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成功の裏に大変な苦境も!働くことに勇気が出る本「起業家2.0」

人は他人の成功をうらやんでばかりいて、
「あの人は運がいいからだ」「あの人は才能があるからだ」など、
自分が努力しない言い訳を並べ立てて、
不満な現状の自分を必死に正当化している。

でも華々しい「成功」をした人にも、
とんでもない苦境や失敗があり、
それを乗り越えてきたからこそ、
「成功」した立場なり地位がある。
そんなことがとってもよくわかる、
とてもおもしろい本が「起業家2.0」佐々木俊尚著だ。

ミクシィやはてなの社長など、
次世代起業家9組を取り上げた本。
起業に至るまでの紆余曲折や、
起業後の失敗と成功などが描かれている。
出版されたのは2007年のため、
取り上げた起業家たちの最新の状況はないが、
起業前後の話なので、今、読んでも十分楽しめる。

それにしてもこの本を読むと、
起業前に「こんな苦境があったのか!」と思うほど、
とんでもないトラブルに見舞われている起業家が多い。

ここで紹介されている事例でいえば、
ネットサイトのオープンで、
華々しく事業をスタートさせるはずが、
オープン間近になって、発注したシステム会社が、
ほとんどサイト構築できていない事実が発覚したり、
共同出資していた人と大喧嘩になり、
出資した株を買い取らざるを得なくなり、
資金が大幅に不足するはめになったりと、
恐ろしいほどのトラブル話が続々と出てくる。

ここでトラブルにはまっている人をみると、
大手企業のサラリーマンとして長らく勤めた人が多く、
生ぬるい体質、守られた体質が抜けきれず、
ビジネスにからむ生々しいトラブルの現場に、
今まで居合わせたことがないから、
こんな世間知らずな大失敗をしてしまうんだろうな、
と思ったりもするが、
起業や出資といった金の匂いがする話には、
とんでもない金の亡者、時には詐欺師までもが集まってきて、
それに引っかからないようにするというのは、
かなり難しいことではある。

でもそんな困難があっても、
起業に向かってあきらめない姿勢を貫けば、
どこかで打開策が生まれてくる。
こういう話を読むと、
読者が自分の立場に置き換えて、
「自分はまだまだ恵まれている」と勇気が出てくるはず。
別に起業しようという人だけでなく、
今、会社に働いている人や、
転職を考えている人にも役立つ内容だと思う。

ただこの9組の話を読んで、
起業には2パターンあると気づいた。
1つは、自分でネットのサイトを構築できるような技術者出身の人で、
起業ありきじゃなく、
自分でおもしろいネットサービスを作っていたら、
それがビジネスになりそうだからと、
起業したという自然な流れ。
こういう人たちは「起業家2.0」だと思う。

ただもう1パターンあって、
「会社働きはつまらないからいつか起業したい」
「何の事業かはわからないけど、何でもいいから起業したい」
というのは、本末転倒な起業に思えて、
「起業家2.0」なんじゃなく、
単に会社員時代でやっていたことを、
自分が経営陣になってやりたいだけの話ではないかと思う。

ホリエモン全盛期の頃、
こういうおかしな起業ブームがあって、
会社が嫌、会社が頼れない、
だから起業っていう人が多かったような気がする。

本来、起業って、
こんなサービスがあったらいいなと思うけど、
今の世の中にはない、もしくは劣っているものしかないから、
ならば自分でやっちゃえっていうのが、
「正しい」あり方ではないか。
そういう動機で起業する人って、成功確率は高くなると思う。
なぜなら自分が一ユーザーとしてニーズを感じているから。

一方、起業自体に憧れている人、
会社員がイヤだからという理由で起業する人って、
机上の空論で必死にビジネスモデルを考え、
マーケットをリサーチしたりして、
「こんなビジネスモデルならうけるかも!」
と思いついて起業するパターンが多い。

でもそんなの会社員でやっていることと同じ。
自分が切に必要としているサービスではなく、
自分が起業するためにそれらしいビジネスモデルを考える。
そういうのって非常に弱い。
だって本当にそのサービスが必要とされているかなんて、
他人事の机上の空論にしか過ぎず、
自分事ではないからだ。

サラリーマンがイヤだから起業する、
という人は失敗するんじゃないか。
ビジネスモデルを頭でこねくりまわして、
考えて起業する人は失敗するんじゃないか。

起業ってサラリーマンよりも当然リスクも大きいわけで、
大変なことも多い中、
そういうのを乗り越えるには、
会社員がイヤだからとかでは続かない。
また自分が必要としているわけでもないのに、
パソコンに向かって思いついたビジネスモデルなんて、
血の通ったサービスにならないから、
いくら素晴らしいビジネスモデルであったとしても、
ユーザーの心を100%とらえることができず、
やがて廃れていってしまうのではないかと。

そういえば、音楽の無料音源配信サイト「フリクル」を立ち上げ、
2011年に起業したのはメリディアンローグという元メジャーバンド。
自分たちが必要なスキームが世の中にない、
ならば自分たちで作ってしまおう。
でもそれをやるには法人にした方がやりやすいので、
会社を設立し、サイトを立ち上げた。
そして2012/10/1には、有料会員を募る、
プレミアムサポーターの仕組みを導入した。
そういうことができるのは、
彼らがサービスの提供側でもあり、ユーザー側でもあるから。
「こんなサービスがあったらいいよね」
というのを自分たちの目線で考えられる。

お偉い大企業が大金使ってなんちゃって市場調査をし、
現場を知らないお偉いさんたちが会議室に集まり、
パワポのスライドだけ見て判断するような、
そんなサービス提供の仕組み自体、
もはや通用しない時代になったのだと思う。

最近になってまた起業ブームが再来しているような気がする。
それは、
・会社員でいることのリスクが高まっている
・311で生き方を変えたい
・フリーエージェントやノマドがもてはやされるようになった
・会社が設立しやすくなった
といった状況があるからだと思う。

でも思う。
会社がイヤだから起業なんて気持ちだけでは、
起業は成功しない。
やりたいことありきで起業は考えるべきだ。

そんなことを本書を読んで考えさせられた。
ぜひ読んでみるといいと思います。

・「起業家2.0」佐々木俊尚著

ちなみに働き方を抜本的に考え直すなら、
・「就職しない生き方
・「自由であり続けるために20代で捨てるべき50のこと
がおすすめ。

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by kasakoblog | 2012-10-04 11:35 | 書評・映画評

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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