2012年 11月 26日
眠気も吹き飛ぶおもしろい小説「空飛ぶタイヤ」池井戸潤著
本を買ったからといって、全部読む必要はない。
つまらなかったら途中で辞めて、売るか捨てるかすればいい。
もったいないのは、つまらないのに義務で読む時間。
そんな風にして読んでも、何のトクにもならない。

本の中にはどんなに眠くても、
おもしろすぎて、先を読まずにいられない本もある。
つまらない本を義務感で読む時間なんて人生に必要ない。
世の中にはおもしろい本がいっぱいあるのだから。
最近読んだおもしろかった小説が「空飛ぶタイヤ」池井戸潤著だ。

この作家の本は初めて読んだ。
でもとてもおもしろく、早く先を読みたくて仕方がなく、
宮崎に行く飛行機の中、
朝早く出発したこともあり、むちゃくちゃ眠くて、
飛行機で爆睡するはずが、
本がおもしろすぎて、まったく寝ずに読み進め、
さらには熊本空港から高千穂までの2時間のバスの中でも、
ずっと本を読んでいた。
そのぐらいおもしろかった。

内容はよくある企業小説であり、
なんとなくパターン化された感もあり、
それほど驚きの展開があるわけではない。
でも読まずにはいられない。
ストーリーがおもしろいことはもちろんだが、
何より興味深いのは、登場人物それぞれが、
自分の立場や組織の立ち位置や自分の欲望と葛藤しながら、
行動を決めていく様子がわかること。
それが全体として織り成すと、
こんな風な社会になってしまうのかということがよくわかる。

この本に書かれている企業や組織の病理は、
多かれ少なかれ今、自分が所属しているところでもあるはず。
その時、自分はどのような態度をとり、どう行動するか?
それによって社会にどんな影響を与えるのか。
ぜひそういう見方で本を読むと、
この本が単なる小説ではなく、
組織での個人のあり方を考える、
より一層興味深い本になるだろう。

でも思う。
もう組織至上主義の時代は終わった。
これからは日本も世界も個人の時代になる。
たとえば今の日本の政治がダメなのは、
組織=政党が政治家=個人より優先されているからだ。
どんなに素晴らしい理念や政策を持った政治家に入れても、
大きな政党に所属していなければ、
はっきりいって何もできないし、
でも大きな政党に属したら、
政党の多数の方針に従わざるを得ず、
前回の民主党のようにマニフェスト違反の法案に、
賛成を強要されるようなおかしな事態を引き起こす。

それは今のどうしようもない政局を見ればわかるように、
政策がまったく違う党や個人が、
私利私欲のためにくっついたりしているわけだ。
その典型が維新の会と石原慎太郎なわけだが。
政党に取り込まれれば、個人の政策はなきに等しいし、
逆に政党の多数の方針でないにもかかわらず、
傲慢な人間が政党のトップに立つと、
マニフェストにないことまで強引に推し進めてしまう。
個人を犠牲にして組織=政党を優先する体制が機能不全を起こしているのだ。

もう政党政治=組織政治では機能しない。
政党はなしにして、それぞれの法案ごとに、
それぞれの政治家が個人の信条で賛否をする方がよっぽどもいい。

話がそれたが、「空飛ぶタイヤ」は、
別に政治の小説ではなく、企業小説だが、
企業も今の情けない政局争いの政治と似たり寄ったりで、
お客様=国民の満足を考えるより、
社内政治に明け暮れ、派閥を作ったり、裏切ったり、
または個人の私利私欲を優先したりすることで、
本来あるべき企業のあり方がどんどんねじ曲げられていく。

「こんなことするのはおかしいのではないか?」
とどんなに素晴らしい社員が思ったところで、
組織に逆らったら「死」を意味するため、
違法まがいの行為や、お客様のためではなく、
これが社内のためだけのものとわかっていても、
そっちを優先させてしまう。

一人一人の行動は小さいかもしれないが、
組織の論理に押し込まれて、
住みにくい社会を作る加害者になるのか。
それとも少しでも社会がよくなるよう、
そこで組織の論理に抵抗し、
正しい道を選択できるよう行動するのか。

かさこマガジン2で「既得権益はあなたです」
と書いたのはそういうこと。
政治家が悪いといったところで、
国民一人一人が日本社会の一端を担っているわけで、
一人一人の行動の総体が今の日本を作っている。
だとするなら政治家が悪い、だから社会が悪いという前に、
自分ができる行動から変えていく。
それは政治活動とかそういうことじゃなくて、
企業が間違ったことをしていないか、
そうしたことに加担していないか、
少しでも社会が良くなるための選択を行っているかは、
自分自身の行動いかんにかかっている。

そんなことも考えさせられる小説。
ぜひ読んでみるといいと思います。

空飛ぶタイヤ」池井戸潤著

・前にも紹介したけど311後にあらためて読みたいおもしろい小説
マグマ」真山仁著

天空の蜂」東野圭吾著

沈まぬ太陽」山崎豊子著


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by kasakoblog | 2012-11-26 23:30 | 書評・映画評


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