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神楽坂のお話

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今日テレビで神楽坂の名物カレー屋「トレド」が、
再開発で取り壊されてしまうまでの、
ドキュメンタリー番組が放送されていた。

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全国に広がる再開発ラッシュ。
今から3年前、いずれ取り壊されることになる、
全国の再開発地区を重点的に撮影し、
「団地・路地裏・商店街」という写真集を出した。
(「トレド」周辺の神楽坂の町並みも掲載)

写真集が出た後、再訪すると、
もうすでに取り壊しが行われたエリアもあり、
写真だけが貴重な記録として残った。
昔懐かしい昭和レトロな雰囲気が、
年配の方などにも受けたのか、
私が出した写真集のなかでも一番の売れ行きで、
1万部を突破している。

古い町並みが残る神楽坂も、
ここ数年、古い建物が壊され、
次々と真新しいビルが建ち始めている。
私は平日毎日のように神楽坂に通って、もう3年になる。
会社が神楽坂にあるからだ。

神楽坂ってなかなか東京の人でも、あまり行かない場所。
ただ地名を聞いたことがある人は多く、
お洒落でおいしいレストランや老舗和食店などがある、
グルメスポットのイメージが強い。

確かにその通りではあり、
昼間は1500円とか2000円する、
フレンチやイタリアンの店も多く、
路地裏には高そうな老舗店が軒を連ねている。

「神楽坂に通っていれば、
おいしい店には困らず、さぞグルメ通になるだろう」
とよく思われるんだけど、
毎日、神楽坂で働いている人の実情は違う。

神楽坂で最も流行っているレストランといえば、
800円前後のメニューが多い、
昔ながらの中華料理店りゅうほう。

神楽坂で最も賑わっている人気の夜の店といえば、
日本語もあまり通じずぶっきらぼうな外国人店員も多いが、
とにかくビールもつまみも値段が安い竹ちゃん。

神楽坂で働いている人の多くはセレブではないし、
ましてや高給もらう大企業があるわけでもない。
一部高級マンションに住む外国人とかいるけれど、
風呂なしアパートなんかも多いし、
昔から住んでいる人も多い、わりと古い町。
そんな人たちが毎日値段の高い店に行くわけもなく、
神楽坂で数少ない、安くてうまい大衆的な店が、
大繁盛するというわけだ。
だから「りゅうほう」と「竹ちゃん」は、
連日、付近で働く人たちで賑わっている。

きっと昔は今日テレビでやっていたような、
「トレド」のような店も多かったのだろうが、
徐々に古い建物は壊され、
真新しいマンションが建つようになってきている。

時代の流れに逆らうことはできないし、
老朽化した建物も多いから、
再開発はやむを得ないとは思うんだけど、
なんでもかんでも真新しいものだけになってしまうと、
それはそれで魅力のない、
どこにでもある町になってしまうとも思う。

古いものと新しいものをうまく融合させた形で、
町が残っていく方法はないもんかと思いつつ、
私にできることは、いずれ消えゆく街並みを、
写真に収めることぐらい。

神楽坂幻想のある人は、
「りゅうほう」や「竹ちゃん」にくると、
幻想を打ち砕かれがっかりすると思いますが、
頻繁に来る人にはおすすめの店です。

どんなに外見だけお洒落になっても、
人が求めるものってあんまり変わらないんじゃないかな。
安くてうまい。
そういう店がないと、
人が住む町にはならないと私は思います。

新しいものと古いものが、
うまく融合していて、
住むのによい町といえば、高円寺かな。
風呂なしアパートだったけど、
高円寺に住んでいた時が一番楽しかった。
いろんな個性的な店がいっぱいあったから。

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写真集「団地・路地裏・商店街」

by kasakoblog | 2010-02-07 23:26 | 【写真】国内

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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