380円で読める名作!
2009年 07月 16日
これ、すごい名作ですので、ぜひ読んでみてください。
はっきりいって「1Q84」なんかぜんぜん目じゃない(笑)
すごい、素晴らしい、これぞ文学!これぞ人間ドラマというべき、
日本が誇る最高傑作小説の1つかと思います。
え~、辻仁成?
ミュージシャンで女優の南果歩と結婚したが別れ、
中山美穂と結婚した辻仁成って、
なんかちゃらちゃらしてて、文学なんて書けるの?
と思う人が多いかもしれないが、
辻作品は結構すごい名作があります。
ちなみにこの「海峡の光」は1997年の芥川賞受賞作品でもある。
もう随分昔に辻仁成は図書館で借りあさって、
ほとんど読んだんだけど、
なかでもピカ一だったのがこの「海峡の光」。
文庫で380円という安さ。
さらにブックオフで100円で発見し、
再読したが、ほんといいです、この小説。
わりに短い小説なので、1日で読み終えてしまえる手軽さ。
しかしここに描かれた世界は実に深い。
奇抜な設定や仕掛けがあるわけではない。
ユニークなキャラが出てくるわけではない。
やたら過激な暴力やセックスが出てくるわけでもない。
話を盛り上げるために、
「こんなことあり得ないでしょ」みたいなこともない。
現実社会と向き合い、人間の内面と向き合い、
実に淡々と人間を描いた堂々たる文学の王道ともいうべき作品。
なんだろう。
最近の小説やドラマや映画って、
これでもかっていうぐらい過剰サービスなきらいがあって、
なんかこう過激じゃないとおもしろくないみたいな。
それはそれで現実にはない世界を夢想させてくれるわけだから、
別にいいんだけど、そんな作品ばかりだと食傷気味になってしまう。
しかしこの「海峡の光」は実にシンプルだ。
かといって明治時代の文学みたいに、
やたら重苦しいだけの文学でもない。
再読したけど、ほんと素晴らしい作品だった。
ぜひ読む本に困っている方、
過剰な作品ばかりにうんざりしている方、
「1Q84」を読んで消化不良を起こした方など、
読んでみるとよいかと思います。
ちなみに「海峡の光」以外の辻仁成作品のおすすめは、
「白仏」「アンチノイズ」「刀」「旅人の木」「愛と永遠の青い空」などです。
・海峡の光
・1Q84レビュー