2014年 04月 10日
言葉だけがコミュニケーションじゃない~吃音コンプレックスを乗り越えた旅
「わわわ、わたしはわたしはわたしは、けけけけっしてけっして、
ビビビビビッてるわけわけわけじゃなくてなくてなくて…」

かさこ塾一期生一回目の授業でのこと。
受講生に自己紹介をしていただいたのだが、
Hiroshiさんの自己紹介が訪れた時に、このような出来事が起きた。

私は彼が吃音であることはまったく知らず、
(吃音=発声時に第1音が円滑に出なかったり、ある音を繰り返したり伸ばしたり、
無音が続いたりする言語障害※デジタル大辞泉より)
こういっては非常に失礼なのだが、
何度も言葉が定期的に繰り返されるリズムがまるで音楽のように聞こえて、
ひょっとして自己PRをするためにわざとラップ調みたいな感じで話しているのかと思ったが、
実はそうではなく吃音であることが自己紹介でわかった。

吃音の方とは知らず、いきなり自己紹介させてしまい、
私の配慮が足りなかったと思い、講義を終えた後、
彼に謝りにいったのだが、まったく気にしていない様子だった。
他の受講生の人たちも、どもりながら、たどたどしく話す彼の話を、
きちんと聞いてくれたおかげもあった。

吃音。
それはかなりしんどいハンデだと私は思う。
なぜなら見た目にはわからないから。
足がないとか手がないなら、
他人から見て何が不自由かがわかりサポートのしようがある。
しかし吃音はわからない。

彼は学生時代のファーストフード店のアルバイトで裏方の製造を担当していたのだが、
「吃音だろうと他のアルバイトと同様、接客からやってもらうべきではないか」
という話から接客も担当することになり、言葉がうまく出ないために、
「お前は喋ることもできんのか!!!」と、罵声を浴びせられたこともあったという。

そんなひどいと思うかもしれないが、
それは彼が吃音であるとあらかじめ知っていればの話。
そうでなければわからない。

Hiroshiさんは子供の頃や学生時代、吃音でいじめられることはほとんどなかったという。
社会人になっても、彼は吃音であることがあらかじめわかっている人は、
吃音であることを気にせず、普通に接してくれた。

でも知らない人にはそうはいかない。
時にはこうしてどなられてしまうこともある。
このため彼は自分に自信が持てず、積極的に行動できない面も多かった。

15歳だったあの頃、僕はどもるから人生を捨てるしかない。
そう思っていた。
どもるから友達も少ないし、勉強もできない。
どもらなければ、先生や親や周りの同級生にもっと認められるはず。
そんな風に思ってた。
どもってしまうと、途中で話すことを諦めることもたくさんあった。
自分の想いとか楽しかったこととか、いやでどうしょうもなかったこととか、
どもるから途中で諦めてしまう、伝えることを。
そうやって、自分の言葉を押し込めてきた。
そのうちに、自分のことを話すことができなくなっていた。
嬉しい時も、悲しくて助けて欲しい時も、なんて言葉にしていいのかわからない。


※Hiroshiさんのブログより
http://outdoorbackpaker.blogspot.jp/2014/04/httpoutdoorbackpaker.html

そんな吃音である彼が言葉のコンプレックスを乗り越えた旅があった。
いつか海外旅行に行ってみたいと思っていた彼は、20歳の時にはじめての海外旅行に出た。

タイのバンコクに降り立った彼は安宿が集まるカオサンに行ってほしいと言ったのに、
バイクタクシーの言われるまま、違う場所のホテルに連れて行かれた。
親切をよそおい、日本語で話しかけてきたアラブ人からは、パスポートを盗まれそうになった。
アンコールワットへと向かうバスの中では、オランダ人のホモに痴漢されそうになり、
普段はどもるはずの彼は思わず「NO!」と大声で叫んだ。

そしてアンコールワットそばで宿泊したゲストハウスで働く女の子との出会い。
習ったばかりのカンボジア語で話しかけても、
彼女はうんうんうなづくだけで言葉を発することはなかった。
でも一緒に洗濯物をしたり、思わず互いに笑いあったり、
彼女との間には言葉を発しなくても通ずるコミュニケーションがあった。

「言葉だけがコミュニケーションじゃない」

Hiroshiさんはこの時、悟った。
確かに自分は言葉を話すのが苦手かもしれない。
そのせいで他人との関わりを持てなかったり、
自分に自信がなかったり、積極的に行動できない自分がいた。
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(写真:Hiroshiさんより)

でもそれはささいなことなのではないか。
言葉がうまく話せなくても人に伝える方法はある。
旅によって彼は少しだけ吃音コンプレックスから脱し、自信を持てるようになったのだ。

かさこ塾全4回の最終回。受講生全員にプレゼンをしてもらった。

私はHiroshiさんのことを心配した。
吃音ゆえプレゼンは厳しいかもしれないと。
そこでプレゼンをしてもらう前に、受講生にこんな話をした。

「別にプレゼンだからといって話さなくてもいいですからね。
スライドショーにして音楽を流すだけでもいいし、
楽器で演奏するだけでもいいし、他の人を連れてきて代わりにしゃべらせてもいいし」
Hiroshiさんのことを考えての発言だった。

プレゼン当日。
Hiroshiさんはたどたどしい言葉を話しながらも、
でも言葉少なに、彼が旅で撮った写真に、
自分の想いが載せられた言葉のスライドを次々と映し出し、
まるで映画を見ているような素晴らしいプレゼンだった。

その中のスライドの1枚にあったもの。
それが、
「言葉だけがコミュニケーションじゃない」
というメッセージだった。

吃音である彼が言うからこそ説得力のある言葉だった。
言葉を載せられた彼の旅写真もよかった。
不慣れなプレゼンだったかもしれないが、聞いていた人の心を動かすプレゼンだった。

・・・・
セルフブランディング。
それは自分をさらけだすことにある。
弱みもすべては個性になる。見せ方次第でそれは強みにもなる。

障害を武器にすることに抵抗を持つ人も多いだろう。
それを批判する人もいるはずだ。
でも世の中なんて残酷だ。
どんなに上っ面でいいこと言ったところで、
障害者、若い美人女性、かわいい子供は持ち上げたがるのも事実。
所詮、自分という人間は他人や周囲によって規定される。
ならば他人や周囲が求めているものをうまく利用し、
自分の弱みを強みとして見せていけばいい。
もちろん、だからといって誰かのように詐欺はダメだけど。

自分がどんな特徴を持った人間なのか、
かさ上げすることではなく、弱いところも強いところも見せて、相手に自分のことを理解してもらう。
その上で、自分だからこそ人に伝えられることや役立つことを発信していく。
そこで自分と他人とがつながり、場合によっては仕事になったりもする。

プライドが高かったり、変に恥ずかしがったり、
失敗を恐れたり、セルフイメージが低かったりすると、
ネットやリアルで自分をさらけだすことに抵抗を覚える人も多い。
でもそれでは誰もあなたのことはわかってはくれない。

自分が何ができるのか。どんな人間なのか。
どんなことが好きなのか。どんなことをしたいのか。
ありのままを他人にわかりやすく、嫌がられず伝えていく。

それがセルフブランディング。

Hiroshiさんの言うように、言葉だけがコミュニケーションではない。
文章でもいい、写真でもいい、イラストでもいい、物でもいい、
音楽でもいい、動画でもいい、話すことでもいい。
何でもいいから好きなことで自分を表現し、周囲に伝えていくこと。

はじめは稚拙かもしれない。
でも好きなことなら続けていけば、きっとうまくいく。何より人生が楽しくなる。

吃音でプレゼンが厳しいのではないかと思った彼が、
弱みを強みに変えて誰よりも感動的なプレゼンができたように、
見せ方をうまく考えれば、誰もが弱みを個性に変えて、
自分らしく生き生きと楽しく人生を過ごすことができる。

「いいことイヤなこと。過去の経験を未来の武器に変える」
というのが、最新のかさこマガジンのテーマ。
マイナスからプラスに人生を転化させていく人を応援していきたい。

・Hiroshiさんのブログ
http://outdoorbackpaker.blogspot.jp/

・マイナスからプラスへ。生き方・働き方ページ
http://www.kasako.com/life.html

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by kasakoblog | 2014-04-10 17:47 | 生き方


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