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大雨災害は311の教訓が役立つ~生き延びたのは食糧の備蓄

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311の教訓を学べば被害を減らせるのに・・・。
九州で大変な大雨被害が続いている。
近年、ゲリラ豪雨や大雨、台風が多い日本では、
九州だけでなく、他の地域でも河川の氾濫による、
水害に見舞われる可能性が高い。
東京なんかで大雨により川が氾濫したら、
地下鉄のほとんどの駅は水没しかねない、
といったシミュレーションもあるほどだ。

(写真:311の被害の傷跡が川辺に未だ残る宮城県石巻市:2012.7.8撮影)

大雨と津波は違うが、東日本大震災で起きた出来事は、
大雨という自然災害にも役立つ。
先週も津波被害で1階まで水に浸かってしまい、
2階で生き延びた被災者の方2名に話を聞いたほか、
昨年も各地で被災者の人に話を聞いている。
そうした話をふまえ、もし自分の地域が大雨に襲われた時、
生き延びるためには何をしたらよいか、
東日本大震災の被災者から聞いた話を紹介しよう。

・助かった人はすぐ逃げた人
今まで津波がそれほどなかった地域でも、
311で助かった人の多くは、
「この地震は異常だ。何かあったら大変。
とりあえず安全な場所に逃げよう」
と迅速に逃げた人だ。
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(写真:川の中洲が甚大な被害にあった宮城県石巻市:2011.4.20撮影)

311では海そばだけでなく内陸奥地にまで津波被害が拡大した。
津波が川を駆け上がり、川が氾濫したからだ。
普段から海そばで津波が危ないという危機意識があった人はともかく、
「うちは内陸だから大丈夫」と思っても、
川から水が流れてきて多くの人が亡くなった。

大雨被害も同じ。
川そばの人は危機意識は高いかもしれないが、
川からちょっと離れた人は、
「うちは川から離れているから大丈夫だろう」
と思っている人も多いのではないか。
しかし気象庁が「今まで経験したことのないような大雨」
という表現を使っているように、
今まで安全だったはずの場所も安全かどうかはわからない。

もし大雨が続いた場合、
川からそこそこ離れた場所でも、
被害にあう可能性があり、
水が来てからでは逃げ遅れてしまうので、
早めに念のため避難しておく方がベストです。

・逃げ遅れて生き延びたのは食糧の備蓄のおかげ
先週、石巻で津波被害にあった被災者の人に話を聞いた。
1人は川そばの市街地に住む人。
海からは離れているので、まさか津波が来るとは思わなかったという。
ただ念のため、避難した方がいいのではと考え、
一度、車で逃げようとしたが、
大地震の大混乱で車のキーが見つからず、
そのうち川から氾濫した水が徐々に家に浸水してきたため、
逃げることをあきらめ、2階に避難した。
2階にできるだけの物を1階から運んだという。

そのうち1階は完全に水に浸かってしまった。
もしかしたら水が2階まで来てしまうかも知れないという、
恐怖におびえながら、1週間、2階での生活を続けざるを得なかった。

「3日間、自衛隊も警察も救助も来なかった」とその被災者は話す。
被害地域があまりに広く、手が回らなかったのだろう。
そもそもボードかヘリコプターでないと救助はできない。
車は完全に使えず、家の2階で孤立状態だ。

津波が来なくなっても水が引くのには何日も時間がかかる。
それは大雨でも同じだろう。
雨がやんだとしても水が引くには相当な日数がかかるだろう。

この被災者の方は幸いにして1週間分ぐらいは、
ゆうに食べれる食糧の備蓄があった。
それを2階に上げて食いつないだ。
やはり浸水で取り残された、
向かいのアパートの2階の住民に、
窓越しにりんごや納豆を投げて助けてあげたともいう。

当時は寒かったので灯油ストーブを2階に上げた。
このおかげで寒さがしのげたことはもちろん、
お湯をわかすことができ、調理もできたという。

もし食糧の備蓄がなく2階で取り残されたらどうなっていたか。
首都圏でもし大雨による河川の大氾濫が起きた時、
すぐに救助できる人は限られているだろう。
何かあった時のために食糧の備蓄などはとても重要だ。

ただ勘違いしてほしくないのは、
2階に逃げることがいいことではないということ。
この被災者の方はたまたま浸水が1階までで済んだから助かった。
しかし東日本大震災では場所によっては、
3階、4階に逃げても水がきて亡くなってしまった人もいる。

大雨による浸水がどこまでくるかはわからないが、
とにかく近年の気象は異常。
2階でも安全ではないので、
できるだけ高い場所に逃げるのが鉄則だ。
(土砂崩れの危険性があるような高い場所は、
またそれはそれで危険なので場所を選ばなくてはいけないが)
ただもし逃げ遅れて水がきてしまった時のことを考えると、
食糧の備蓄は役に立つ。

・川には近づくな
1億総ジャーナリスト時代よろしく、
野次馬根性で川の様子をみて、
写真撮ってネットにアップしようなんて、
くれぐれも思わないこと。

311の時もそう。
亡くなったのは川や海の様子を見に行ってしまった人たち。
見に行く暇があったら一目散に逃げるべき。
見に行ったところで何も変わらない。
仮に今は大丈夫だなんて思っても、
急に水位があがることもしばしば。
とにかく逃げることを考えたい。

・・・
昨年、何度も被災地取材をした経験から、
何か被災地以外で防災の教訓に役立てる話ができないかと、
今年から防災講演を始めた。

そんな時、宮崎の山間部の限界集落の方から、
講演依頼があり、4月に実施した。
はじめ依頼があった時、山間部なので、
あまり津波被害は関係なさそうなので、
どうして?と思ったけれど、
ここは台風被害で孤立した経験があることや、
山間部の住人だからこそ、
町に買い物に行った時などに、
津波の危険性を認識していないがために、
被害にあってしまう可能性もあると、
声をかけてくれた方から聞き、
素晴らしい防災意識を持った方だなと感心した。

多くの人は九州の大雨被害を見ても、
東日本大震災の津波被害を見ても、
福島の原発被害を見ても、茨城の竜巻被害を見ても、
どこか他人事で、かわいそうとは思えど、
自分はそんな被害にあうことはないと考えているのではないか。

しかしそうではない。
地震はどこにいても起きる。
台風、大雨、竜巻も地域は関係ない。
原発は200キロ先まで被害を及ぼす。

私たちは311で起きたことをしっかり学び、
今後の社会づくりに活かさなければならない。
自然災害は避けられないが減災はできるし、
その後の人災は自分たちの努力でなくすことができる。

311の教訓を学ばなければ、
また形を変えた悲劇を繰り返すだろう。
自分や大切な人の命を守るために、
311から学ぶべきことはたくさんある。

・3月に実施した東京での防災講演概要
http://kasakoblog.exblog.jp/17621868/

・4月に実施した宮崎での防災講演概要
http://kasakoblog.exblog.jp/17776559/

・宮崎の講演で配布した地震に備えたチェックリスト
http://kasakoblog.exblog.jp/15296828/

・台風なのに社員を出社させた企業はバカだ~帰宅難民は人災
http://kasakoblog.exblog.jp/15532906/

※防災講演の依頼相談があればメールください。
kasakotaka@hotmail.com

もし何かAmazonで買い物する方いらっしゃれば、
下記よりお願いできれば助かります。
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by kasakoblog | 2012-07-14 20:45 | 東日本大震災・原発

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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