2011年 03月 10日
新曲が無料が常識になる日~メリディアンローグ・インタビュー2
音源無料配信システム=OAS構想を発表した
メリディアンローグ・インタビュー1
http://kasakoblog.exblog.jp/14395230/
からの続きです!

■論点2:なぜオープンド・アーティスト・システム(OAS)を、
自分たちだけでなく、他のアーティストにも提供するのか?

メルマガ登録の新曲無料配信システムは、
バンドが売れるためならメリディアンローグだけですればよく、
わざわざ他のアーティストにシステムを提供するために、
システム構築に時間を割かなくてもいいのではないかと、
疑問に持つ人も多いかもしれない。

メリディアンローグのメンバーはこう考えている。
「アーティスト・リスナー双方にとって
理想的な形を実現できると、
僕たちが確信しているのがOASです。
リスナーの皆さん。アーティストの皆さん。
音楽を愛する全ての方へ、このシステムを送ります」

これだけ読むと音楽愛に満ち溢れた、
崇高なボランティア精神からやっているとも見えるが、
「音楽愛的な動機はもちろんありますが、
OASは別に慈善事業でやっているわけではありません」と、
メリディアンローグのメンバーは語る。

「僕たちメリディアンローグの3人自身が、
このOASの可能性に強烈にワクワクしています。
混迷したこの音楽業界を根底からひっくり返して、
素敵なアーティストが、音楽で食べていける世界を、
作れるんじゃないかと。

だから一組でも多くのアーティストさんが、
このシステムを導入してくださることを望んでいます。
多くのアーティストさんが参加することで、
OASの成功を早めることができるのではないかと思っています」

メリディアンローグは自身のバンドの成功のために、
たどり着いた新しいビジネスモデルとしてOASを考えた。
バンドが成功する=すなわち音楽で食べていけるようになるには、
このOASの成功が欠かせない。
OASが多くのアーティストやリスナーが参加し、盛り上がれば、
相乗効果でOAS参加アーティスト全体のチャンスが増えることにもなる。

何より自身のバンドが成功したいという原点に変わりはないし、
儲かりそうだからシステム事業を始めたというわけでもない。

「OASを音楽の新たなインフラにしたいという想いもあります。
ただだからといって僕らがかつてのレコード会社のようになって、
参加するアーティストの良し悪しを決めるような、
既得権益になるわけではありません。
アーティストの良し悪しはリスナーが決めればいいこと。
音楽の新たなインフラを作ることで、
未来のない音楽業界に道を作り、
自分たちや他のアーティストさんが、
音楽で食べていくことができるようになればうれしい」

自分たちのバンドが成功するために始めたOASだが、
息詰まった音楽業界の常識を根底から覆したいという、
アツイ想いもひしひしと伝わってきた。

OASが音楽業界の新たなスタンダードになると、
彼らが自信を持っている表れともいえるのが会社設立だ。

OASというサイトをオープンし、運営するだけなら、
会社を立ち上げる必要はないかもしれない。
しかし彼らは2月3日に株式会社ワールドスケープを設立。
バンドがわざわざ会社を設立するなんて、
OASへの意気込みが感じられる。

「会社を作ったのはメンタル的な面が大きい。
会社を立ち上げることで、
OASを世に広めていく覚悟を決め、
自分たちの本気度の表れでもあるし、
自分たちがOASに自信を持っているという表れでもあります。
OASサイトを運営するにあたって、
個人でやるより法人でやる方が、
契約の幅が広がるといったメリットもあります。
またOAS事業はバンドとは分けたいという意味合いもあって、
会社組織を作りました」

人口減少、国内市場の縮小、就職氷河期などで、
未来に希望を感じられず、文句ばかり言って何もしない、
もしくはなんとか既得権益の椅子に座ろうと、
大企業志向、公務員志向の保守的な若者が多い中、
市場規模が半減している音楽業界で、
自分たちで会社設立して新しいシステムを立ち上げ、
業界を良くしていこうという彼らの行動に見習うべき点は多い。

今の社会がダメなら、
ダメにならない仕組みを考え、
それを自分たちで普及していけばいい。
メリディアンローグのメンバーが、
音楽に対して中途半端な気持ちではなく、
本当に好きだからこそ、
これだけの行動力を発揮できたのだと思う。

ちなみに社名は彼らの曲名から。
「ワールドスケープ」は2010年11月に発売された、
アルバム「ゼロの天秤」に収録されている曲。
個人的には自分のテーマ曲とも思えるような歌詞があって、
メリディアンローグの曲の中でもものすごい好きな曲だ。

私は勝手にこの曲をこう解釈している。
ネットにバーチャルな情報があふれていても、
自分でリアルな現場に立って、自分なりのレンズを通して、
フィルターのない世界の“真実”を見たらいい。
そういう今の時代に合った素敵なメッセージだと思っている。

今やネットはさまざまな情報を知るポータルサイト(玄関口)となっている。
OASというネットサイトを通して、
リスナーがいろいろなアーティストを知ることができ、
コピーできる音源だけでなく、
コピーできないライブという体験を望む人が増えれば、
OASはネットからリアルへと音楽の楽しみの世界を広げる、
まさに“ワールドスケープ”となることができるだろう。


■論点3:OAS事業で忙しくなり、バンド活動はおそろかにならないか?
メリディアンローグのファンにとって、
一番心配なのはこの点にあるのではないか。

1月に突如発表されたOAS構想に面食らい、
もしかしてメリディアンローグは、
音楽活動よりOAS事業に注力してしまうのではないかと・・・。

しかしメンバーは笑って否定する。
「OAS事業はバンドの成功のために始めたもの。
それでバンド活動がおろそかになっては本末転倒です」
OAS事業については、ドラムの海保さんが中心となって進めている。

「OASサイトを作る実作業をしているのは、
プログラマーの方やデザイナーの方で、
僕がやっていることはそのディレクションと、
普及のための営業活動ぐらい。
僕自身はドラマーということもあり、
バンド活動をしていても結構空いている時間はあるので、
その空き時間を有効活用してOASに使っているだけ」
と海保さんは話す。

むしろOASを立ち上げることで、
メリディアンローグの音楽活動は、
メジャー時代に比べてはるかに加速している。
なぜなら毎月、新曲を配信すると公表したからだ。

曲作りについてはこれまでと同様、
ボーカルの涼さんが中心となって担当している。
「もうすでに3月、4月、5月、6月配信の4曲は、
ほぼできあがっています」

毎月新曲を配信するために、
メリディアンローグがどのようなスケジュールで、
曲作りを行っているのか、教えてくれた。

「4ヵ月スパンで4曲作るサイクルで曲作りをしています。
まず僕が1ヵ月半かけて、
毎週1曲ペースで、ワンコーラスのみのデモ音源を作ります。
6曲できたところでメンバーに聴いてもらい、
2曲落として4曲残す。
4曲決まったら約1カ月かけて、フルコーラスの曲に仕上げていく。
残り1ヵ月半でレコーディングを行い、
4曲の新曲を作るというスケジュールを目標に行っています」
(涼さん)

メリディアンローグには過去に作った、
ストックしてある曲がまだまだあり、
曲作りもかなり速いペースで行われてきた。
しかしメジャーになってからは、関係者が増えたことで、
曲作りのペースが速くても、
曲を世に出していくペースは鈍ってしまった。

しかしインディーズに戻り、
OASで自ら配信できる環境が整ったことで、
どんどん曲を出していけるようになった。
OASによりバンド活動が鈍るというより、
むしろ毎月新曲が送られてくるという、
これまでにないハイペースでバンド活動を行う。
ファンにとってはOASとの“兼業”を心配するのは杞憂といえそうだ。

■論点4:新曲に込められた想いとは?
株式会社ワールドスケープとしてのOAS普及活動については、
4月サイトオープンを目指して現在サイトを構築中だ。
社長の海保さんは前述の通り、
サイトに参加するアーティスト集めや、
OASの理解と認知度アップのため、
今まで以上に人に会い、毎日飛び回っているという。

メリディアンローグとしては、
OASサイトオープンに先行し、3月8日に新曲を配信。
新曲についても話を聞いた。
新曲はタイトルは「ブランニュー・スタート」。

「事務所を辞め、OASを立ち上げ、
新生メリディアンローグの初めての新曲にふさわしいものとして、
今の想いを込めた「ブランニュー・スタート」を、
無料配信1曲目に決めました」

歌詞はまさにOASサイトオープンへの意気込みを歌ったかのようなもの。

・・・・・
ブランニュー・スタート
時代切り開いていけるくらい痛快
既得権なんてぶっ壊せ
歌えフリースタイル
未来は「変化」を待ってる
・・・・・

歌詞に込められたメッセージは、
何も音楽業界に限った話ではない。
今の日本の置かれた未来への悲観論、閉塞感に対して、
私たち取るべき行動が、
守りではなく攻めではないかという、
社会に向けられた、私たちに向けられた、
強烈なメッセージとも言える。

「閉塞感漂う日本の中で多くの人が守りに入ってしまっている。
でもこんな時代だからこそ、チャレンジして、
勇気を出して違う活動をしていかなければならないのではないか。
つまらないと思っていることより、
自分たちがワクワクする活動に向かっていくべきではないか。
そんなメッセージを込めました」(涼さん)

曲調は明るいが、歌詞は結構シリアス。
そのバランス感覚が曲の深みを増していると感じている。

歌詞については相当なこだわりを持って作っているのが、
メリディアンローグの特徴でもある。
こだわりとは内容もさることながら、
言葉の音を相当に気にして作っているのだ。

「ボーカルも1つの楽器。
だから歌詞も音として考え、
言葉の発音が曲の音に合っているかを考え、
歌詞の言葉選びに時間をかけています」(涼さん)

曲と歌詞の音が合っていないと、
どれだけ歌詞の内容が素晴らしくても、
曲としてダサく聴こえてしまう。
あくまで音楽は曲であり音であるということを最重視し、
歌詞も1つの音、楽器として、言葉選びをしているという。

メジャーを辞めたことで、
曲作りに何か大きな変化があったのだろうか。
作詞作曲を担当したボーカルの涼さんは、
「インディーズに戻って音楽が楽しい!」
とうれしそうに語った。

「新曲を出すにもメジャーの時には、
いろいろな関係者の反応や思惑を
どうしても考えてしまう部分があった。
でもそうやって曲を薄められる心配もなく、
誰かに気を回して曲を書く必要もなく、
自分がいいと思った曲を自由に書ける。
音楽活動の原点に戻った感じ」(涼さん)

2010年11月に出したメジャーアルバム、
「ゼロの天秤」のインタビューの際にも、
音楽活動の原点=ゼロに戻って、
自分たちが楽しいと思える曲を発表していたと語っていたが、
「ゼロ」からついにスタートを切り、
さらに音楽活動の原点に戻った気持ちでできた、
第一弾にふさわしい新曲が「ブランニュー・スタート」だ。

他のメンバーも涼さんが作った原曲を大切にし、
マスに受けるための薄めるようなアドバイスは
しないようにしているという。

「一リスナーとしての感想は言うけど、
それを直すのか直さないでそのままいくのかは、
すべて涼さんの判断に任せています」(海保さん)

「メンバーに指摘されて、
自分でもここは直した方がいいなと思うのは、
自分でどっちにしたらいいか迷っている箇所が多い。
自分が自信を持って作っている部分は、
あまりメンバーからも指摘されないし、
そのまま原曲を活かして曲にしていきます」(涼さん)

既成の音楽業界の枠から解き放たれたことで、
メリディアンローグとしての音楽活動は幅を広げ、
楽しい、ワクワクするといった原点に立ち返ることができ、
大きな進化・飛躍を遂げようとしている。


音楽業界の新たなビジネススタンダードになる可能性を秘めた、
OASサイト普及に力を入れながら、
音楽活動の原点に立ち返ったメリディアンローグが繰り出す、
毎月無料でもらえる新曲が実に楽しみ。

これまでの常識を覆した「音源が無料でもらえる」という体験を、
ぜひ多くの人にしてほしいなと思う。

・メリディアンローグの新曲がもらえる登録フォーム
http://frekul.com/artists/profile/mr
(毎月第二火曜日に新曲配信予定)

また音楽活動で食べていきたいけど、
現状は無理と考えているアーティストは、
ぜひOASに登録して活動してみればいいと思う。

・アーティスト向けOASとは?
http://meridianrogue.com/pc/oas-a.html

メリディアンローグのライブは、3月13日(日)に、
下北沢Mosaicで行われる「Indies Live Event "ORGASM VOL.363"」に出演予定。
(開演17時、出演予定時刻20時頃~、
料金前売¥2000、当日¥2500※ドリンク代別途)

私も彼らの新しいスタートを見に撮影に行きます!

メリディアンローグ応援サイト
http://www.kasako.com/meritop.html

メリディアンローグ公式サイト
http://meridianrogue.com/


by kasakoblog | 2011-03-10 00:09 | 音楽


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