2011年 11月 22日
企業の震災ボラティア競争の裏にお寒い実態
ボランティアの方々にはほんとにお世話になりました。
みんなとってもいい人ばかりでありがたく思っています。
感謝の気持ちでいっぱいです。
でもあの企業だけは・・・

被災地で宿泊施設で勤めている方に話を聞いた時のこと。
ボランティアの話になった時に、
「ひどいボランティアとかはいなかったですか?」と、
何気なく聞いたところ、とてもいいにくそうに、
「実はある企業のボランティアはちょっと許せなかった」
とぽつりぽつりと話をしてくれた。

何十人単位のかなりの大人数で、
企業の社員が泥かきボランティアに来てくれた。
泥かきは真剣にやってくれて、とても助かったのだが、
ただ「えっ?」と思うことが度々あったという。

泊り+朝夕の2食付の予定だったが、
昼食も用意してほしいと頼まれた。
ただ「こんなに団体で泊っているのだから、
昼食代はまけてほしい」と言われたという。
そこでちょっとかちんときたが、
でも確かに団体客はありがたいので、
従業員総出で昼食の準備もすることにした。

ところがその企業担当者から要望が。
「量が少ないのでもっと増やしてくれ」
量を増やせば宿泊施設のスタッフに負担がかかる。
朝食を用意した後、昼食も数十人分を用意するのは大変だ。
通常営業の状態ならともかく、
まだ震災から3~4ヵ月の頃だ。

「すみません、まだまだ震災で、
いろいろ片付いていないことも多く、
スタッフに負担もかかるので、
この量で勘弁してもらえないでしょうか?」
と申し出たが、まったく聞いてもらえず、
やむなく作ることにした。
そもそも昼食代はもらっていないのに、
量を増やせなんてと思いながら。

夜、宿に帰ってくるとみな社員たちは、
日中の「仕事」から解放されたのか、
もうここが被災地であることは忘れてしまったかのよう。
トイレではちゃんとゴミがゴミ箱に入っていないとか、
夕食の後に宴会してもぜんぜん片付けてくれないとか、
挙句の果ては宴会場のふすまを破いたのに、
申告せずにそのまま帰ろうとしたとか。

あまりにも態度がひどいので、従業員の1人が注意したが、
結局ろくに聞いてくれなかったという。

「こんなひどいボランティアは後にも先にも、
この団体しかいません。
確かに宿泊施設にとって団体客は貴重で、
入ってくる収入も多い。
でも被災しているという特別な状況にあるなか、
ほんの些細なことであっても、
無神経な振る舞いがあると、
私たちにとっては心理的にこたえるんです」

どうもこの企業に参加した社員は、
自発的に申し出た人の集まりではなく、
本人の意志に関係なく、
強制的に参加したプログラムだったらしい。
だから他の企業ボランティアとも違い、態度がひどかった。

それでいてこのボランティアを引率しているのは、
CSR(企業の社会的責任)部の人間だ。
数年前から企業で「CSR」がはやっており、
「私たちは普段からこんな社会貢献活動をしています」
という企業イメージアップのPRコーナーを、
ホームページに設けたり、
会社案内に載せたり、IR資料に載せたりしている。
「CSR報告書」なんて立派な冊子を作成しているところもある。

いったい何なんだろう。
CSR=企業の社会的責任って。
企業の社会貢献活動って。
震災が起きて、多くの企業が支援活動をしている。
「うちらもやらなければまずいだろう」
「CSR報告書に震災支援活動がなければまずかろう」
みたいな意識から、ボランティアに来たとしか思えない。

そして被災地の宿泊施設の従業員の気分を害した挙句、
後日にはホームページや報告書で、
これみよがしに「私たちは被災地で泥かきをした」
と写真でも載せてPRするのだ。

どうも日本の企業はCSRとか社会貢献活動を勘違いしている。
企業の社会的責任って、被災地で泥かきする以前の問題として、
宿泊施設での態度とか対応とか、
そういうことこそ社会的責任なのではないのか。
というかCSRなんて横文字以前の問題で、
「一般常識のある大人かどうか」という問題だろう。
被災地支援できているのに、
昼食代はまけろだとかもっと量増やせとか、
一体、この企業は何をしにきているのだろう。

企業のCSR取材は何度もしたことがある。
ただ本当の意味でCSRをやっている企業って、
別に休日に河原でゴミ拾いしましたとか、
そういうことじゃない。

本業を通じた貢献。
それが本当の意味でのCSRだ。

というかそもそもCSRとかいう言葉がおかしい。
だって企業である以上、社会的責任を伴うのは当たり前で、
社会に貢献するのも当たり前の話だ。
特別な社会貢献活動をしなくても、
普段のビジネスを進めることが社会貢献になっていなければおかしい。

どうも日本は普段の企業のビジネスは、
あんまり社会貢献とはいえないんだけど、
とにかく自社の利益を優先させるために、
仕方がなく時には悪いことも目をつぶってやる、
みたいな意識でいて、
だからこそその罪滅ぼしと、
企業のブランドイメージアップのために、
社会貢献活動を利用しているとしか思えない。

いろんな企業が震災支援活動を行った。
そのほとんどは役に立っているものが圧倒的に多いと思う。
でもたった1社でもこうした履き違えた企業がいると、
被災者に与える心的ダメージは大きい。

あまりにもひどかったので、
話をしてくれた宿泊施設の方は、
企業名含めて、どこか週刊誌にでも、
話をぶちまけようと思ったらしいが、
町のえらい人から「あの企業には逆らうな」
と言われてやめることにした。

今後もこの町で生きていくには、
町の人の意見も聞かなくてはならない。
それにうちはもうその企業が泊るのはごめんだが、
他の宿泊施設にとっては、
観光客が皆無のなかで、
企業のボランティア団体客は上客だ。
その経済的効果を無視はできない。

せっかく企業で支援活動をしに、
被災地に行くのだから、
昼間の泥かきやればいいってスタンスではなく、
被災地や被災者のことに配慮した行動をとってほしいなと思う。

CSR報告書で震災ボランティア自慢するのは、
企業だからそれはそれで致し方がないとしても、
被災地でもう少しマシな態度をとれなかったものだろうか。

そんな無礼な企業がいっぱいいなかったことを祈りたいが、
もしかしたら被災者が泣き寝入りして言えないだけで、
実はほかにもこうした事例があったかもしれない。

※被災地で違和感を覚えていることがあるけど、
でもそんなこと言ったら周りからうとまれそうなので、
ずっと自分の心に抱えたままで苦しいという方は、
メールいただければと思います。
時間の都合がつけば、直接、話をうかがいます。
kasakotaka@hotmail.com

私のところには震災関連で、
「言いたかったけど言えなかったことを、
よくぞ書いてくれました」とか、
「実はずっと疑問に思っていたことがある。
私の素性は明かさず、ブログに書いてください」
というメールを結構いただき、取材させていただいています。

・同情はいらない。かわいそうって何?~浪江町出身の叫び
http://kasakoblog.exblog.jp/16013691/

・ボランティアが被災者の自立を阻害する?!
http://kasakoblog.exblog.jp/15291070/

・今、日本中で起きているケンカ
http://kasakoblog.exblog.jp/15406233/

・華やかな避難所祭の表と裏~原発被災地の深刻度
http://kasakoblog.exblog.jp/15196398/

・復興イベントの大量の残飯~ボランティア漬けの功罪
http://kasakoblog.exblog.jp/15085177/

・ボランティアの涙と被災者の憤り
http://kasakoblog.exblog.jp/14992713/

・書籍「検証・新ボランティア元年~被災地のリアルとボランティアの功罪」


by kasakoblog | 2011-11-22 23:58 | 東日本大震災・原発


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