好きを仕事にする大人塾「かさこ塾」塾長・カメライター・セルフマガジン編集者かさこのブログ

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2010年 08月 14日

ネット口コミマーケティングは諸刃の剣

影響力があり、アクセス数が多いブロガーが、
自社の商品をブログやmixiやツイッターで紹介してくれれば、
ネット口コミでわっと商品が売れるだろう。

そう期待している人も多いだろうし、
実際にネット口コミのおかげで、
急激に売れている商品もある。

しかしそれは商品の質がよかったから。
もし、たいしたことのない商品であれば、
ブロガーに無料で商品を提供したものの、
逆にネガティブな評価を下され、
余計、売れなくなるということも十分あり得る。

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そんな実例に最近、私もかかわった。
ナショナル・ジオグラフィックのノンフィクション傑作選、
書籍「冬のライオン」だ。

この本、私をはじめ、多くの人に無料で配布された。
これまでAmazonレビューで役立つ内容を書いてきた人が、
Amazonから「Amazon Vineメンバー」に選定される。
有用なレビューアーに認定された「Amazon Vineメンバー」は、
毎月、書籍やDVD、家電製品など1品無料で、Amazonからもらえる代わりに、
その商品についてのレビューを書く。
7月の商品のなかに書籍「冬のライオン」も入っていた。

この本、2010年7月1日に発売された。
発売と同時にレビューアーに本を配って、
おもしろかったとのレビューをいっぱい書いてもらえば、
売れるだろうと踏んだのだろう。
だから無料サンプルを何冊もAmazonに提供したに違いない。

私は数ある商品のなかから迷うことなくこの本を選んだ。
「ナショナル ジオグラフィックが精選した冒険ノンフィクション選集。
米テロに倒れる直前にアフガニスタン内戦の英雄マスードが示した厳しさと優しさ、
謎のエボラ出血病と闘う国際医師団、
日本のクジラ調査船団に突っ込むシーシェパードなど、緊迫の現場報告10編を収録。
生と死が隣り合う極限の世界で、
命をかけて闘う人びとに密着した作家たちが生々しい経験を綴る。」
との内容紹介と、素晴らしい表紙写真を見て、
これはおもしろいに違いない!と思った。

商品を選ぶ際に一般読者のレビューは1件もなく、
アマゾンの売上ランクも相当な下位だった。
隠れた名本ならば、アマゾンにレビューを書くだけでなく、
ブログやmixi、ツイッターでも紹介しようと思っていた。

ところが残念ながらおもしろくないのである。
海外の緊迫場面を扱ったルポなのに、
緊迫も迫力もなく、まるで新聞記事を読んでいるような単調さ。
これが冒険傑作集?と疑ってしまう内容だ。

そんなわけで星2つの低評価レビューを書いた。
その後、この本には44件ものレビューが書かれている。
すべてAmazon Vineメンバーによるものだ。
つまり自分の金で買った人のレビューは1つもなく、
無料でもらった人しかレビューがない。

44件のレビューは賛否両論わかれていて、
平均すると星3つの評価になるのだが、
やはり私の同じように低評価する人が目立つ。
「カラー写真の表紙にだまされました」
「翻訳のせい?臨場感に欠ける」
「ピンとこない」「ブランドにダメージを与えています」などなど。

もちろんおすすめするレビューも少なくはないが、
もし私がこの本を自腹で1890円出して買おうか迷った時に、
ここに書かれているレビューを読んだら、
まあ買うのはやめるだろう。
44件もレビューが書かれているのに、
アマゾンランキングは依然として下位のまま。
そもそも自分で買った人のレビューが1件もないことからも、
売れてないんだろうなと推察できる。

「冬のライオン」のような失敗例もさることながら、
無論、成功例もある。
6月のAmazon Vineプログラムでもらった、
書籍「武田双雲にダマされろ~人生が一瞬で楽しくなる77の方法」は、
結構おもしろくて、私も高評価のレビューを書き、
他の人もそう思ったVineメンバーが多かったのか、
47件のレビューが書き込まれ、総じて高評価が多く、
アマゾンランキングはかなりの上位をキープしている。

このようにネット口コミマーケティングは諸刃の剣だ。
商品がいいけど宣伝力がない。話題性がない。
そういう商品を無料でまけば、
ネットで評価され、わっと売上が伸びる可能性は十二分にある。
一方、たいしたことがない商品であれば、
「冬のライオン」のようにネガティブなレビューを書かれ、
買おうと思っていた人もレビューを見て、
買うのをやめてしまうといったマイナス効果になりかねない。

もちろんマイナス効果になるかどうかは、
メーカー側は事前にわからないわけだから、
やらないよりはやった方がいいという考え方もできる。
「冬のライオン」のどこが悪いのか、
44件もの貴重な読者意見を聞けただけでも、
売れなくてもある意味では成功と言えるかもしれない。
今後の本作りの参考にできるからだ。

ただ気をつけたいのは、
無料サンプルゆえ本音で評価していないレビューアーも、
多い可能性もある。
無料でもらったんだしやっぱ誉めておかないとダメだろう、
みたいな心理が働く人もいるはずだ。
しかしレビューを書く際は、
1890円も払って買う価値があるのか視点を忘れてはならない。
他の人は自腹でこの商品を買うのだから。

なんでもかんでもネット口コミマーケティングを利用すれば、
企業や商品のプラスになると幻想を抱いている人がいたら、それは間違い。
使い方を間違うと逆作用になるし、
そもそもその商品・サービス自体がよくない限り、
どんなにネット口コミに力を入れても、
シビアな消費者は騙せない。

まずはいい商品をつくること。
それができていてはじめて、
どのような宣伝方法がよいかを考えるべきだと思う。

かさこアマゾンレビュー
http://www.amazon.co.jp/gp/cdp/member-reviews/A1LR7ZDOBZTGW1/



by kasakoblog | 2010-08-14 11:20 | ネット


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