2009年 09月 01日
アーティストインタビュー!
一度ライブで聴いて虜になったバンド、 メリディアンローグ。
新曲発売を機に、インタビューを行いました!
インタビュー記事全文まとめてアップいたします。
※約8000字の長文です。

“アンバランス”な想いの架け橋となるか?
~メリディアンローグ新曲リリース・メンバーインタビュー~
(取材日:2009年8月11日/文・かさこ)

ファンにとっては待ちわびた新曲リリース。
メリディアンローグ(以下メリログ)の3曲入りニューシングル、
「アンバランス/ライカ(cwポケットの中の毒薬)」が8/26発売となる。

「どんどんCDを出してほしい」
「もっとライブをやってほしい」
というファンの想いは、
昨年のメジャーデビューをきっかけに、
より高まっていたように思う。

表面的には主だった活動が少ないメリログだけに、
ファンの待ち遠さは募っていたことだろう。

一方メンバーはメジャーデビューをきっかけに、
「今まで以上にクオリティの高い楽曲を出したい」
「回数をこなすことより、少なくても完成度の高いライブをしたい」
と、より質の追求をしようという想いが高まっていた。

そんなアンバランスな想いに、
もう1つ、新たなファクターが加わった。
メジャーになったからには、
ある程度の数字=結果を残さなくてはならない。
そのため次に発売する新曲は、
数字をとるために多くの人に聴いてもらえるような、
最大公約数的でわかりやすいものにしなければならない、
という無言のプレッシャーだ。

メジャーデビューをきっかけにして起きた、
メリログを取り巻く“アンバランス”環境。
複雑に絡まりあった糸が交錯するなか、
メンバーは1つの答えを出した。
それがこのニューシングル。

しかし、その答えは「模範解答」ではない。
約1年ぶりとなる待望の新曲。
メンバーが渾身の想いを込めて送るニューシングルの全貌を、
メンバーインタビューをもとにご紹介します。

<目次>
●1:価値観の押し付けを問う『アンバランス』
●2:強烈な個性を放つ3曲シングル!
●3:『ディストピア』が切り開いたメリログ新世界
●4:ピアノからギター主体の曲へ
●5:聴き応えある意味深な『ライカ』
●6:ループ感が心地よい『ポケットの中の毒薬』
●7:メンバーによる曲解説
●考察:『パノラマ』虜囚を超えて




●1:価値観の押し付けを問う『アンバランス』
「多くの人に受け入れられるよう“薄められた”曲ではなく、
少数の人だけでも強烈に気に入ってもらえる曲を作りたい。
そう思って作った曲が『アンバランス』です」(ボーカル涼さん)

メリログの曲の中でも強烈なインパクトを持った『アンバランス』。
小気味良いエッジの効いたリズミカルな曲で、
7月の六本木ライブで初披露となったが、
そこで聴いた時、私は思わず鳥肌が立った。

凄まじいまでの楽曲のバランス感覚。
ライブ向きのノリのいい曲で、
はじめて聴いてもすぐに馴染めるキャッチーな曲でありながらも、
メリログの真骨頂ともいうべき、
メッセージ性の強い独特な歌詞がちりばめられている。
1年ぶりの想いを放出するかのような、
エネルギーに満ちあふれた曲であった。

メリログを知らない人が聴いても、
すぐに気に入ってもらえるだろう『アンバランス』が、
「多くの人向けを狙って作ったものではない」
という涼さんの答えは意外だった。

作詞作曲を手掛けている涼さんは、
最近の楽曲作りの“方針転換”についてこう語る。

「『アンバランス』を作っていた今年前半から、
曲の書き方が変わってきたんです。
多くの人に受けるように書くのではなく、
少数でも強烈に好きといってもらえるような、
マニアックであったとしても、
自分たちが好きだと思えるものを作っていこうと」

ちょうどこの時期、
涼さんは価値観を押し付けられたり、
模範解答のような建前をぶつけられることが、
多くあったという。

「自分にとっての“正義”を他人に押し付けることほど、
自分勝手なひとりよがりのアンバランスはないんじゃないか」(涼さん)

そんな想いを『アンバランス』ではこう表現する。

自称文明人が飛行機で乗り付けて
土着の民に服を着せることが是か?

「上記の詞が、この曲を作ったきっかけ、
伝えたいメッセージを象徴的に物語っている」(ドラム海保さん)

他人にとっての“正義”は自分にとっての“正義”ではないし、
自分にとっての“正義”は他人にとっての“正義”ではない。

正義は様々。価値観は様々。
その不均衡の集合こそ、
世界に絶妙なバランスを成り立たせているのではないか。
そんな涼さんの想いがダイレクトに、
『アンバランス』の歌詞に表れている。

この曲はメリログ初の記念すべきテレビタイアップ曲ともなっている。
テレビ東京の「音流」8月度のエンディングテーマ曲になったのだ。

「テレビを見た方が、一人でも多く、
メリディアンローグに興味を持ってくれればうれしい」(ギター長田さん)

メリログの楽曲の作り方が変わったからといって、
彼らの“メジャー”志向が変わったわけではない。
むしろ、メジャーデビューアルバム『アースボール』の評判が良かっただけに、
あらためて自分たちの音楽性に自信を持ち、
自分たちの音楽、こだわりを貫いていけば、
自ずと結果はついてくるというスタンスに変わったのだと思う。
それだけに今作に込めるメンバーのこだわり、自信は、
今まで以上に並々ならぬものがある。

●2:強烈な個性を放つ3曲シングル!
今回リリースされるシングルは、
シングルといっても3つも新曲が収録されている。
メジャーデビューアルバム『アースボール』以降、
曲作りは日々行われており、
新曲となりうるものは20数曲はあるという。

現に今回のシングルには入らなかったが、
3月のライブでは『機械仕掛けのハート』という新曲も披露されている。

数ある曲のストック群のあるなかから、
なぜ今回この3曲を選んだのか。

「歌詞の主張が際立っているもの。
自分たちが今やりたいと思っているもの。
それで自然にこの3曲に決まりました」(涼さん)

独特な歌詞はメリログにとって、
今にはじまったことではない“得意分野”ではあるが、
今回の歌詞カードを見ると、今まで以上に歌詞が際立っている。

価値観の押し付けを問う『アンバランス』。
食物連鎖をテーマにした『ライカ』。
日常の死生観を描いた『ポケットの中の毒薬』。

1行1行読んだだけでも深い意味が込められている、
実に意味深な現代をテーマにした歌詞ばかり。

歌詞だけではなく音楽性という意味でも、
自らの原点に戻り、
自分たちのやりたい曲をこだわりぬいて作った。

それは海保さんの次の言葉に端的に表されている。
「今回の新曲3曲をこの2ヵ月ぐらい、
一リスナーとしてずっと聴いていて、
今も聴き続けているんです。
自分が作った曲なのに、こんなにハマってしまう。
それだけ自信作ということです」

こだわりの3曲。
万人受けから少数受けでもいいとわりきった、
メンバー快心のシングル。
「万人受けするような、口当たりのいいものは、
今の世の中あふれている。
これだけ物があふれているなかで、
主張なきものは淘汰されていくと思うんです。

“一般大衆向け”という名の、
実体のない仮想大衆に向けた、
マーケティング理論で作られた音楽は、
すぐに忘れられていってしまう。
今のメリログを強烈に感じてもらえる、
自己主張の強いものが今回の3曲です」(海保さん)

メジャーデビューしたことで、
自分たちの音楽の独自性を失い、
万人受けを狙って“つまらない”“平凡な”スタイルとなり、
埋もれていくアーティストは数多い。

メジャーデビューしたことで、
こうした罠に陥ってしまう危険性を感じたからこそ、、
ライブやリリースの頻度を多くする、
安易な安売りセールに走らず、
1曲1曲の新曲に、1つ1つのライブに、
全力を込めることができる活動スタンスを貫いているのだろう。

●3:『ディストピア』が切り開いたメリログ新世界
万人受けを意識せず、自分たちがやりたい音楽をやる。
それだけ聞くと、
自己満足なマスターベーションではないかとも思えるが、
こうしたスタンスに重点を置くことができたのは、
前作での成功があったからだ。

「アルバム『アースボール』の中でも、
メンバーがごり押しして、やりたい放題やった曲『ディストピア』が、
意外と評判が良かったことが大きな自信になっています。
自分たちが好きな音楽をやった結果、
それを好きと言ってくれる人たちが多くいた。
自分たちの音楽性を貫いていこうという決心につながった」(涼さん)

アルバム『アースボール』のなかでも、
私が特に衝撃を覚えたのが『ディストピア』だった。
今までのメリログにはないテイストなはずなのに、
「これぞメリログではないか」と思える王道をいっている。
斬新なのにメリログならではと思ってしまう、
力強さがこの曲には宿っていた。

ある意味ではその成功体験をもとに作られたのが、
『アンバランス』をはじめとした今回の新曲群であろう。

アーティストなどの表現者はもちろん、
企業の商品開発などでもそうだけど、時に勘違いを犯しやすい。
自分の好きな作品を作るのはプロじゃない。
ビジネスする以上、多少、自分の独自性に目をつぶってでも、
客が喜ぶようなものを作るのがプロではないかと。

そう思って自分が好きでもない、
客受けするように狙った作品ほど、
実は見向きもされないものはない。

自分たちが納得のいく作品を作った上で、
それが世の中でどれだけ受け入れられるか。
その作り方の順番を間違えると、
作品がつまらないものになってしまう。

自分たちの好きな音楽を作ったら、
それが多くの人にも受け入られた。
それが真のメジャーバンドなのだろう。
だから万人受けを狙った曲を作るのではなく、
徹底してこだわり、自分たちの好きな音楽を作っていくことが、
どれだけ受け入れられるのかを問うたのが、
このニューシングルではないか。

『ディストピア』が切り開いた“原点回帰”。
それを昇華させてできたのが今回の新曲群なのだ。

●4:ピアノからギター主体の曲へ
『ディストピア』は、
ピアノ主体の作曲からギター主体の作曲へという転換をもたらした。
今回のシングルの3曲のなかで、
『アンバランス』『ライカ』はギター主体の曲だ。

これまでピアノをベースに作曲してきたメリログが、
今まで以上に時代性をまとった、
メッセージ性の強い曲を放てるようになったのは、
ギター主体の楽曲作りにシフトしたという面も大きい。

それはやはりギター長田さんの影響が強い。
メンバーインタビュー中、
涼さんと海保さんの饒舌さにおされて(笑)、
幾分出番の少ない長田さんだが、
ここ1年、バンドに与えた影響という意味では、
大きな存在感を占めている。

特にメジャーアルバム発売時に、
Youtubeでアップした長田さん作のギターソロ曲の数々は、
ファンはもちろんのこと、
メンバーもそのクオリティの高さに驚いたことだろう。
(ギターソロ曲は、来年発売予定のニューアルバムに、
収録するかもしれないとの構想もある)

長田さんギターの影響を受け、
ギターのすごさに魅せられた涼さんは、
貪欲にギターを曲に取り入れていった。

「ギター主体の楽曲作りが増えたのは、
ギターサウンドが今の時代を表しやすいと思ったから。
時代に合う楽器や演奏の仕方があると思っていて、
特に社会的なメッセージ性の強いメリログには、
ギターが合うと思うのです」(涼さん)

涼さんが両面シングルにと強く推した『ライカ』も、
「僕が今までよりギターを前面に出した曲を書きたいと、
思い始めた時期に書いた曲なんです」と涼さんは言う。

●5:聴き応えある意味深な『ライカ』
涼さんがごり押しして、『アンバランス』と並んで、
両面シングルに“格上げ”となった『ライカ』。
はじめに聴いた時には、
あまりに強烈な『アンバランス』の衝撃と比べてしまうと、
それほどのインパクトを感じなかったのだが、
何度か聴いているうちにすっと心に落ちてきて、
一定のリズムがすごく心地よく聴こえてきた。
実に味わい深い聴き応えのある曲に仕上がっていて、
『ライカ』も「これぞメリログ!」という曲だ。

『ライカ』というタイトルをつけることも、
メリログならではのこだわりだ。

ライカとは、1957年に、宇宙実験のため、
人工衛星「スプートニク号」に乗せられた犬のこと。
地球上の生物として初めて大気圏を飛び出し、宇宙に突入。
帰還予定のない旅だった。
1週間の計画を終えた後、
毒を混ぜたえさを食べて安楽死したことになっていたが、
最近になって、発射数時間後、
ショックと熱による極度の過労で死んでしまったという。

歌詞の内容はこの意味深なタイトルにふさわしいもの。
動物と人間の関係を考える食物連鎖がテーマだが、
そこにこのライカ犬をモチーフにしたところがなんともすごい。

アルバム『マクロポリス』『アースボール』の楽曲に多い、
地球や宇宙といったマクロな視点=神の視点から、
われわれのミクロな日常生活を見て、
問題意識を投げかけるという、
メリログならではの世界観が見事に表現されている。

●6:ループ感が心地よい『ポケットの中の毒薬』
『アンバランス』『ライカ』と並ぶと、
派手なドラマチックな展開がないだけでに、
地味なB面的印象がある『ポケットの中の毒薬』なのだが、
海保さんが「今、一番はまっているのがこの曲なんです!」
というように、スルメソング的な曲だ。

「最近はシングルを意識した曲を書くことが多かったが、
僕自身、暗い曲も結構好きで、『アンバランス』と同時期に作った曲。
作ってみたら周囲の反応が好感触だったので、
シングル収録即採用になりました」

そしてまた歌詞がすごい。
「死んだつもりになれば、生きていることが貴重に思えてくる」
という涼さん自身の人生観、死生観でもある想いを、
見事に歌詞にちりばめた。

死(毒薬)が常に傍らによりそっているかのような、
影の部分が曲調から感じられ、
でもそれによって生かされている人の一生が、
淡々と続いていく様子も詞にも曲に表れていて、
聴いていてすっと曲が、
自分の背後によりそっていくかのような感覚がある。

派手でドラマティックな曲だけではなく、
どっぷりと人生の深みというか、
哲学的思考ともいうべき、
再現のない死生の想いを音楽で表現できる、
メリログの音楽性の豊かさともいうべきものを、
感じ取れるだろう。

3曲3様で聴き応えある、
ミニアルバム的ニューシングル。
メリログが切り開いた新たな地平線は、
きっとリスナーの世界観を大きく広げることになると思う。

3曲+3曲のInstrumentalに加えて、
PV、CDができるまでの制作風景、
さらにはメンバーそれぞれの私生活がわかる、
オフショット映像が見れる貴重なDVD付き。

おすすめの1枚です!


さらに10月4日には久々のワンマンライブ決定!
長田さんいわく、
「最近、メンバーのライブに対するモチベーションが、
異様に高まっている。
数は多くなくても、最高のパフォーマンスを見せたい」
と、ライブへの熱い想いを語ってくれた。

7月に六本木で行ったライブで、
メンバーはライブへの手ごたえをつかんだという。
7月のライブは今までのメリログにないほど、
“激しい”ライブだった。
『アンバランス』『スターフライト』『ディストピア』といった、
選曲がよかったのか、
それとも4ヵ月ぶりという久々のライブで、
メンバーのエネルギーがたまっていたからなのか。

ある意味では何かを吹っ切ったライブのように見えた。

10月のワンマンライブは、
今までにないメリログの一面が見られるかもしれない。
http://meridianrogue.com/pc/schedule.html

「日本人なら誰もが知っているバンドにしたい」(海保さん)

メリログの野望はまだはじまったばかり。

●7:メンバーによる曲解説
・『アンバランス』
涼:バンドサウンドを押し出した疾走感あるものにしたかった。
曲の各所のキメやネタをいくつも仕込んだ曲展開は、
『アースボール』収録の『ストリングス』に匹敵するぐらい、
こだわったものなのでぜひ聴き込んでほしい。
Bメロやラスサビ後の雰囲気はオシャレな感じが出て好き。
サビ頭は印象的なフレーズで、絶対に忘れられないようなものにしようと、
音ハメを色々試して、アンバランスというフレーズを導いた。

海保:イントロの派手さ、Aメロのタイトさ、Bメロの広がる感じ、
サビの勢いで押す感じ。
それぞれドラムでしっかりメリハリをつけるようにした。

長田:ギターはすべて自宅で録ったので、納得するまでできたと思います。
アレンジの段階では、もともと自分がイメージしたものを、
いい意味で壊しながら、斬新にやってみました。
Bメロ、サビのフレーズパターンなど、
インパクトを与えつつもおもしろい感じに仕上がっています。
ギターソロは疾走感を出すため、
中盤では高速タッピングを崩したりしています。

・『ライカ』
涼:Bメロやサビのコード進行がひねっていてとても好き。
Dメロの編曲、ゲストミュージシャンのピアノもめっちゃかっこいいので、
聴いてほしい。
オープニングのSEはライカ犬が宇宙に飛ばされるようなシーンを、
イメージして作った。

海保:全体的に音符の細かいアレンジなので、
少しでも雑な演奏をするとぼんやりしてしまうので、
タイトさというか、きっちり演奏するのをかなり意識した。

長田:16分のノリを出せるよう心がけました。
コードの組み立て方や歌との絡みだったり、
念入りにプリプロで試すことができました。

・『ポケットの中の毒薬』
涼:『バードゲージ』以来のシャッフル曲で、
ヒップホップ的なリズムを際限なくループさせて、徐々に肉付けしていった。
間奏はいろいろなネタを仕込んで、
生と死の狭間の狂気を表現した。
聴けば聴くほど心地よくなっていく。

海保:曲全体のイメージとして、ずっと繰り返される一定のリズム、
ループ感のようなものがほしかったので、
わざと盛り上げるようなことはせず、
淡々と演奏することで、一定に進む感じが心地よいと思う。

長田:前半は少ない音数で歌との絡みを意識しながら作った。
Bメロでハーモニックスを使いながら、
アルペジオの良い響きを聞かせられるようにできた。
間奏はあえてギターソロっぽいものは作らず、
楽器のグルーブ感を体感してほしい。

●考察:『パノラマ』虜囚を超えて
今回のインタビューを終えて思ったこと。
それはメリログの代表曲『パノラマ』の呪縛から逃れたいという想いが、
今回の『アンバランス』を生み出したのではないかということだ。

『パノラマ』。
カラオケ店にも収録されているほどのメリログ代表曲。
アルバム『マクロポリス』1曲目にも収録されているが、
メジャーデビューアルバム『アースボール』1曲目にも収録されており、
メリログ公式サイトを開けば、『パノラマ』が鳴り響く、
まさにメリログの代名詞的曲なのだ。

『パノラマ』は確かに申し分ない素晴らしい曲だ。
しかもミドルテンポでポップな感じなので、
すごく耳ざわりがよく聴きやすい。

「『パノラマ』のような曲を作ってほしい」
ここ2年の間、何度となくメンバーに向けられたのが、
この言葉だったかもしれない。

新しいファンを獲得するには『パノラマ』のような曲の存在は大きい。
だからアルバムの1曲目でもあり、
ここ最近のライブでも『パノラマ』を欠かすことはない。

しかし私が思うに、『パノラマ』は、
メリディアンローグが描く壮大なる世界観の、
ほんの入口にしか過ぎない。
メリログが描く多層な世界観の中では、
最も一番表層にある“箱庭”に過ぎないのだ。

メリログが魅せたい世界は、
この“箱庭”にある舞台裏ではないか。
“箱庭”で滑稽に踊る人たちの、
目に見えることができない様々な想いや、
“箱庭”をあやつる社会の裏側。
そこに目を向けることこそ、
今の世界を生き抜くのに必要ではないか。
だから『パノラマ』という入口だけで満足して、
その先の“好ましくない現実社会”を描いた曲群を、
聴かずにいるとしたら、
ほんともったいないことだと私は思う。

「『パノラマ』のような曲を」という呪縛を吹っ切りたい。
そんな“アンバランス”な想いを何とか打破したい。
そこで生まれたのは『アンバランス』ではなかったか。

それは私の勝手な想像に過ぎないかもしれない。
インタビュー中、一度だけ、
『アンバランス』について涼さんから、
「パノラマに次ぐ代表曲」という言葉はあったが、
それに固執しているような感はまったくなかったから。

シングル候補の代表曲を求められる中で、
『ディストピア』を作った時のように、
何にも縛られず、自由に作ろうと決心した曲。
そんな爽快さや開放感が『アンバランス』には表れている。

多分メリログほどの完成されたバンドともなると、
ライバルは常に過去の自分たちが作った曲群になるんだと思う。
メンバー自身はまだまだ完成されたバンドなんて思っていない、
というスタンスだが、
過去の楽曲群のクオリティの高さは半端じゃない。

自分たちの過去の名曲群のハードルの高さが、
未来への歩みを躊躇させた一面もあるのかもしれないが、
曲を作るスピード、技術は、
間違いなくメジャーデビューを契機に成長している。

メリログの作品に妥協はない。
「死んでも残るのが曲だから」という想いが強いからだ。

今回、歌詞カードの裏面の「Mixing engineer」のクレジットは、
プロのエンジニアの名前の前に、
涼さんの名前が先にあることからも、
クオリティの追求が半端ないことを物語っている。

なぜ涼さんの名前が先にあるのか。
メンバーが納得いくまで自ら指示して、
ミキシング作業にこだわったからだ。

ミキシング作業に限らず、
細部に至るまで相当こだわりぬいている。

メリログのこだわりが凝縮されたシングル収録3曲。
私がどんなに言葉を連ねようが、
一度とにかく聴けばそのすごさがわかると思う。

“パノラマ超え”という意味では、
個人的には『エレメント』や『透明な羽根』で、
すでにそれはなしえていると思う。

作れば作るほど自分に課すハードルが高くなるメリログだが、
そのハードルに負けず、これからもすごい曲を作ってほしい。
でも、多分、あの素晴らしい歌声と、
それを生かすギターとドラムがいれば、
どんな曲でも素晴らしいと感じるとは思うのだが。
(終)


by kasakoblog | 2009-09-01 23:55 | 音楽


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