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守りに入るから守れない

優勝したサッカー日本代表が日本人に残した教訓。
それは「やる前からあきらめるな」ということともう1つ、
「守りに入るから守れないで負ける」ということだろう。

マスコミや国民は恐ろしいほど一方向に流れやすく、
優勝すればすべてを絶賛、
どこかで負ければすべてを批判という、
両極端な態度を取りがちだ。

決勝のザック采配は素晴らしかったとはいえ、
メディアが連呼するほど、
ザック采配がすべてよかったとは言えないかもしれない。
特に象徴的だったのが、
韓国戦、攻撃の前田選手を下げて、
守備の伊野波選手を入れたことだろう。

日本VS韓国は90分戦っても1-1の引き分け。
しかし延長前半7分、岡崎選手がPKをもらい、
本田選手がPKを決めて2-1とリードした。

このためザックはこのまま逃げ切ろうと、
延長前半16分、攻撃の前田選手を下げて、
守備の伊野波選手を入れた。

それで流れが変わった。
日本はひたすら守ることに集中。
ゴール前に何人も何人も選手がいるのに、
誰も攻めないからボールをとられては攻め込まれ、
はねかえしてもまた攻め込まれるという繰り返し。
結果、延長後半15分、韓国にゴールを決められ、
試合終了直前で同点に追いつかれてしまった。

采配については結果論に過ぎないから、
良し悪しを判断することは難しいが、
この試合の結果を見れば明らかなように、
「守りに入ったから守れない」という皮肉な結果となった。

それを見て思ったこと。
それはまるで今の日本人そのままだなということだ。

経済大国2位ながら中国をはじめ、
新興国に追われる立場となり、
ついにGDPで中国に抜かれた。
じゃあ抜き返そうとか、
米国を抜かして1位になろうとか、
そういう気概はまったくなく、
ひたすら現状維持に徹しようと、
積極的な攻めの姿勢に出ずに、
守ろう守ろうと守りばかり固めて、
改革を先送りにし、
規制を緩和できず、開国もできず、
ひたすら既得権益を守ることに必死になっている。

若者の恐ろしいほどの保守化傾向も、
「守りに入れないから守れない」最たる事例だ。

不安定な社会だから、
安定した大企業に入れば安心とか、
安定した公務員になれば安心とか、
安定したパートナーと結婚すれば安心とか、
驚くほど、若者の保守化傾向が広がっている。

しかし寄らば大樹の陰。
みんながみんな大樹に身を寄せ、
それを支える人がいなければ、
どんなに大規模な組織だろうが、
安定した組織だろうが潰れるだけだろう。

JALの破綻はその一例だろう。
どんな大企業だって潰れる。
大企業病のごとく、みんなが守ること、
自分のことばかりに終始し、
攻める姿勢を忘れたからではないか。

日本中が守りに入って、
少ないパイを奪い合っている。
日本中が攻めの姿勢を失い、
今ある少ないパイを守ることばかり考えている。

だから仲間同士で取りあいになり、
そのスキに勢いのある新興国に押し込まれて、
どんどん点を決められ、逆転され引き離されていく・・・。

何かを守るためには守りだけでなく攻めることも必要だ。
攻守のバランスが大事なのに、
今の日本は老害も若者も守りにばかり徹している。

大人たちは自分たちがリストラされたくないから、
内部留保がたんまりあっても、
業績が急回復しても、
若者の採用を抑えることで守りに入る。

若者たちは新しい産業や若い企業にチャレンジすることなく、
昔ながらの大企業にもぐりこみさえすれば、
他人はどうなろうが自分だけは安定した生活が確保できると、
守りに入っている。

だからどこにも突破口がない。
閉塞感が漂っている。
みんなゴール前にいっぱいいて、
誰もリスクを追って、
果敢に攻めて点を取ろうという姿勢がない。

だからどんどん国力が衰退し、
社会の活気が失われ、
新興勢力に押し込まれているのだ。

守りたいのなら、守りだけではダメ。
攻めも必要。
攻めてもいるからこそ、
相手に攻めるスキを与えず、
結果、守りにつながる。
攻撃は最大の防御というやつだ。

今大会の日本代表の強さは、
今までに比べて攻めの強さが際立っていたからだろう。
何度となく先制されていながら、
「もうこのまま負けるな」という気がぜんぜんしなかったのは、
攻めているからだ。
攻めているから逆転でき、
攻めているから結果、リードを守れる。

もちろん攻撃だけではダメで守りも大事だが、
今の日本は守りに入りすぎているのではないか。
過去の栄光のリードを守ろうと、
どんどん攻撃の選手を外して、
守備の選手を最終ラインに入れるだけ。
だから守れない。

今大会、日本中が興奮したサッカー日本代表の教訓から、
就職にしてもビジネスにしても何にしても、
守るだけの姿勢ではなく、
攻める姿勢が何より必要なんじゃないかと思った。

攻めなければ絶対に点は入らない。
そんな当たり前のことを忘れた日本に、
サッカー日本代表が残した教訓は大きい。

日常での攻めの姿勢を取り戻してほしい。

by kasakoblog | 2011-02-01 17:41 | 生き方

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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