2012年 05月 14日
メジャーでの行き詰まり、音楽をやめようと思ったことも~ギタリスト長田秀人インタビュー
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音楽で食べていけるようになりたい。
その足がかりをつかんだはずの、
メジャーデビューだったが、現実は厳しく、
何度か音楽活動をやめようと悩んだこともあったという、
バンド、メリディアンローグのギタリスト長田秀人さん。
しかし事務所をやめて、会社立ち上げ、
新曲無料化などの音楽活動になってから、
ふっきれたように音楽を楽しむ長田さんの姿があった。
なぜ音楽をやめずにふっきれたのか。話を聞いた。

(取材日:2012年4月)

1:独立して見えた人生の視界
2007年からメリディアンローグのライブ撮影をしているが、
いつからだろうか。
ここ最近、ギター長田さんの演奏姿が、
実に楽しそうな様子に変わっていた。
観客に見せるために激しい動きをしているとか、
そういう意図的なものではまったくなく、
とても自然に音楽に合わせて軽快に動いている姿が、
際立つようになっていた。

「この5年間、音楽活動をやめようかと、
真剣に悩んだことも何度かあった。
メジャーデビューしたものの、
なかなか思い描いたような結果はついてこなかったし」

まさかやめようと考えていたことがあったなんて、
思ってもみなかったので驚いた。
静岡から東京に出てきて、
レストランで週5アルバイトしながらの音楽活動。
気づけばどんどん年齢だけが増えていく。

手につかんだはずの夢の足がかりともいうべき、
メジャーデビューの現実は甘くはなかった。
いやメジャーでの争いが厳しかったのではなく、
音楽業界全体が“地盤沈下”していたからだ。
CDのミリオンセラーなどは遠い昔の話。
新曲はすぐYoutubeで見れてしまう時代。
CDが売れなくなった環境では、
もはやこれまで通りの成功モデルは通用しなくなっていた。

「結果がついてこない不安。
でもメジャーにいることへの妙な安心感。
このままの状態が続けば、
音楽で食べていくことは難しく、
やめざるを得ないかもしれない」

しかし今は一点の曇りもなく、
音楽活動にまい進している。
メジャーをやめて自分たちで会社を設立し、
新曲無料配信サイト「フリクル」を立ち上げたからだ。

「独立してふっきれた。
メンバー3人でいいと思ったことはすぐできる喜び。
昔に戻ったみたい。とても気持ちいい。
好きなことをやろう。そう、音楽をやろう。
そう決めました」

演奏中の軽やかな姿は、
音楽活動への迷いがなくなったからなのかもしれない。

「昔はきっちり弾かなければってことを考えすぎていた。
でも今は多少の演奏ミスがあっても、
それよりも何よりも、
自分が音楽をしている楽しさを全身で表したい。
それがきっとお客さんにも伝わって、
聴いている方ももっともっと楽しくなるはず」

新曲無料配信サイト「フリクル」のアイデアが生まれた時、
その可能性にわくわくし、一刻も早く実行したいと思ったという。
「最近、CDを買うことが少なくなった。
だから曲を無料にするというのは、
今の時代に合ったやり方だと思う。
メリット、デメリットをいろいろ考えたが、
メリットの方が多いと確信した」

はじめはメリディアンローグだけで、
このシステムを使ってやるつもりだったが、
他のアーティストも巻き込む形になった。
「業界全体を変えなければ意味がない」と思ったからだ。
「音楽で食べていけないため、
ミュージシャンをやめてしまう人が増えているのが残念。
どうにかしたいと思った」
それはまさに自分自身の姿とだぶらせていたのかもしれない。

他のアーティストを巻き込むことになり、
大掛かりになったため、メンバー3人で会社設立することになった。
今は週5のレストランをやめて、
立ち上げた会社、株式会社ワールドスケープに、
デザイナーとして働くようになった。

2:兼業ミュージシャンがいてもいい
昔から絵が好きだった。
小学校・中学校時代は漫画を描いていた。
小学生の時にはテレビのイラスト紹介コーナーに応募し、
採用されたこともあった。

「前々からCDのジャケットも描いてみたいと思っていた」
という夢も叶い、
2012年3月に発売されたメリディアンローグのアルバム、
「白地図と羅針盤」のジャケットデザインを担当した。

今はとにかくデザインへの興味があふれんばかり。
「町を歩いていてもロゴマークとか、
いろんな物の形とかが気になって、
思わずずっと見てしまう(笑)」というほど、
デザインにはまっている。

「会社でデザインをしながら、
デザインのスキルを上げていき、
ギタリスト、ミュージシャンとしてだけでなく、
デザイナーとしても仕事ができるようになりたい」

長田さんが描く理想の自分の姿は、
デザイナーとミュージシャンを兼業して働いていること。
「そんなミュージシャンがいてもいいのかなと」

しかしそこまでデザインに打ち込んで、
ギターや音楽活動に影響はないのだろうか。
「僕の場合、ギターだけずっとやっていたら行き詰ってしまう。
もちろんデザインだけずっとやっていてもそう。
ギターとデザインの2本立てだから、
どちらもいいバランスで集中できる」

音楽以外に打ち込めるものを見つけられたのも、
長田さんが最近とても楽しそうにしている要因なのだろう。

「夢はバンドとして成功することが第一。
ギタリストとしてソロライブをしたいというのもある。
でももう1つ、デザイナーとして個展を開きたいというのも夢。
そんなことができるようにがんばっていきたい」

今、長田さんの活動は、バンドとして音楽半分、
会社の仕事としてデザイン半分といった割合だ。
会社中心のドラマー海保さん、
音楽中心のボーカル涼さんの中にあって、
ちょうどその中間的な存在として、
メンバー間のバランスをとる中和剤的役目もこなす。

どちらの活動も自分の夢に直結する。
デザイン、プログラムに力をいれ、
会社で行っているサイト事業が成功すれば、
自分たちが音楽で食べていける可能性がぐんとあがる。
音楽は音楽でこれまで以上にギターの腕を磨き、
作品のクオリティを上げていく。

「音楽もデザインも自分の好きなことでやりたいこと。
それが夢に直結している今がとても充実している」

今の長田さんに迷いはない。
好きなことをやっている人は実に輝いていた。

・長田さん写真
http://www.kasako.com/1205osadafoto.html

・フリクル
http://frekul.com/

・メリディアンローグ公式サイト
http://meridianrogue.com/

・2007年長田秀人インタビュー
http://www.kasako.com/sakuhin.files/osada.html


by kasakoblog | 2012-05-14 21:32 | 音楽


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