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何もないけど何かある伊座利

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“何もないけど何かある伊座利”
思えば、都会は、
「いっぱいあるけど何もない」のかもしれない。
だから何かを求めて漂流したり、
物欲に満たされながら、どこか心が虚ろだったり、
何をやっても満ち足りない人たちが多いのかもしれない。

人口約120人。
三方を山々に囲まれた陸の孤島、
徳島県の小さな漁村・伊座利。
交通の便は最悪。
商店が1軒。カフェが1軒。
観光名所もなければ、残念なことにお遍路の寺もない。

3月に偶然、仕事で訪れたこの場所を、
7月に個人的に再訪することに、
ちょっぴりためらいがあった。
考えてみれば何もないじゃないかと・・・・・・。

しかし再び訪れて、
伊座利の人たちに囲まれて、
この漁村がキャッチフレーズにしている、
「何もないけど何かある」という意味が、十二分にわかった。
そう、まさにその通り。
ここは何もないけど何かある。
だからまた来たいと思ってしまうのだ。

でもそんなこと言われたって、
行ったことのない人にとって、
この漁村の魅力は何だかわからない。

「何かある」の「何か」とは何なのか。
私なりのその答えが、伊座利のおっちゃんたちだった。

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ここのおっちゃんたちはおもしろい。
来るものを拒まず、去るものを追わない、
適度な距離感で異邦人を迎え入れてくれる。
閉鎖的な感じはまったくないけど、
だからといって外の人を過剰に接待することもない。
荒くれ者の漁師という感じはまったくなく、
それぞれがマイペースで適度につきあってくれる。

話すとおもしろい。
なぜおもしろいかというと、
村の未来を考え、実践的行動に移しているからだ。

子供が少なくなり村の学校がなくなる危機に瀕したことから、
村のために何をしたらいいか、
みんなが集まっていろんな話をし、
「海の学校」というイベントをしたり、
カフェをつくったり、漁村留学をすすめたり、
都市の人と交流を図ったり、いろんなことをしている。

その考えと行動が実を結び、廃校の危機はまぬがれ、
子供たちの人数が徐々に増えてきている。

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“何もないけど何かある”
伊座利の「何か」とは、
このおっちゃんたちの魅力ではないか。

だからおっちゃんの写真ばかりを撮った。
おっちゃんたちの顔からにじみでる“何か”を感じてもらえたら、
きっと伊座利の魅力の一端を、
わかってもらえるのではないかと。

大阪に勤めていて、毎月、伊座利の実家に、
帰ってくる人がこんなことを言っていた。

「今の都会の人たちは、笑顔がない。
笑えないから生活がつらくなり、
心の病にかかってしまったり、自殺してしまったり、
自暴自棄になって凶悪犯罪をしてしまったりする。
でもこの伊座利に来ると、みんな笑っている。
だから1ヵ月に1度、この伊座利に来ると、
自分自身も都会の心の疲れを癒すことができ、
また都会の生活をがんばろうと思える」

おっちゃんたちの写真を見て驚いた。
笑っている写真が異様に多いのである。
特に意識して笑顔の写真を狙ったわけではないのに、
笑顔の写真ばかりが写っている。
つまり、いつも笑ってばかりいるのが普通なのだ。

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仕事を終えると、漁協組合の前の“たまり場”に、
人が集まってきて、ビール片手にバカ話に花を咲かせる。

よく笑う伊座利の人たち。
漁村の危機を乗り越えて、
もちろん今でも悩みはあるだろうけど、
人生楽しまなきゃ損、やりたいことやらなきゃ損ってな感じで、
人生を肯定的に捉えて、前に進んでいくために、
実際に行動に移していけている人たちだからこそ、
笑顔がたえないのだろう。

人生を悲壮感漂う旅路と捉えている感じはない。
にこにこしながら生きている。
そんな笑顔とその空気に魅せられて、
伊座利のファンになり、
何度も訪れたり、応援したりする人が増えている。

「何もないけど何かある」。
おっちゃんたちの笑顔を、たっぷりとご覧ください。

伊座利おっちゃん写真
http://www.kasako.com/0907izarifoto1.html

by kasakoblog | 2009-07-27 22:30 | 【写真】国内

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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