2008年 04月 16日
地球環境に優しい原子力?!~おすすめ本「マグマ」真山仁著
環境問題がここ最近、執拗に騒がれているが、
すごく気になっているのが、
環境問題=温暖化=CO2削減だけのような報道のされ方である。
環境問題って別に温暖化だけじゃなく、
大気汚染、水質汚染、土壌汚染、生態系の破壊、生物多様性の喪失、
森林伐採、ゴミ問題、気候変動など、実に様々はあるはずなのに、
なぜか温暖化だけがクローズアップされすぎている。

そのため温暖化防止に役立つCO2削減さえすれば、
環境にやさしいみたいなおかしな話がまかり通っている。
その代表例が原子力発電所である。

原子力発電所は環境にやさしい。
なぜなら火力発電所と違ってCO2を排出しないから。
だから環境にやさしい原子力発電所を、
ばんばん作っていきましょうという話が最近よく出ている。

確かにそれは事実ではある。
地球温暖化防止という問題だけを考え、
CO2の排出量の多い少ないだけを判断するなら、
原子力発電所は間違いなく「環境にやさしい」ことになる。
しかしそのロジックには温暖化以外の環境問題は、
何も論じられていない。
いくらCO2削減に役立つからといって、
一度事故が起これば、大気、水質、土壌、生態系に、
重大な悪影響を起こすのが原子力発電所なのだから。

しかし原子力発電所は全廃しろとは我々は言えないのである。
「おまえら電気いっぱい使ってんだろう?
原発がなかったら供給電気量が減ってしまい、
今のような現代的な生活はできないぞ」と。

さてそんな電気をめぐる環境問題を、
小説仕立てにしておもしろくまとめてあり、
かつ非常に勉強にもなる本と最近出会ったので紹介したい。
ハゲタカの著者・真山仁の「マグマ」である。

「ハゲタカ」がムチャクチャおもしろかったので、
「マグマ」も読んでみたいと思っていたのだが、
値段が高くて重いハードカバーしか出ていなかったので、
読む気がしなかったところ、最近になって文庫本化されたのである。
朝日文庫から756円。

「ハゲタカ」に比べればおもしろみにかけるとはいえ、
結構おもしろいし、今、環境問題が騒がれていて、
原子力発電所がクローズアップされている今、
この本を読むと実にいろんなことを考えせられるので、
ぜひよかったら読んでほしいと思う。

簡単にいうと、原子力発電所なんかより、
火力発電所なんかより、はるかにクリーンなエネルギーがある。
それが地熱発電なのだが、
政治家や官僚や企業の利権が絡んで、
でたらめなデータのまま原子力発電所が推進され、
地熱発電は厄介箱にされてしまったというのが、
この話の出発点。
それを知識本のように難しく説明してるんじゃなく、
小説仕立てで物語になっているから、
おもしろく読み進めながら、そうした知識を学べるおすすめ本だ。

中盤ものすごくおもしろいが、後半はやや急ぎ足になり、
なんだか強引に早く終わらせてしまった感があり、
小説としてはやや消化不良な感じなのだが、
それでも実におもしろい部分があるし、
今、読むには実にタイムリーないい本だと思う。

ここに書かれたことがすべて正しいとは限らない。
しかし、知らないということは騙されるということに他ならない。
地球環境にやさしい発電方法とは何なのか。
本当に原子力発電所に頼るしかないのか。
おもしろいのでぜひ良かったら読んでみてください。

・マグマ


by kasakoblog | 2008-04-16 11:54 | 書評・映画評


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