人の優しさにふれた旅1~美ヶ原高原でタクシー運転手に助けられる
2011年 06月 09日
朝5時から約1時間半。
美ヶ原高原をのぞむ標高約2000mの牛伏山で私は寒さに震えていた。
晴れた美ヶ原高原を撮影するため、
前日、松本に泊り、朝4時にタクシーに乗って高原まで来た。
日の出は4時半過ぎだが、高原は霧だらけ。
それでも時折、日が見えるので、
待っていれば霧が晴れるのではないかと、
山頂で待ち続けていた。
ところがなかなか晴れない。
そして強風。
タクシーの運転手から1枚防寒着を借りたものの、
こんなに寒いとは思わず、
とはいえ霧が晴れるチャンスを逃してはならぬと、
延々頂上で待ち続けていた。
しかし1時間半が経ち、寒さも限界に達してきた。
しかも霧は晴れる様子はまったくない。
やむなく15分歩いてタクシーの待つ駐車場に戻る。
タクシーに戻ると運転手はキャンプなどで使う、
ガスバーナーでお湯を沸かし、
まずはじめにスープを、
その次に、カップラーメンを、
最後に、インスタントコーヒーを入れてくれた。
「早朝に高原に行くというんで、一応用意しておいたんです」
なんと素晴らしい気遣い!
私は運転手に救われ、
タクシー内で温かい飲食をとって1時間休息した後、
7時半から9時半まで再び山頂で機会を待ち、
高原を撮影して市内に戻ったのであった。
このタクシーの運転手は、
先週たまたま駅から美ヶ原高原に行った際に乗った方。
また美ヶ原高原に来るかもしれないというと、
名刺を渡してくれた。
もう50歳は過ぎているであろう、
とっても細身のおじさんなのに、
岩山を登ったり山を登ったりしているという。
そのため早朝高原行きに際して機転が効き、
湯沸し器まで持ってきてくれて、
カップラーメンまで持参してくれたのだ。
こういう気遣いのある仕事ができる人って、
すごく素敵だなと思う。
彼のおかげで私は寒いながらも、
心も体も温まり元気が回復して撮影ができた。
本来なら自衛して防寒着にしても飲食物についても、
持っていくのが筋だ。
しかし私の準備では想定外で不十分だった。
しかし現地をよく知る運転手がそれをカバーし、
業務外のサービスにもかかわらず、
機転を利かして持ってきてくれた。
旅先ではこうした思わぬ優しさに出会えることがある。
美ヶ原高原のタクシーの中でカップラーメンを食べたことは、
記憶に残る思い出となるだろうな~。
「松本に来た際はまたタクシーをご利用ください」
アルプス交通の四谷運転手さん、ありがとうございました。