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リスクを負う者を笑う社会

日テレの記者2人が遭難現場取材で死亡すると、
mixiのニュースでアクセス数が多いもの3つすべてが、
この関連ニュースで、多くのコメントが、
記者や日テレの姿勢を叩くものばかりだった。
危機管理が足りないみたいな。

別にこの記者の肩を持つ気はないんだけど、
不思議だなと思ったのは、この遭難現場で、
救助ヘリの乗組員が5人死亡したニュースでは、
この乗組員をバッシングする人はそう多くないこと。

救助のプロが5人も死亡するというのはかなりの異常事態だが、
助けに行って死んだからバッシングの対象にはならないが、
それを取材に行ったマスコミは装備不十分と叩かれるのは、
なんとも不思議だなと。

というかマスコミは普段の悪行があるから、
マスコミが失敗するとうれしくて仕方がない、
という気持ちはわからなくはないのだが。

危機管理がなってない!と叩くけど、
危機管理って何だろう?
ふとそんなことを思ったのは、
たまたまテレビで戦場カメラマンの人が出ていて、
「危機管理」という言葉を連呼していたことだった。

戦場カメラマン。
流行らないだろうなと思う。
戦場に行って捕まったり殺されたりしたら、
これもまた「危機管理がなってない!」と叩かれるのだろう。

戦場カメラマンが今の時代において、
社会的意義が本当にあるのかどうかはさておき、
戦場カメラマンの方が、
戦地に赴くためにできるだけの危機管理は、
徹底してやっていくという言葉を聞いた時、
ふと思ったのはこのことだ。

リスクを犯している者だけが、
危機管理という言葉を使えるのではないかと。

リスクを犯さない若者が多い。
失敗を恐れる若者が多い。
失敗したら叩かれる。
わざわざ危険なところに飛び込むなんてバカじゃないか。
だからリスクを犯した記者やカメラマンが失敗すると、
ほれみたことかとバッシングする。

そんな彼らはとっても賢いからリスクは負わず、
安定志向・大企業志向で、
家でテレビやネットを見たりしながら、
リスクを負った者が失敗する行動がニュースになると、
「危機管理がなってない」「そんな装備で行くのか」
ともっともらしく叩く。

でも危機管理って危機を負っている者だけが言えることじゃないのか。
危機を負わずに無難な人生に逃げているだけの人間が、
リスクを負ってでも行動する人間の危機管理を非難できるのか。

リスクを負わずに何も行動しないことは危機管理ではない。
だって危機すら負っていないのだから。
問題外だ。

人生にはさまざまな危険がつきものだ。
でも危険を犯すからこそ得られるものもある。
ビジネスなんかはほとんどそうで、
ノーリスクの仕事なんかないわけです。

何もしないことが危機管理だと思っているから、
何か行動をした人間が失敗すると叩く。
それってなんかおかしい。
リスクを負う勇気がない人間が危機管理なんて口にするなと。

別に無謀に危機に突っ込んでいくことが、
勇気ある人間とは思えないし、
単にスリルを味わいたいだけの自己満足的輩は問題だし、
リスクを負う以上、記者であれ戦場カメラマンであれ、
登山者であれ、それなりの保険=危機管理=準備はすべきだとは思うけど、
危機に立ち向えない人間が危機管理がされているとは思えない。

リスクを負わないようにする“逃げの人生”を歩むのではなく、
リスクを見極め、リスクに対して準備をし、
リスクを犯してまでも得たいものに向かっていく。

ただ今の日本社会は、リスクを負うものに冷たい。
何もしないことが賢いみたいな、
リスクを負うものが失敗すると一斉に叩くような、
そういう社会では活力は生まれないと思う。

だからみんな景気が悪化すると政府に文句を言う。
景気対策しろしろと。
そして無意味なバラマキが行われている。
にもかかわらずバラマキはするなとか意味不明なことを言う。
結局、職も好景気もお上が与えてくれると思っている。
お上にどうにかしろとねだる他人依存で、
自分ではリスクを負わずに文句ばかり言っている人が多い限り、
日本社会の活性化はあり得ないと思う。
だから社会に閉塞感が漂い、
何もできないムードが漂っているのではないだろうか。

by kasakoblog | 2010-08-04 01:46 | 生き方

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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