2002年 02月 04日
アパート探しの最近事情
アパートは借りる人間が選ぶのであって、貸す人間が選ぶのではない。
そんな僕の「常識」が揺らいだ出来事があった。

いとこの一人暮らし物件探しに高円寺の不動産屋をまわった。
高円寺駅から歩いて10分。うちからも歩いて2分ほどのところ。
51000円で、ユニットバス付4畳半のごぎれいな部屋を発見した。
高円寺駅から徒歩圏でユニットバス付ワンルームというと、まず7万円はする。
それ以外は5万円以下で風呂無し物件やトイレ共同になってしまい、
5~7万円の間で手頃な物件が少ないのだ。
これは実にいい。
狭いだけが難点だが、荷物の少ない人なら何ら問題はない。
僕も荷物が少なかったら、45000円で風呂無しより、
場所がほぼ同じでユニットバス付のこの物件に引っ越したいと思ったほどだ。

不動産の仲介屋にこの物件に決めますといったものの、いざこの物件を管理している不動産屋に電話したら、
「大学生でないと絶対にだめだ」と思わぬ返答が帰ってきた。いとこは4月から専門学生だった。
仲介屋が電話で粘りに粘って、専門学生とはいえ、きちんとした人でまじめそうな人だから、
とにかく会ってみてくれという話になり、物件に入るための「面接」に赴くことになった。

高円寺の物件で高円寺の仲介屋だが、管理会社は西武新宿線の井荻駅にあるということで、
そこまでいとこと僕で出掛けていった。
その不動産屋は仲介屋ではないので、看板などもなく、ビルの4階の一室にあった。
入ると、昔かたぎの50才前後のおやじがいた。

「おお、2人で来たのか」
面接に僕がついていくことはかえってマイナスになるかもしれないとも思ったが、
やはりその懸念が的中してしまったのか。
「いやあ、18歳の高校生が静岡から一人で探しにきたんかと思って、心配してたんや。
普通地方から探しに来る奴は親がついてくるやろ。
だから断ろうかと思っただが、なるほどこっちに住んでる勤め人にいとこがついてるんやったら、
話はまた違ってくるな。この人連れてきたことはプラスやで」と言われてまず一安心。
僕が51000円のアパートを借りるための面接試験に同行したのは吉と出たようだった。

「うちは大学生だけいうてるけど、専門学生だろうが社会人だろうが、目的意識を持った人間なら誰でもいいんや。
遊び半分で大学入って、一人暮らしする奴はろくなのおらん。
友達呼んで酒飲んで遅くまで騒いで他のアパートの住人に迷惑かける。
だからな、しっかりした目的を持った人だけに入ってもらいたいんや。で、あんたはどこの専門学校にいくんや?」
「デザインの学校です」
「そこでどんなことしたいんや?」
「絵を描きたいんでイラストの勉強をしたいと思っているんです」
「そうか、そうか。じゃあ高校で勉強できなくて仕方がないから専門行くっていうわけではなさそうやな。
髪も茶色だの金色だの緑色なんじゃないし」
なんとか好印象を与えているようだった。

「この物件はなあ、高円寺では格安物件や。
ちゃんとユニットバス付いてて狭くても51000円なんてどこにもないんやで。
だからな、別にうちは焦って誰でもいいから適当な人間入れるつもりはないんや。
そんないい加減なことしてたら、他の住人に迷惑やろ。
こんな厳しいこという不動産屋は珍しいかもしれんが、
適当に入れてるところは、どんな奴が入ってくるか知れたもんじゃないで。
だから、うちのアパートに入ったらまず安心や。
俺がしっかりこうやって一人一人見てるから、夜騒いだり、非常識なことするやつはおらんで」

「それとな、この物件は安いからあちこちから問い合わせがくるんや。
あちこちの不動産屋がおとり広告に使いたいってうるさいんや。
もうこの物件の入居者はいっぱいなのに、この物件を扱ってますって広告うって、人を集めるんや。
そうして来た客に「あ、これ昨日決まっちゃったんですよ。ということで、こちらはどうですか?」
いうて7万円のを紹介するんや。もうそんな問い合わせばっかやで。
いちよ実在してる物件やから嘘ではないんや。
でもうちはおとり広告に使われたくないから、そういうのは一切断ってるんや。
まあそのぐらいいい物件いうことや」

「広告や雑誌はいい加減といってもまだ規制があるからいいけどな、インターネットなんておとり広告だらけやで。
実在しない物件を載せて、客を釣って来店させて他の高い物件紹介するなんてざらやで。
なんせインターネットには規制がないからなあ、やりたい放題やで」
「ほんと仲介屋はいい加減やからな。どんな客でも決めてしまって手数料もらいたいから、
必ずまじめですなんていうけど、平気で家賃滞納する奴や夜騒ぐ奴を連れてくるんやからなあ。
うちは管理会社やから、借りた後も関係は続いてくんや。だからしっかり客を選んで決めてるんや。
とりあえず客決めてもあとでトラブルになるのは勘弁やからな。
まあそこが仲介屋のスタンスと管理会社のスタンスの違いや」

そんな話を延々2時間。ためになることもあったが、ちょっと長かったかな。
結局まじめな人柄と付いてきた僕もまじめそうだからということで、アパートを借りるための面接に無事通った。
こんなに苦労してアパートを借りるのははじめての体験だが、
世の中不景気となり、平気で家賃を踏み倒すやからも多いし、社会が殺伐として非常識な人間が多いこともあって、
管理会社も客を早く決めたいのはやまやまなのだろうが、こうして厳しくなっているところも多いのだろう。

間に入って何もしない仲介屋は、手数料稼ぎのために、客を騙し、大家を騙し、管理会社を騙し、
やばそうになったら、場所変え、社名を変え、また荒稼ぎする。
客にも変な人間が多い。
あちこちの物件を借りるふりしてドタキャンしたり、ドタキャンする連絡すらしなかったり、
家賃の滞納も平気でする。
だから不動産屋も慎重にならざるを得ないし、客に対して厳しいことを言わざるを得ないのだろう。

金儲けのために、人が人を信用できない時代。
嫌な時代になったものだ。
※後日談:面接には通ったものの、事情があってこの物件は断ることにしました。


by kasakoblog | 2002-02-04 12:55 | 一般


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