2009年 07月 09日
840万人の少数民族~悲しみのウイグル~
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チベットの“騒乱”でもウイグルの“騒乱”でも、
「少数民族」チベット/ウイグルという言い方をされるが、
ウイグル族は中国に約840万人いて、
ウイグル自治区は中国の国土の1/6、
日本の面積の4倍の広さを持っており、
相対的な意味での“少数”民族であって、
絶対的な意味では決して少数ではない。

少数民族と報道されると、
大多数の意見やルールに従わない、
一部少数の勝手な行動みたいなニュアンスを、
与えかねないのではないかと危惧する。

“暴動”が起きた中国ウイグル自治区の区都ウルムチには、
これまで三度行ったことがある。
ウイグル自治区にはまた行きたいと思っていただけに、
今回のような“事件”が起きてとても残念だ。

(写真:真冬のウルムチ。零下10度。撮影1999年冬撮影)

現時点で、死者156人、負傷者1080人、
拘束者は1400人以上という大きな事件に発展している。
ちなみに中国は今年、建国60周年のため、
許しがたいウイグル族の組織的犯罪のような報道をしているという。

ウイグル自治区の中でウルムチ(烏魯木斉)は特殊な町だ。
10年前に訪れた時ですら、
東京、大阪に匹敵する超大都会で、
とても内陸の辺境とは思えない発展ぶりで、
高層ビルが建ち並んでいた。

現在、ウルムチ市の人口は約190万人だが、
ウイグル族はわずか10%程度。
漢民族がウイグル自治区を統治するための町という雰囲気が強い。

ウイグル自治区はチベット自治区以上に、
漢民族にとって手放すことができないエリアである。
なぜなら石油をはじめ天然資源が豊富だからだ。
中国が経済成長していくにあたって、
石油は欠かすことができない重要資源。
アメリカがイラクを攻めて北朝鮮を攻めないように、
中国政府にとってウイグル自治区は、
何が何でも自国の制圧下においておきたい地域なのだ。

漢民族支配の拠点的大都会だから、
私のような旅行者にとって、
ウルムチはおもしろい町ではない。
そのため私は三度行っているが。
ウルムチには必要最低限の時間しか滞在せず、
大都会ではない、砂漠オアシスの小さな町、
トルファンへとすぐ向かってしまった。

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写真:トルファンのバザール。1999年夏撮影

トルファンも同じく三度行ったことがあるけど、
もう一度また行きたいと思っているほど、素晴らしい場所。
ただそのためには、北京→飛行機→ウルムチを経由して、
トルファンに向かわねばならず、
このような状況では到底行けないなと、
非常に残念に思っている。

チベットも同じ。
1999年、2005年、2007年とチベットを訪れていて、
でもまだまだ行きたいチベタンエリアがあるんだけど、
最近の情勢では到底行きがたい・・・。

私は中国や中国人は好きだし、
中国は間違いなく、
アメリカや日本、ロシアの比ではなく、
国際社会で最も影響力のある国になると思っている。
しかし、いつまでたっても、
“少数”民族に対する圧政を強いているようじゃ、ダメだと思う。

中国政府はなぜ逆効果だと気づかないのだろうか?
弾圧すればするほど反発は強くなるし、
いつまでたっても国際社会から非難される。

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写真:ウルムチ郊外。カザフ族が住む南山牧場。1997年夏撮影

今の状況を考えれば、
ウイグルもチベットも独立は不可能だと思う。
仮に独立したとしても、
独立国家がうまくいくとも思いがたい。
もうそのぐらい何十年と統治の時代が続き、
漢民族社会と少数民族社会とが“融合”してしまっている。

だからこそどちらもうまくやっていく方法を考え、
特に中国政府側が、少数民族に対する、
あらぬ差別や弾圧をしているのならば、
そんなことはやめればいいのに。
やめたって独立なんかできないし、
自由や平等を与えた方が、
結果として中国全体の国家発展のためにもなるのに・・・。

中国はいつになったら“大人”の国になるのだろう。
金融危機でちょっとつまずいたけど、
もう株価は急回復していて、
インドなんかに比べても、
社会の成り立ちや国民性がいいから、
これから間違いなく経済発展していくだろう。

だから少数民族に限らず、
国民にもっと自由を認めればいいのに・・・。

厳しく弾圧すればするほど、
その反発はとんでもない形で発散し、
いずれそれが全土に広がれば、
中国という国家は取り返しのつかない混乱になる。
そうならないためにも、
厳しく弾圧するんじゃなく、国民に自由を与えればいい。

そのぐらいの余裕と誇りを持ってもいい、
すごい国力のある国だと思うから。

ちょっと残念なのは日本の反応。
「チベット」と聞くと、
保護すべき貴重な人たちみたいなイメージで、
Freeチベットと主張した人は結構多いし、
チベット弾圧だとすごく興味をもたれるのに、
それが「ウイグル」となると、
どこか過激なイスラム教徒的イメージで見て、
「チベット」ほど希少性や幻想性を感じないせいか、
日本人の関心がチベットに比べて低いことが、
とても残念なことに思う。

それにしても、こんなことを予測したかのような本が、
2007年に出版されている。
「上海クライシス」春江一也著。
もうそろそろ文庫化されるんじゃないかとは思うけど、
ハードカバー1995円で買っても読む価値のある、
実に興味深い小説だったので、
興味がある方は読んでみるとよいと思います。

・チベット旅行記2007年
http://www.kasako.com/07tibettop.html

・アジア90日間旅行記
http://kasako.web.infoseek.co.jp/asia.html

・冬のシルクロード
http://kasako.web.infoseek.co.jp/silk.files/silk.html


by kasakoblog | 2009-07-09 21:14 | 一般


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