面接での整合性
2001年 04月 12日
彼らの心境を聞く度に、拙著「エジプト旅行記」の僕の気持ちがわかるのではないかなと思う。
つぶやきで就職活動に何か役に立つ話をしようと、僕の就職活動の面接での体験をお話したい。
大学4年生の時、一番行きたかった会社がJR東日本だった。
何度かのハガキのやりとりの末、突然電話がかかってきて、
志望動機だとか、会社に入ったらどんなことをやりたいかなどをかなり執拗に突っ込まれた。
突然の電話のために何の準備もなかったので、ろくに答えることができなかった。
これで落とされるのかなと思ったが、運良く正規ルートではない青田ル-トに乗ったようだ。
その後、「先輩」と称した人との実質上の1次面接に通り、今度は正式な面接会場に呼ばれた。
2次面接。きっとこれを通れば次は最終だろうなという雰囲気が何となく感じ取れた。
すごくいい感じで面接は進んでいた。
国内旅行に力を入れるJR東日本に、なぜ興味を持ったのかと聞かれ、僕は長野の白馬旅行の思い出を語っていた。
白馬はJR東日本が宿泊施設を置いていることもあり、会社がこれからやろうとしていることとばっちり合致していた。
白馬の思い出から志望動機に結びつける話が、実に効果的だった。
「白馬以外で国内で印象に残っていた場所は?」と面接官が何気なく言った。
僕はすぐに北海道が浮かんだが、北海道はJR東日本の管轄ではないのでこれは言ってはならない。
北海道と答えた瞬間「じゃあJR北海道にすれば」という話になってしまう。現にJR北海道も受けていたので、これは禁句だ。
JR東日本管轄でどこかないだろうか。この質問に思わず詰まってしまい、僕は焦っていた。何か言わなくては。
そこで沈黙になるのを恐れて出た場所が、イギリスのエジンバラだった。
「日本ではありませんが今まで旅行した中で、特に印象深かったのはイギリスのエジンバラです」
一人旅したことが何らかのプラス材料になればという計算も働いた。
東日本以外の管轄の場所を言うよりは、海外の方が差し障りないだろう。
何よりこのまま何も言えずに答えられないことを、僕は一番恐れていた。
そんな追い詰められた場面で、僕が自然と思い浮かんだのは、本当に良いと思った場所だった。
しかしこれが僕の就職活動を決めてしまった一言だった。
今までの良い感触から、怪しい雲行きになりはじめた。
「エジンバラ」をなんとかJR東日本と結びつけようと焦って何か話せば話すほどボロが出た。
「あなたが興味があるのは国内じゃなくて海外なんですか?」
そんな目つきで面接官に見つめられていたような気がした。
ここで僕は落ちた。面接で大切なことは話の一貫性なのだ。
これから面接を受ける就職活動生にはぜひ気をつけてもらいたい点だ。
しかし、今にして思えば、無理して話に一貫性を作って、
自分が本当に興味があることに目をつぶって就職してしまうよりは、
面接で話が一貫しなかったのは、本当は大して行きたくなかったのだとあきらめた方が良いかもしれない。
自分に嘘をついてまで就職することを最大の目標にはしてほしくないなと思う。