2010年 02月 25日
ネットとリアルを考える(NHK教育「ツイッターと孤独」)
「現代社会は人間関係がとても希薄化になってきました。
学校でも会社でも地域でも、気軽に話せる人がいない。

人間同士のつながりが薄れた今、
それに代行するようにネットを使ったコミュニケーションツール、
mixiやツイッターが登場し、人気になっている。

でも人はリアルに会って愚痴を言い合ったり、
ぼやきあったりするのが本当ではないか」

なんとまあ一昔前の前近代的な、
ステレオタイプの論評なんだろう。
NHK教育テレビで10分間、
「ツイッターと孤独」という番組をやっていた。

実によくできた番組だった。
ネットを全否定するのではなく、
はじめはツイッターがいかに優れたツールであるかを述べていた。

ツイッターは「自己発信型の活発な人が多いのかも」
なんて、うまいこと言うなって肯定的な意見もうまく混ぜていた。
ただやはり後半は結局はネットツールの否定。

「ネットは虚で、リアルは実」

ネットがまだ本格的に普及していない、
10年ぐらい前の批判レベルで締めくくっていた。

人間関係が希薄化したから、
人はネットにつながりを求めたのだろうか?
私はむしろ逆ではないか。
学校にしろ、会社にしろ、家族にしろ、お隣同士さんにせよ、
近すぎて、お互いに立場もあって、
がんじがらめの人間関係に嫌気がさし、
人間関係で疲れてしまう人が多いのではないか。
希薄化どころか濃すぎるのだ。

こうした濃い関係から離れて、別の対話空間を持ちたい。
バカなことを言っても許される。
立場や利害関係がないのでわりと自由に発言できる。
そうしたことを求めて、
気楽に薄く広くつきあえる、
mixiやツイッターが流行したのではないか。
つまり希薄化したから流行ったんじゃなく、
濃厚すぎる関係がイヤで、
希薄な人間関係を求めて、
一斉にネットツールに飛びついたのではないか。

既存メディアはなんとしてもネットは否定したい。
ネットが孤独なツールというが、
テレビなんかもっと孤独なツールで、
一人暮らしでテレビを見ている孤独と、
ケータイやPCでメールやったり、
ツイッターやったりmixiやったりしているのと、
どちらが果たして“バーチャル”なのか。

私は最近DSドラクエ6を購入してレベル25ぐらいまでいって、
とってもおもしろくやっていたのに、
ツイッターはじめたらゲームがバカらしくてできなくなってしまった。
それはゲームの相手は所詮バーチャルで、対人ではないから。
でもツイッターは所詮“ゲーム”といえども、
そこには対人がいる。
やっぱりネットだろうが何だろうが、
実際の人が絡んでいるからおもしろいのだ。
実際に人が絡んでいるネットをバーチャルと呼ぶことが、
もはやおかしい。

ただ逆にネットが進化すれば進化するほど、
リアルやアナログの価値は今まで以上に高くなると思う。

ネットで対人と絡むことができても、
それだけでは満足できなくなる。
ネットでひとまず気軽に薄く広くつきあったなかで、
その中から親しい人を見出してリアルにつながっていく。
ネットが氾濫すればするほどリアルの価値は上がるのだ。

今の時代は、デジタルとアナログ、
ネットとリアルの住み分けが進んでいるんだと思う。
デジタルでできることはデジタルで。
ネットでできることはネットで。
でも本当に重要なものは、アナログやリアルで。

ネットにデジタルな音源が無料であふれても、
高いお金を払ってでもリアルでライブを聴きたいという希望は生まれる。
ネットで頻繁に連絡をとっていれば、
実際に会って話をしてみたいと思う。

ネットはリアルなチャンスを広げ、
リアルに至るものが希少価値になる。
そういう時代になったのではないか。

NHKの番組を見る限り、未だに、
人間関係希薄→ネット(ツイッター)が代行→でもリアルが大事、
というステレオタイプな内容で、
「ネットが虚でリアルが偉い」という枠組みでネットを捉えているが、
実はもうそういう時代はとっくに終わったんだと思う。

ネットで薄く広いつきあい→
その中から厳選してリアルな関係へ。
ネットからリアルにつながるという側面を、
既存メディアはわざと見逃している。
だからいつまでたってもネットは虚で、
リアルにつながるのは出会い系や犯罪しかないと片付けてしまう。

10年前だったらそうかもしれない。
でももうそういう時代ではなくなった。
ネットでニュースを見て、
ネットでショッピングして、
ネットで企業を調べ、
ネットで音楽を聴き、
ネットで書籍を読み、
ネットで人とつきあう。

その中から金を払ってでも、
時間をかけて行動してまでも、
リアルにつながりたい、
アナログなものが欲しいということだけが選ばれていく社会。

つまりネットが社会のポータル(玄関)になり、
その分、今まででは出会えなかった人と出会えるようになり、
チャンスが増えた反面、
リアルにつながるのは厳選されるという、
社会のパラダイムが変わったんだと思う。

そこを捉えずネットやネットツールを否定していると、
ネットの可能性を使ったリアルにつながっていけない。

ネットを否定するのではなく、
ネットをチャンスと捉えて、
リアルな関係に落とし込んでいくような、
そういう使い方に今はもうなっているんじゃないかと私は思う。

そのような意味で私は、
ネットがある社会に生まれて、
本当によかったと思っている。

月島の居酒屋でネットの未来を語る
http://kasakoblog.exblog.jp/12169320/


by kasakoblog | 2010-02-25 00:30 | ネット


<< 百貨店型か専門店型か      ツイッター依存度チェック! >>