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再び旅へ

<1>
迷いに迷った決断だったが、旅行に行くことにした。
たったの5日間。
3ヶ月の旅をした僕にとっては5日間など「旅」でないに等しいが、
そうもいってはいられないので、短き旅だが出ることにした。

もう10年たてば社会は変わるかもしれないが、
今のところ勤め人である限りは、最大で休みが取れるとしても1週間が限度であろう。
僕は勤め人である限り、最低1ヶ月は旅に欲しいなどという贅沢は言ってはいられない。
1週間ですら取れることでも幸せなのだから。

働きながら短き旅を繰り返すことに疑問を覚え、僕は会社を辞めて長き旅に出た。
短い旅では決して味わえない旅の楽しみを僕は知った。
だから僕は長い旅を終えた後、あまり実りのない、しかも時間もお金も無駄が多い短い旅は辞めようと思っていた。

そう心に鍵をかけて、旅心を封印していたが、旅の病は日に日に増すばかりだった。

<2>
特に今年の明けからずっと恒常的に忙しく、一緒に仕事をしていた先輩が会社を辞めることもあって、
仕事が切れ目なく続き、土日も出勤したのでその代休を何度も取ろう取ろうと思っていたが、
結局取ることができずに終わってしまった。

どこかで自分で仕事に切れ目をつけて休みを取らなくては。
毎日忙しく仕事をすることもそれはそれで大事なことだが、
完全に仕事だけになってしまい、根つめすぎると後で必ずそのしっぺ返しがくる。
そんな気持ちを誤魔化そうと、ゴールデンウイークに静岡旅行をして、
なんと2日間で24枚撮りフィルム10本写真に撮るという、ストレス発散のための空砲を発射してみたが、
やっぱりそれでは僕の心の底にうずくものを抑えることはできなかった。

そこで僕はここはチャンスとばかりに、6/12~6/15まで休み、
久しぶりの海外一人旅に出かけることにしたのだ。
僕はトラベルライターだ。
トラベルライターが旅に出ないで何がトラベルライターなんだ?
短くてもいい。お金も時間も無駄なことはわかっている。
いつかゆっくり見てまわりたい場所だとは思うが、そんなこといってもいつになるかはわからない。
ならば短くてもいいから、今行ける機会があるなら行った方がいいと思ったのだ。

<3>
年齢も同じで、去年入社したのも同じ時期の会社の同僚に、
互いに遅くまで仕事を残ってしていた時に、ふと僕はこんな質問を投げ掛けてみた。
「今、一番したいこともしくは欲しいものって何?」
彼は少し考えてからこう言った。
「解放」ですかね・・・

その答えに僕はなるほどと妙に共感を得ることになった。
自らを解き放つ、解放
それは彼に向けた質問の答えであったが、まさしく自分の答えでもあったかもしれない。

ここで行っておけば年末年始まで僕の旅の病は十分収まるだろう。
ずっと仕事を続けてきて煮詰まっている自分の心と体をリラックスするためには、
実にいい時期に旅に出る機会を得たといっていいだろう。
自分のために自分で休日を作り出して、自分のご褒美を与えてやらないと。
でないといざというとき、自分に鞭打っても走らなくなってしまう。
自分で自分をコントロールする意味でも、この辺でほっと一息海外に飛び立たせてやるのは、
実に懸命な判断だと言える。

<4>
ところでかさこさん。なぜベトナムなんだい?
とよく聞かれる。
自分でもなぜだかよくわからない。
その時の気分でほとんど感覚的に行き先を決定している。

実はゴールデンウイークに海外旅行に行った人が、カンボジアのアンコールワットをえらく勧めてくれた。
なのでアンコールワットに行ってみようかとはじめは考え、
本当に行けるかどうか、ガイドブックを見てみようと、
いつか行くために買っておいた旅行人の「メコンの国」をぱらぱらと見始めた。

その時なんとなく、今の気分はベトナムだなっと確信を得たのだ。
地に足つけて生きている人々。水とともに生きる人々。
河・港・船。
そんな単語が僕のイメージの中に浮かんだ。

巨大な遺跡ではなく、人々の日常の生活を見てみたい。
そんな漠然としたイメージからでも、何かピンとくるものがあったのでベトナムにした。
奇しくも去年、中国旅行を辞めて選択肢に上がっていたのがバリ島とベトナムだった。
でもその時はベトナムについては何の興味も持っていなかったが、
こうして今年行くことになった。

<5>
僕にとって旅とは神聖なもの。
これから旅に出るのだと思うと、思わず居住まいを正してしまいたくなるような、そんな感覚なのだ。

いつから僕は旅人になったのだろう?
今日はあちこちで「笠原さん、気をつけていってらっしゃい」という言葉を耳にした。
なんだかまるで僕が帰るべき場所へ帰えれるようになったというように聞こえた。
僕の日常はかりそめの姿で、旅での生活が本当の生のように・・・。

久しぶりの旅行。
僕は旅人になれるだろうか?
僕は旅の世界に戻れるだろうか?
僕は「旅」をしてこれるだろうか?
妙な不安がつきまとう。
そうそれは、もう以前のような放縦で自由な旅を僕はすることができないと、
悟ってしまう旅になるではないかという予感。

僕は一体何を見るのだろうか?
僕は一体何にシャッターを向けるのだろうか?
旅が当たり前の世界で旅を旅と思わないのかもしれない。
でも僕は楽しみで楽しみで仕方がない。
国内旅行やキャンプで少しは気を紛らわせたけれど、
やっぱり心の解放は、海外に飛び立たせてやることなんだろうな。

ということで、なんだがとりとめのないどうしようもないつぶやきかさこになってしまった感がありますが、
ベトナムに行ってきます。
僕は旅人。僕はトラベルライター。
だから・・・。

by kasakoblog | 2001-06-17 00:16

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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