2009年 12月 13日
負け犬くん
ある島の民族は、大木を切り倒すために、
木に向かって毎日のように罵声を投げかける。
すると木が弱ってきてそのうち倒れてしまうという・・・。

金曜日はMy Little Loverのライブに行ってきた。
200人程度の小さなライブハウスでのライブ。
そこでakkoさんが語っていたのが、大木に罵声を浴びせるという話。

音楽を聴かせるという行為は、
聴く人にさまざまな情念を喚起させ、
その心に大きな影響を与える。
それと同じように、人に対してどんな言葉を浴びせるかで、
それこそ大木が元気がなくなり倒れてしまうように、
浴びせられた人が倒れてしまうこともあるだろう。

「負け犬くん」とは11月にリリースされた、
アルバム「そらのしるし」に収録されている曲の題名。
このところマイラバのアルバムを毎日のように聴いているんだけど、
真っ先に気に入ったのがこの「負け犬くん」という歌だった。

マイラバの歌詞のいいところは、
断片的な言葉がばらばらに散りばめられていて、
それでひとつの世界観を語っていることだ。

だから「負け犬」という、
非常にネガティブな題材を扱っているにもかかわらず、
曲の歌詞を見ても、曲の印象も、
重苦しい感じはしなくって、
むしろもっと明るく生きなくっちゃみたいな、
ポジティブな日常的な世界観を思い起こさせてくれる。
(まあ小林武史と別れたことについての今のakkoさんの気持ちなのかな、
と考えてしまうと、随分、意味深な歌詞に思えてしまうんだけど)

最新アルバム「そらのしるし」にしてもそうだし、
ライブを聴いてもそうなんだけど、
マイラバ的に捉えた世界観=日常観って、
すごく私には新鮮で、
論理で捉えず、直感で捉えている、
ファンタジーとリアルが交錯した曲群が、
とても心地よく響いてくる。

寓話のような神話のような、
子供に語り継ぐ物語のような。
それでいてそうした話が、
現実としっかりつながっていると思わせるような、
何ともいえない浮遊感がたまらないんです。

最新アルバム「そらのしるし」に収録された曲群は、
とても“小さな世界”を描いている印象がある。
聴く人によっては似たような曲が多いと思うかもしれない。
でもなんだろう、小さな世界でも、
ひとつひとつが微妙に違っていて、
その微妙な差に気づいた時に、わっと世界が開けて、
一気に、地球とか広大な大地をイメージさせるような、
そういう不思議な力がある。

ある意味ではミスチルと対極的であり、
でもある意味ではミスチルが目指してきた、
“日常”と“世界”の懸け橋的役割を、
見事に描いた作品群であるとも考えられる。

akkoが投げかける歌は、
優しさと切なさと軽やかさみたいなものが、
織り交ざったものに聴こえてくる。

それは毎日のように罵声や騒音を聴かされている、
今の弱ってしまった日本人(大木)を、
元気づけるチャンスを与えているんじゃないかと思っている。

そんなわけで私は未だに大好きで、
マイラバの音楽を聴く。
特に最近のマイラバの曲はものすごくいい。
今の時代にすごく合っているというか。

マイラバといえばファーストアルバムでミリオンを記録したように、
初期作品群のイメージが強い人も多いだろう。
その後はやや迷いや悩みを持った曲が多かったせいか、
次第にセールスは落ちていった。
活動が散発的になり、2004年夏から2年半の活動休止を経て、
2006年にakkoのソロプロジェクトとして新生マイラバが誕生。
はじめはソロに戸惑いもあるようにも見えたけど、
今回のライブを見る限り、
新生マイラバの確固としたスタイルができ、
akko自身にも自信がみなぎっていて、
今、響かせている音楽がとても充実しているように思う。

「そう 淋しかった
だから泣いた
君が離れてったから

ついてなかった
僕 負け犬?」

でもその後に「最高のチャンス!」という歌詞も出てくる。

“負け犬”という罵声(レッテル)を浴び続けられれば、
多くの人は弱ってしまい、やがては倒れてしまうだろう。

今、日本に響かせるべき音楽や言葉は何なのか。
今、会社の人や家族や友人・知人に投げかけるべき言葉は何なのか。

そんなことを考えさせる、非常によいライブだった。

アルバム「そらのしるし」

<セットリスト>
01. FANTASY
02. Shiny Shoe

03. 負け犬くん
04. ほしつきよる
05. 午後の曳航
06. 音のない世界

07. あいのうた~Swallowtail Buttefly~
08. バケット
09. try
10. 月の船

11. Hello, Again~昔からある場所~
12. Yes~free flower~
13. Man & Woman
14. recall

15. blue sky
16. traveling with nature
17. 小さなロマンス
18. Delicacy
19. アイデンティティー

アンコール
20. 背景のような空
21. 風と空のキリム


by kasakoblog | 2009-12-13 13:41 | 音楽


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