかカッコイイ言葉で“騙され”そうだが、
ようは国家の“欺瞞”に利用されただけだった。

しかし時代とは恐ろしい。
騙されたとか欺瞞とか言えるのは、
時代を振り返ってから言えることであって、
当時、お国のために死ねることは、
それこそ最高の幸せとすら、
信じていた人も多いのではないか。

戦争そのものが悪だとしても、
もし仮に戦い方に良いものと悪いものがあるとするなら、
大事な国民=兵隊を生き延びることをさせない、
特攻作戦ってなんとも残虐な行為であろうか。

国家は国民がチェックしないと暴走する。
ほんのささいなボタンのかけ違いから、
「おまえ死ね!」
「ハイ!最高の幸せです!」
といった会話が当たり前になってしまう社会に、
いつの時代もなりかねない。

人間という存在自体が愚かであるように、
愚かな人間が作った国家自体も愚かになりかねない。

「愚かな国家だろうが自分には関係ない」

そういう態度こそが、
国家から自らに刃をつきつけられることを、
促しかねないのだ。

自ら国家のために死ぬことに、
何の疑問も持たない若者たちの言葉(遺書)の数々。
そこから私たちは「かわいそう」「悲惨な時代だったね」
だけで片付けていいのだろうかと疑問に思う。

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私はこれらの遺書を見て、
国家洗脳の恐ろしさを感じた。
洗脳されてしまえば、
自ら死ねという命令にも、
喜んで受けてしまうという恐ろしさ。

それと同時に、洗脳される前に、
どこかで誰かが道を踏み誤るのを、
とどめる術はなかったのかとも思う。

いや、当時の国民は、
イヤイヤ軍国主義の道を選ばされたのではなく、
不景気を脱するための軍国主義、
国家発展を遂げるための軍国主義、
欧米に負けない軍国主義を、
どこか心の奥底で望む気持ちがあったからこそ、
このような国家ができてしまったともいえる。

知覧に残された遺書の数々は、
ほんの70年前の日本の姿に他ならない。
「100年に一度の危機」なんて騒いでいるけど、
70年前に日本はそれこそ国家滅亡、国民滅亡の危機に、
さらされていたといっても過言ではない。

僕らは戦争を実体験として知らない。
だからこそとんでもない、
道の踏み外しをしてしまう危険性がある。

ぜひ一度、鹿児島の知覧特攻平和会館に、
行ってみるといいと思う。
国家に死ねといわれた若者たちの最後の言葉は、
どんなものだったのか、
その信じられない言葉の数々を見れば、
道を踏み外した国家の恐ろしさを、
実感として感じることができると思う。


平和はただではないし、誰かが勝手に与えてくれるものではない。
不断の努力によって作り上げていくものだ。

近い将来、日本は大きな岐路に立たされる。
今の“平和”憲法を、自分たちだけが守っていれば、
世界が平和じゃなくても自分たちは平和でいられる、
という幻想が打ち砕かれ、
何らかの選択を迫られることになるだろう。

その時に、ただ平和憲法さえ守っていれば、
平和なのだという楽観論ではなく、
平和を守るためには北朝鮮への先制攻撃が必要だという、
過激な軍国主義ではなく、
その両者の中間にあって、
一人一人の平和、自国の平和、世界の平和、
すべてにつながる平和になる最善の方法とは何かを、
考えなければならないと思う。

そのヒントが知覧にはある。

戦争遺産を訪ねる
・アウシュビッツ強制収容所レポート
http://kasako.web.infoseek.co.jp/poland.html
・日本の細菌・生物兵器開発部隊「731部隊」建物跡(満州)
http://kasako.web.infoseek.co.jp/china.html
・ハワイ真珠湾は戦争賞賛地?
http://kasakoblog.exblog.jp/9775374/


by kasakoblog | 2009-07-08 00:13 | 旅行記


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