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福島の犬猫であふれかえる新潟~きっかけは警戒区域の1匹の犬

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ワンワンワンワン!ワンワンワンワン!
ニャンニャンニャン!ニャンニャンニャン!

新潟駅から約15km。
新潟市西蒲区の山間のシェルターには、
猫が約300匹、犬が約120匹、
にわとり、うさぎ、カモなど、その他の動物が約80匹、
合計約500匹もの動物が暮らす場所がある。
新潟県内で殺処分されてしまう犬や猫を助けようと、
2008年に設立された動物保護活動を行う、
アニマルフレンド新潟の施設だ。
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ところがシェルター内のゲージをみると、
どこもかしこも「福島」「福島」「福島」……。
2011年3月に福島原発事故が起きたことで、
新潟の小さな動物保護団体の性格が大きく変わった。

「2008年に始めた頃は犬猫合わせて100匹ぐらいしかいなかった。
でも今はその5倍もいます」
そう語るのはこの団体を設立した、イザベラ・ガラオン青木さんだ。
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はじめは新潟県内の犬猫を助けるため、
小規模な団体に過ぎなかったが、
今やスタッフ10数人、動物500匹をかかえる大所帯となった。
東日本大震災による福島原発事故で、
福島で被災した動物たちがあまりに多く、
何もしなければ殺処分されてしまうため、
活動範囲を福島に広げ、
福島の被災動物を助けている結果、ここまで数が膨れ上がった。
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猫300匹のうち、100匹が福島の猫。
犬120匹のうち、100匹が福島の犬。
その他動物の80匹はほぼすべて福島だ。

東日本大震災が起きた時、
イザベラさんは動物救護が必要になると考え、
3月14日に宮城や岩手に入った。
しかし津波で壊滅した町に助けるべき動物は少なく、
その惨状に唖然としたのだった。

被災地で情報収集している中、宮城、岩手はいいが、
福島がひどいことになっているという話を聞いた。
動物が町を徘徊し、大変なことになっていると。

でも福島は原発事故が起きた。
そのため放射能汚染の危険から、動物保護団体の中でも、
福島だけは避ける傾向が強かったという。
宮城、岩手も大変だが、支援に行く人はいる。
しかし福島は少ない。
ならば福島の動物を助けようとイザベラさんは思った。

1986年から日本に移住し、暮らしているので、
日本語もペラペラだが、イタリア生まれで8歳まで暮らし、
その後はイギリスに住むなど、海外とのつながりも深い。

「海外のニュースを見ると福島原発事故は、
メルトダウンし放射能漏れして、
大変なことになっていると報道しているのに、
日本の報道があまりにものんきなことに、
その温度差に愕然とした」と危惧しながらも、
みんなが行かないなら誰かが助けなくてはならないと、
福島支援の道を選んだ。

福島支援のきっかけとなったのは、
原発から近い大熊町に住んでいて、
長崎に避難していた被災者からの問い合わせだった。

「長崎の避難所にいるが、愛犬を連れてこれなかったので、
祖母が毎日のように泣いている。なんとか犬を助けてくれないか」

そんな問い合わせを受け、3月21日に、
放射能が降り注ぐ大熊町へと入り、
その犬を見事助けたのだった。

政府が原発20キロ圏内は危険だから、
立ち入りしてはならないと禁止したのは、
事故が起きてから1カ月以上も後のことだ。

その間、自由に入れたので、
イザベラさんの団体はできるだけ動物を助けようと、
何度も原発そばまで行き、犬猫を助けた。
犬猫以外を引き受ける団体がなく、
時には違う動物も保護した。

ところが4月末から警戒区域に指定され、
許可なく立ち入ることができなくなったので、
原発20キロ圏外だが放射線量が高く、
計画的避難区域に指定された飯舘村などを中心に、
保護活動を続けていた。

「おかしいですよ、日本政府は。
線量が高い事故直後の時は立入禁止しないのに、
1カ月もしてから立入禁止にするなんて」と、
イザベラさんは国の対応のおかしさに疑問を抱く。

その後は福島のボランティアと連携し、
保健所で殺処分されそうになる動物の保護に注力している。
「保健所では被災動物は殺処分しない、
との建て前になっているが、
被災動物でなければ殺処分されてしまう場合もある。
でも被災動物かそうでないかなんて、実際には判断かつかない。
1匹でも多くの命を助けたい」

福島のひどい惨状を見て、
動物たちの命を見捨てることができず、
救護活動を行っていた結果、
保護する動物はどんどんと膨れ上がっていった。

「福島で被災した人は、未だ生活設計のメドが立たず、
また仮設住宅や移転先のアパートで、
ペットが禁止になっているところも多く、飼うことができない。
こうした飼い主がわかっている犬猫もたくさんいる」
とイザベラさん。

原発事故のせいで生活がズタズタになり、
人が経済的に復興しにくい福島では、
かわいくてもペットを飼える余裕もなく、
こうした動物がいわば二次被害にあっている。

それでももともと敷地が広いこともあり、
次々とシェルターを増設して対応した。
ボランティアだけでは維持・管理ができないため、
10数名のスタッフを雇っている。

資金は自身が経営するペットホテルの売上を使用。
あとは寄付に頼っている。
震災当初は海外からも関心が高く、
多額の寄付があったが、
最近は震災への関心が薄れ、寄付もどんどん減ってきている。

保護した動物たちを助けるために、
イザベラさんが必要としているのは、
1:資金の寄付、2:保護動物の里親、
3:ボランティアの3点だという。

「犬は中型犬が多く、猫も子猫ではないので、
なかなかもらい手がなくて厳しい」と苦悩をのぞかせる。

そういえば昨年、柏崎刈羽原発関連の取材をした時、
原発反対している地元の議員さんが、
「新潟は福島から避難している人も多い」と話していた。
人は自分の意志で避難できるが、
残されたペットは下手をすると殺処分されかねない。
そんな惨状を見て、助けている人がいて、
その動物たちが新潟に来ている。

そして皮肉にもこの施設がある場所は、
以前に原発計画があったにもかかわらず、
住民の反対で阻止したところだ。
なんともいえない皮肉だ。
しかし隣の市には柏崎刈羽原発がある。
地震が多い新潟にもかかわらずだ。

宮城、岩手は大変な被害にあったが、
原発がない分、被災地に行ってもまだ希望が見える。
しかし福島に取材に行くと、
何をやっても原発問題がかすめ、希望を見出しにくい。

しかし避難した先にまた原発があり、
地震が多い場所なのに原発再稼働するとなれば、
またしても流浪の民になりかねない。
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人災は人間にとって自業自得だからやむを得ないとしても、
動物や自然にとっては大迷惑な話。
事故を起こしたらきっちりその責任を取るべきだが、
単なるゼネコン儲からせるためだけの、
無駄で意味のない除染に莫大な費用を注ぎ込んでいるわりに、
被災動物への支援を民間の団体に頼っている状況。

「私にもっと力があれば、
もっと多くの動物の命を助けられたのに」と、
イザベラさんと言っていたが、
ここまでできるのはすごいことだと思う。

原発事故のツケを、原発事故のせいで殺される命を、
助けている人たちがいる。

・興味のある方はアニマルフレンド新潟のホームページをご覧ください。
http://www.af-niigata.org/

・同様の活動をしている、
以前取材した「にゃんだーガード」さんのホームページ
http://nyanderguard.org/

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by kasakoblog | 2013-02-18 21:28 | 東日本大震災・原発

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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