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ツアー=安全、個人旅行=危険という誤解~万里の長城事故に思う

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「万里の長城で遭難して日本人観光客が死亡した」
というニュースを聞いた時、
なぜ万里の長城で?!と多くの人が思ったのではないか。

7月に13年ぶりに万里の長城へ行った。
驚いたのは恐ろしいほどに観光地化されていたこと。
万里の長城そばには、
レストラン、ショップ、ホテルが整備され、
ケンタッキーフライドチキンなんかもあった。
トイレもきれいなのがあった。
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13年前とはまったく違う。
いかにこの間、中国が高度成長したかという、
象徴でもあるかのようにも見えた。
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しかも万里の長城に行くには、
かなり快適な専用電車が走っている。
北京オリンピックを機にできたらしい。
久しぶりに中国列車の硬座(ハードシート)にでも乗って、
ゴミやタンやカップめんが飛び交う、
アナーキーな中国列車の旅をしながら、
万里の長城に行くかなんて思っていたが、
それはもうとっくの昔の話だった。

遭難による死亡事故というので、
一瞬、私は北京の万里の長城ではなく、
はるか約3000km先にある、
万里の長城の西端の嘉峪関にでも行ったのかと思った。
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あそこなら砂漠地帯で周囲は何もない。
でも北京で遭難というので?と思った。

それか遭難ではなく転倒で死亡なのかともはじめ思った。
観光地化された北京の万里の長城とはいえ、
長城自体はむちゃくちゃ急な坂道が続く、歩きにくい場所。
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私が3カ月前に行った時も、
万里の長城をなめた観光客がきていて、
ヒールやサンダルを履いて登っている観光客がいたが、
そんなんでは危なくて仕方がない。
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それで急な大雪に見舞われ、
坂道で滑って死んでしまったのかと思ったが、
そうではなく、
万里の長城を100キロ歩くツアーで、
北京でも観光地化されていない長城を歩いていたために、
大雪で遭難にあい、死亡事故が起きてしまったという。

しかも驚くべきことに、
このツアーを企画した会社が、
なんと2009年夏に北海道・大雪山系トムラウシ山で、
8人の死亡事故を起こしたところだった。
あの時のニュースも一報を聞いた時、
「なぜ?真夏に?しかも8人も死亡?」
と驚いたのを覚えている。

私は海外ではもっぱらツアーではなく、個人で旅行する。
そういうと「危なくないんですか?」とだいたい聞かれるが、
ツアーだから安全で、個人旅行だから危険というのは、
まったくの幻想だ。

私がツアーでなく個人旅行する理由はいくつもあるが、
2つの点で圧倒的に個人の方がいいと思うことがある。
1つは、自分の体調が悪くなっても、
ツアーのようにすでに組まれた日程を、
強制的にこなさなければならないという呪縛がないこと。

海外旅行って現地で体調崩しやすいわけです。
旅行は休みの関係で短期間になりがちで、
だから強行スケジュールになりがち。
でも慣れない土地で、食べ物や気候が合わなかったりして、
体調を崩してしまうのはよくあること。

そんな想定内の体調悪化リスクを考えたら、
あらかじめスケジュールが全部決められていて、
しかも他人と行動しなくてはいけないなんて、
こんな危険なことはない。

実際、今年の5月にインドに行ったが、
まんまと旅行中に体調が急変し、
まったく食べ物も飲み物も受け付けないほど、
体調が悪化してしまった。

インドならかなりの確率で起こりうることなので、
おおまかに生きたいところは決めていたけど、
現地でどう動くか、次の日どこの町に行き、
どこのホテルに泊まるかなどは、
すべて体調次第で現地で決めるスタイルだったので、
そんな状態になっても、現地で休むことができた。
あまりにも体調がひどかったので、
特典航空券だったが無料で日程変更してくれるというので、
帰国日も変更して早めに帰ってきた。

これは個人旅行だからできることであって、
完全なツアー旅行では絶対にできないこと。
体調が悪くても、休むこともできず、
決められた日程をこなさなきゃいけないなんて、
苦行としかいいようがない。

もう1つは、現地で翌日の天気予報をチェックし、
それによって予定を臨機応変に組み替えたいから。
私の場合、いい写真を撮りたいというのが旅行の主眼にある。
今度、12/16(日)に行われる旅写真教室でも話すけど、
そのためには天気を見極めなくてはならない。
どんよりとした曇り空で撮る写真と、
晴れ渡る青空で撮る写真とでは、
カメラマンの腕の問題ではなく、
写真の明暗がはっきり分かれてしまう。

3カ月前に私が北京に行った時、
ニュースでもかなり話題になったが、
過去60年ぶりの記録的な大雨が降った時だった。

北京に到着した翌日、
そこまで大雨になるとは思わなかったが、
直前に中国のサイトで天気予報をチェックすると、
「雨」ではなく「暴雨」となっていた。

このため万里の長城や郊外の村に行くのはやめ、
北京中心部を観光していた。
午前中は雨はもったが、昼食をとった後、
猛烈な大雨が降ってきたので、
その日はやむなく観光も撮影も中止。
午後は百貨店のカフェで時間をつぶし、
夕方は雨の影響が関係のない、
劇場で雑技を見ることにした。

個人旅行なら、天気予報を見て、
明日は雨だから市内でショッピングにして、
明後日は晴れだから万里の長城に観光するといった、
日程の組み換えが簡単にできる。
だから雨だろうが雪だろうが、
無理やり強行突破し、観光する必要はない。

でもツアーだとそうはいかない。
あらかじめ日程が決められていると、
強行せざるを得ない場合も出てくる。

今回の北京の事故は、ツアーだからこそ起きたものではないか。
もし個人旅行なら、悪天候の中、
強行にスケジュールをこなす必要性は薄まる。
自分が体調が悪かったら休めばいい。

でもツアーだとそういうわけにはいかない。
基本的に予定の変更はよほどのことがない限りしたくない。
北海道の事故でも北京の事故でも、
その「よほどのこと」であったはずなのに、
ガイドもついていたのに、
強行してしまったからこそ起きた悲劇。
ツアー=安全ではないと私が言うのはそのためだ。

もちろん個人旅行も安全ではない。
自分に知識や経験がなければ、
危険な目にあう可能性もある。
自分の判断がツアーガイドより間違う可能性はある。

ただどんなことでも思うのは、
危険度が大きいか低いかということより、
その危険を自分の管理下にあるかの方が、
はるかに重要ではないかということ。

「プロに任せるから安全」「上司の命令だから絶対」
「会社にいれば安心」といった、
リスクコントロールを他者に預けてしまうことほど、
実は恐ろしいことはないのではないか。
もし他者がその判断を誤った時、
後悔は自分で判断するより大きいのではないか。
「ツアー会社が悪い!」「学校が悪い!」
「運用会社が悪い!」「医者が悪い!」と。
でも他者にリスク管理を預けるのなら、
どのプロを信用するかの見極めは必要だし、
そのためにある程度の知識を知っておかなくてはならない。

どんなことにもリスクはつきまとう。
海外に旅行すればリスクも大きくなるかもしれない。
でもリスクに見合った楽しさがあるから旅行に行く。

自分自身でしっかり体調管理、天候確認、安全管理をすることで、
リスクをできるだけ減らして、
楽しさを増やすような旅行をしたい。

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by kasakoblog | 2012-11-06 00:02 | 旅行記

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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