2013年 01月 03日
物の見方の視野を広げる本「不愉快なことには理由がある」橘玲著
万人受けするとは言い難く、
読んでいると救いがない本にも思えてくるものの、
でもいろいろな社会問題について、
物の見方の幅を広げるという意味ではおもしろい本なので、
興味のある方は読んでみてください。

この著者の本にはハズレが少ないので購入。
物の見方も共感できることが多い。
この本は、政治、経済、社会、人生など、
マスコミなどでよく取り上げられている、
私たちに身近な話題やニュースについて、
おもしろい視点、切り口で解説されている。

例えば、私がおもしろかったなと思った解説のほんの一例。

・経済のグローバル化によって、
先進国の所得が1割減るかわりに、
中国やインドの人たちの所得が倍になれば、
人類全体としての幸福の総量は明らかに増えている。

・あらゆる国がすべての関税を一斉に撤廃するのが、
もっとも理想的であることは明らか。
関税をかけることが有利であれば、
静岡県は県内のみかん業者を保護するために、
和歌山県産のみかんに高率の関税を課すべきだが、
そんなことを真剣に主張する人はいない。

・ゲーム会社のコンプガチャが批判され、処罰されることになったのに、
コンプガチャより射幸心を煽る宝くじ法が改正され、
宝くじの最高賞金の上限が額面の250万倍にまで引き上げられた。

・宝くじは愚か者にに課せられた税金。
3000円分買うと自動的に1590円分、
宝くじ協会に経費として差し引かれる。
これほど経費率の悪いギャンブルは他にない。

それでも宝くじが儲かるのは、
確率を正しく計算できない不合理な行動をとる人間が多いから。

・経済問題における不都合な真実としては、
「解雇を容易にすれば失業率は下がる」こと。

・最近の日本の若者は海外に出ずにリスクをとらないというが、
いまだGDP3位の経済大国である日本において、
海外に出てリスクをとるより、
国内にいる選択をするのは経済合理性にかなっている。

・なぜ公立学校ばかりでいじめが問題になり、
私立学校ではいじめがないのか。
それは、私立学校では問題のある生徒を退学処分にできるから。
評判が悪くなれば倒産してしまうから、
強制的な措置をとることができる。
公立でいじめ問題をなくしたいなら、
民営化して、学校に生徒の退学処分の権限を与えればいい。

・いじめ対策のためにスクールカウンセラーを配置しても無意味。
なぜなら子どもにとって大人は敵対する集団であり、
大人にチクる子どもは仲間として許されないから。

・「幸福の計算式」によると、
恋人の死別のような一度限りの不幸な出来事より、
毎日の長時間通勤のような持続する苦痛の方が、
幸福度を引き下げることがわかっている。

・人間は「得すること」より、
「損すること」に過敏に反応する。
例えば、レジ袋を使わないと2円割引するより、
レジ袋を持っていないと2円追加でとる方が、
人は「損」したと感じ、エコバックを持つようになる。


こうしたことが最近の学問や研究成果をベースに、
いろいろと詳細に解説されている。
どうしても人はいろんなニュースを一面的に見てしまいがち。
また人は恐ろしいほど、
合理的な判断をしているわけではないことが、
この本を読むとよくわかる。

ただそれが「本能的に備わっている」と言われてしまうと、
不愉快なことが不愉快なまま存在し続けるのは仕方がない、
という話になり、なんの救いもない話になってしまう。
ところが最後のエピローグのところに、
不愉快なことを解決する糸口が書かれていて、
この文章があるのとないのとでは、
この本の読後感は大きく変わるだろう。

途中で救いがないなと思ったら、
エピローグから読むといい。

ちなみに不愉快な問題を解決する糸口として、
自由市場主義+人の本能や感情に訴えた仕組み作り
(レジ袋の2円割引か2円別途とるかの違い)
=進化論的自由主義を掲げている。

その結論にはとても共感する。
私は格差が広がろうが、自由主義を進めていくことと、
小さな政府にして国の役割を制限し、
民営化できるものは民営化する方向がいいと思っている。
なぜそれがいいのかというと、
人の本能や感情面でその方が機能すると思うからだ。
それについてもこの本を通して読むとよくわかる。

はっとする考え方やユニークな切り口が多いので、
上記に書いてあるような解説で、
1つでもおもしろいなと思ったことがあれば、
買って読んでみるといいと思います。

・「不愉快なことには理由がある」橘玲著

・生き方・働き方を考える年末年始に読みたい本
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by kasakoblog | 2013-01-03 23:43 | 書評・映画評


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