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てんかん発作でまた大事故~間違った弱者保護・加害者保護のニッポン

京都で歩道に車が突っ込み、7人もの人を殺し、
11人もの人をはねて重軽傷を負わせた事故が起きたが、
運転手はてんかんの持病を持っていたという。

また?!
過去の教訓は活かされていないの?
私が真っ先に思ったことだった。

1年前。栃木でてんかん発作の運転手が運転するクレーン車が、
歩道に突っ込み、小学生6人を殺すというとんでもない事件があった。
この時はちょうど東日本大震災や原発事故報道真っ盛りで、
この大惨事は世間的にはあまり覚えられていないのかもしれない。

小学生が6人も殺された事故が1年前に起き、
その原因がてんかんの発作だった。
ならば二度とこのような痛ましい悲劇が起きないよう、
てんかん持病者の運転については厳しく規制すべきだった。
警察庁によると、運転者の発作・急病による交通事故は2011年に254件発生。
うちてんかんによる事故は73件で、うち5件が死亡事故だという。

しかしそういうとすぐにこういう輩がいる。
「病気の人を差別するのか!」と。

栃木の事故では生活のため、
てんかんの持病を隠し免許を取得していた。
京都の事故でも運転手は発作が最近ひどいため、
転職を考えていたが、結果論でいえば、
すぐに転職せず車の運転をしていたため、
惨劇を起こしてしまった。

持病を明かせば免許がとれなくなる。
免許をとったとしても、
職場に明かせば仕事を失う可能性がある。
だから言わない。言えない。

それをかわいそうだと同情的に報道したり、
考えたりする人もいる。
「車の免許を取り上げたらこの人たちの生活はどうなるのか!」
「車がなければ地方では生活も仕事もできない!」
「てんかんだからといって差別するな!」

まったく理解できない論理。
じゃあそのせいで小学生6人をぶっ殺してもいいのか。
18人を車ではね、7人もの人をぶっ殺してもいいのか。

病人への間違った同情論から、
免許取得や運転を許せば、また同じ悲劇が起きる。
そのせいで京都ではてんかん持病の運転手は亡くなってしまい、
栃木の運転手は懲役7年の刑を言い渡されている。
それがてんかん患者にとっていいことなのか。

目先の経済合理性ばかりを考えているから、
想定内の事故ともいうべき、致命的な危険が回避できない。

日本はあまりにも間違った同情論が多すぎる。
たとえば食品が放射能汚染されていたことが発覚し、
商売ができなくなった農家や畜産家に語らせ、
「我々の仕事はどうするんだ!」
「先祖代々の土地を耕やせないのか!」
「牛や豚がかわいそうだ」と主張する。

では農家や畜産家が仕事をするために、
放射能汚染を「風評被害」という言葉にすり替えて、
全国民を被ばくさせていいのか。

昨日も恐ろしい報道の仕方をみた。
再稼働が問題になっている大飯原発について、
原発が停止になっているせいで、
作業員が泊まりにこなくて旅館業を営んでいる人が、
客がいなくて困っているという。

こうしたかわいそうな「国民被害者」を出し、
だから原発再稼働をすべきだという、
作為的な世論操作が行われている。

原発を動かすか動かさないかは、
付近の旅館業が潰れるか否かで決める話ではない。
もし原発が危険ならば、
旅館業が潰れたとしても、断固として停止すべきだ。
判断基準のすりかえもはなはだしい。

てんかん持病者の運転もそう。
この先、発作による事故で、
何の落ち度も罪もない何十人もの人が無差別に殺されようとも、
てんかん持病者が仕事ができなくなるからという理由で、
許されていいわけがない。

そのかわり病気の方が車の運転ができなくても、
仕事や生活に支障がないよう、
国民の税金を使って支援すればいい。
それが真の「弱者保護」であって、
同情論に流されて事故を多発させることではない。

原発被災者の農家や畜産家もそう。
汚染された食品を流通させてしまうのではなく、
仕事ができなくなったことへの補償なり、
転職支援なり、移住支援をする。
それが真の「支援」であって、
全国民を被ばくさせることが支援ではない。

日本には何かにつけて、
間違った弱者保護が行われている。
かわいそうだからと同情することで、
被害をさらに拡大させる。
弱者を「差別」してはいけないというロジックのもと、
普通の人とは違う特徴を無視して、
普通の人と同じことができるようにすることが、
「正義」であり「平等」だと思っている。

しかし病気なのだから普通の人のようにはいかない。
それは差別ではなくしっかり区別し、
それぞれの人にあった対応をしなくてはならない。
それが真の「平等」ではないか。

病気の人が仕事ができないから、
無差別に何人もの人が殺される社会でいいのか。
それは病気の人にとっても普通の人にとっても不幸なことだ。

日本って溺れる船にみんなで乗ることが、
正義だと思っている節がある。
それが平等だと思っている節がある。
だから変な同情論からみんな沈没してしまう結果になる。

被災地取材でもそういう間違った平等主義や、
おかしな同情論、かわいそうだからという、
間違った「弱者」支援をいくつも見てきた。


「てんかん患者を差別するな」「てんかん患者の生活はどうするんだ」
という「正義」がふりかざされて、
同情論が世論の大半を占めれば、
また何の罪もない人が、
歩道を歩いているだけでぶっ殺されることになるだろう。

北朝鮮のミサイルなんかより、
はるかに国内に危険はいっぱいある。

てんかん発作の事故は1年前に起きたばかり。
そしてもう一度、京都で起きた。

過ちは誰にだってある。
しかしその過ちから学べない人間・社会はバカだ。

二度起きた事故を再び繰り返さないために、
てんかん持病者の運転について厳しい規制をすべきだと思う。

でないとあなたやあなたの家族が、
今日明日にでも殺されてしまうかもしれない。
被害者になってみなければわからないなんて、
そんなのんきなことを言っていたら、
日本社会は滅亡してしまうだろう。

逆に自分や家族が病人になったとして、
生活のために自分も含めてあらゆる人生を台無しにする、
大惨劇を起こす加害者になってしまう前に、
車がなくても生活や仕事ができる支援も、
規制とセットで必要だと思う。

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・被災地でのおかしな同情論による支援を問題にした書、
「検証・新ボランティア元年」

by kasakoblog | 2012-04-13 11:46 | 一般

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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