2011年 09月 15日
ボランティアはもう来なくてもいいと言われたら支援は成功~リハビリ職の被災地支援団体インタビュー
避難所が閉鎖され、ガレキの撤去も進み、
今ボランティアがどう被災地を支援しようか、
迷っている段階のところも非常に多く、
かといってこのまま何もしないのも忍びなく、
無理やり自分たちがやることを作って、
迷走しているところもある。

こうした中、しっかりとした理念と専門スキルを活かし、
個人の集まりながらうまく被災地支援を行っているのが、
東日本大震災リハビリネットワーク「face to face」だ。

「face to face」の支援活動が素晴らしいと思ったのは3つある。

①理学療法士などリハビリテーション職の、
専門スキルを活かした支援であること

②石巻市雄勝町など、被災地支援が行き届いていない、
地域に的を絞って活動をしていること

③現地の医療・福祉体制を乱さないと明記しており、
支援活動が現地の自立の邪魔になるような、
余分な介入は行わないとし、活動期限をしっかり決めていること

当たり前といえば当たり前かもしれないが、
この当たり前のことができないボランティアも少なくない。

①自身の専門スキルや社会的立場をうまく活用して、
支援をすればいいのに、そうしたスキルを活かせていない。

②メディアが取り上げる場所ばかりに集まってしまいがち。

③自立をさまたげてしまいかねない、
「余分な介入」までしてしまい、
ボランティアが主役になってしまう。

ボランティアが陥りがちな失敗について、
あらかじめ留意しながら、
活動を行っているのが興味深かった。

現地で実際にどのような活動をしているかは、
10月に取材をしたいと思うが、
活動内容についてこの団体を立ち上げた、
理学療法士の山本尚司さんに話を聞いた。
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<以下、山本さんインタビュー>
災害時において医療関係者で、
真っ先に必要とされるのは医師と看護師。
次に薬関係。薬剤師などがそれに当たる。
そして最後がリハビリ関係者になる。

このため震災直後、すぐに支援に行きたい、
という思いもあったが、行くきっかけをつかめずにもいた。

4月頃よりリハビリ協会のボランティア募集もあったが、
期間が長かったりして、条件が合わずに、行きづらかった。

しかし不自由な避難所生活が2~3ヵ月続く頃になると、
運動不足により廃用症候群
(特定の器官を長期間、動かさないでいることによって生じる障害)などに
なってしまいがちだ。
そこでリハビリの専門知識を持った私たちのような存在が、
運動指導、運動処方、リハビリを行っていく必要がある。

すでに3月頃から個人で活動を行っていたが、
同じような職能を持つ人たちが、
やはり個人で支援活動をしているのをネットで知り、
情報交換するようになった。
今後も継続的に被災地支援をしていくには、
個人では限界があるので、
5月頃よりリハビリ職で支援している人たちを集めて、
活動報告会を行うようになった。
そのつながりが「face to face」立ち上げのきっかけだ。

今、通信手段が発達した世の中で、
顔と顔を合わせることほど非効率な行動だが、
でもだからこそ、
一番人の心を安心させることができる効果がある思う。
3.11の震災で大切な人の安否を確認する。
それははじめはメールであったり電話であったりする。
でも直接会って安心する。
3.11でわかったのは、
顔と顔を合わせる重要性ではないか。
そんな想いでこの個人の集まりを「face to face」と名づけた。

ただし私たちの活動は、
現地で医療・福祉体制ができあがっているところには行かない。
私たちが行けば、自立支援の邪魔になる可能性があるからだ。
リハビリ職が不足していて、
現状困っているところに行くというのが私たちの活動方針だ。

どこか私たちを必要としているところはないか探していた。
知り合いから宮城県の牡鹿半島方面は、
まだ支援の手が足りないのではないかという情報を知った。
そこで調べていくうちに、そのそばにある石巻市雄勝町を知った。

ネットではほとんど情報はなく、
現地の病院に電話をしてみると、
現地の支所に電話がつながり、
リハビリ職はまったく足りていないので、
すぐにでも診察してほしいとのことで、
7月より、石巻市雄勝町を中心に、
リハビリ支援の活動を始めた。

リハビリ専門医師、理学療法士、作業療法士、
言語聴覚士、管理栄養士、保育士など、
現在、約80名が「face to face」に登録しており、
ほぼ毎週、チームを組んで、
仮設住宅や個人宅を回り、運動指導を行っている。

被災地支援をするなら、
自分の得意なことをした方がいい、
ということをずっと考えてきた。
専門職集団だからこそできる支援がある。

ただ私たちの最終目標は「生活再建のための被災者の自立支援」であって、
リハビリはそのツールでしかない。
リハビリを通していろんな会話をしたりすることや、
リハビリに集まってくることをきっかけに、
被災者同士のコミュニティづくりになればいい。

このため最近では人が集まりやすいよう、
リハビリ体操に手芸教室を組み合わせるなど、
被災者の方が集まりやすい要素も交えながら、
支援活動を行っている。

・・・・・・
話を聞いただけなので、
これから実際にどんな活動をしているか、
現地で見てみて改めてレポートはしたいと思うが、
個人の集まりにもかかわらず、
活動方針や理念がこれだけしっかりしている団体は、
とても珍しいというのが感想だ。

そして山本さんの話を聞いて思ったのは、
「ボランティアの人はもう来なくてもいいよ」
と現地の人から言われるのが、
実は一番素晴らしい活動なんじゃないかということだ。

被災地に行き、帰り際になると、
被災者の多くの方はボランティアの方々に、
「また来てください!」と懇願する。
被災地にとってボランティアの果した役割は、
非常に重要で大きいからだ。

そしてそう被災者の方に言われたら、
「ボランティアはとりあえず一度行ってみればいいか」
と思っていた人も「こんなに自分が役に立つならまた来よう!」、
「この人たちを見捨てるわけにはいかない!」と思うのが普通だ。
私もそう思って、何度も何度も同じ被災地に行くようになった。

でも「ボランティアにまた来て欲しい」というのは、
支援がまだ不十分だという裏返しの言葉とも考えられる。
「いや、ほんと来てくれて助かった。
でももううちらだけでなんとかなるし、
当面、困っていることもないから、
また来年にでも遊びにきてよ」
なんて言われたら、実はこれが一番の褒め言葉であり、
被災地支援のゴールなんじゃないか。
つまりボランティアなしでも被災地の人たちでやっていける、
自立支援ができたということなのだから。

今回の震災は被害も甚大で広範囲に及んでいるだけに、
そう簡単にボランティアは必要ないとはならないだろう。
むしろこれほどボランティアが活躍した災害はないとさえ言える。
ボランティアに行こうかななんて思っているだけで、
実際に行動に移せる人は10人に1人ぐらいしかいない。
そのような意味でボランティアの人たちって、
ほんと素晴らしいことをしていると思う。

ただそれが延々続くのは、
被災地の自立にはならないし、
ボランティアにとっても相当の負担になる。
どこかでボランティアも被災者も、
またもとの生活に戻れるのが理想だ。

だからそこをゴールに活動をすることが大事、
すなわち「もうボランティアが来なくてもいい」
と言われるような支援ができたら、
矛盾しているかもしれないけれど、
それが“正しい”ゴールなのかなと。

もちろんこの震災でできた縁は、
今後もいい形で続けていき、
交流しあえばいいと思う。
でもボランティアに依存させてしまうのは違うんだろうなと。

それは当たり前のことなんだけど、
いざ被災地支援にのめりこんでしまうと、
一体、何がゴールで何が目的で活動しているのか、
わからなくなる人もいる。

そうならないように、明確に活動方針や活動期限を決めて、
かつ専門スキルを活かした個人ネットワークの支援活動をしている、
「face to face」の支援の仕方は非常におもしろいなと思った。

そんなわけでまた後日、現地取材をしたいと思います。
http://ftfreha.net/

・書籍「検証・新ボランティア元年~被災地のリアルとボランティアの功罪」


by kasakoblog | 2011-09-15 00:09 | 東日本大震災・原発


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