2010年 05月 13日
電子書籍脅威のとんだ誤解
iPadの日本発売が5月28日に決まり、
iPad=電子書籍リーダー=紙の本がなくなる!
みたいな、とんでもない誤解が一部にはあるが、
とんだ誤解である。

そもそもiPadは電子書籍リーダーではない。
電子書籍ももちろん読めるが、
それはiPadの数ある機能のなかのほんの1つでしかないし、
ましてやiPadのメイン機能ではない。

アップルの紹介ページを見れば一目瞭然だが、
http://www.apple.com/jp/ipad/
iPadは電子書籍リーダーではなく、
小型ノートパソコンもしくは大型スマートフォン、
といった位置付けだ。

アマゾンのキンドルこそが電子書籍リーダー。
基本的に電子書籍を読む機能しかない。
そのためにiPadと違い、モノクロ画面だが、
充電すれば何日も使え、読みやすさを重視している。

では電子書籍リーダーが目新しい機器かというと、
これまたとんでもない誤解。
日本ではすでに何年も前に電子書籍リーダーが発売されたが、
あまりの不人気に製造終了になっている。

パナソニックの電子書籍リーダーは、
2003年に発売されたが2008年に製造終了。
ソニーの電子書籍リーダーも2007年に製造終了している。

電子書籍が爆発的に普及するには、
優れたデバイスではなく、
優れたコンテンツ=書籍がなければならない。
ゲーム機にたとえれば、
どんなに素晴らしいゲーム機を発売したところで、
おもしろいゲームソフトがなければ誰も買わない。

電子書籍もこれとまったく同じ。
キンドルやiPadが発売されても、
それで読みたいという本がなければ、
電子書籍は普及することはない。

では今後、電子書籍が普及するための条件を考えてみよう。

1:人気作家の新刊が電子書籍のみで発売
これが一番普及するのに手っ取り早いパターンだ。
たとえば村上春樹の新作が紙の本の発売はなく、
キンドルでしか読めないとなれば、
多くの人がキンドルを買うだろう。
だってそれでしか読めないのだから。
ドラクエをやりたいがためにDSを買うのと似ている。

しかし現状で人気作家が、
電子書籍のみ発売するということは考えにくい。
既得権益者との絡みがあるため、
最初はやはり、紙の本も電子書籍も両方発売となるだろう。

しかしどういう形で発売されるかにより、
電子書籍の普及は大きく変わってくる。

2:紙の本より電子書籍の方が発売が早い
人気作家の新刊が紙でも電子でも発売されるが、
紙版は1ヵ月後の発売だけど、
電子版ならすぐ読める。
時期の先行メリットがあれば、
人は紙より電子を選ぶ。

3:紙も電子も同時発売だが電子の方が安い
人気作家の新刊が紙版でも電子版でも同時に発売される。
ただし紙版は1900円。電子版は900円。
価格差があれば電子版を選ぶ人が多いだろうが、
もしそんなに価格差がなければ、
「だったら紙の方がいいよね」という話になりかねない。

以上、電子書籍が普及するには、
上記3つのようなパターンが必要だ。
人気作家の新刊が電子書籍で発売され、
かつ時期や価格にメリットがある。
これがなければ、絶対に電子書籍は爆発的に普及しない。

紙で本を読むという今までの慣習を変えるには、
何らかのメリットがなければならない。
今はそのメリットが日本ではない。
昔の名作が電子書籍で読めますといわれても、
だったら図書館で紙の本を無料で借りてくればいいんじゃね、
って話になりかねない。

前述のように日本で電子書籍リーダーはすでに発売されたが、
製造終了に追い込まれるほど不振だったのは、
人気書籍が電子版になかったからだ。

デバイス(機器)が普及するには人気コンテンツが必要。
コンテンツがなければデバイスはだたの物体に過ぎない。

iPadが発売されたから電子書籍が爆発的に普及する、
と思っている人がいたら認識をあらためた方がいい。
日本では既得権益の力が強く、
ビジネスや慣習の変革を許さない力が、
あらゆるところで働いているので、
読者にとって便利な電子書籍読者環境ができるのは、
まだまだ先になるのではないかと思う。
(ただし新聞と雑誌は別)

ちなみにカメラマンである私にとってiPadは、
どこでも人に写真を見せられる、
優れたデジタルフォトフレームとしては欲しいと思っている。


by kasakoblog | 2010-05-13 02:04 | ネット


<< 5月にもう1冊本が出ます!      レコチョクなど掲載!オフィス写... >>