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株価で政権の良し悪しを判断するバカが多い件

自民党を批判する側も民主党を批判する側も、過去の株価の推移を見て、
「●●党政権時代にこれだけ株価が上がったから経済政策はよかった」とか、
「●●党政権時代にこれだけ株価下がったから経済政策は悪かった」とか、
正気を疑うようなあまりにもバカげた投稿をしているバカを何人か見かけたので、
まともな人間はそんなことに惑わされないと思うのだが、
中にはこうした記事に騙されてしまう人もいると思うので説明しておきたい。

結論からいえば、株価の良し悪しで政権の是非を論じるのは、
荒唐無稽なバカであり、何の意味もないということだ。
なぜなのか主な4つの理由を説明しよう。

1:日本の株価の変動は日本経済や経済政策の良し悪しだけで決まるわけではない
こんな当たり前のこともわからないのかという人が多いが、
日本の株価は日本経済だけで決まるわけではない。

例えば2008年。
2008年6月時点で14000円台だった日経平均株価は、
半年後の2008年12月には8000円台にまで急落した。
株価が6000円も下がった。
じゃあこれだけ株価が下がったのは、
当時政権を担当していた自民党の経済政策が悪いのかといえばそんなことはない。
株価下落の要因は世界的な金融危機であって、
日本の経済政策なんぞほとんど関係ない。
でもそれを「株価が下がったのは自民党政権時代だから、
自民党が悪い!」というのはまったくのナンセンスだ。

もちろん金融危機が起きた後に、景気対策として、
麻生自民党政権が12000円配る定額給付金制度という世紀の愚策を行ったのは、
政権の良し悪しを考える上での判断材料になるが、
金融危機で株価が6000円も下がったのは政権とは何の関係もない。

もう1つ例を挙げるなら2011年。
2011年3月10日の株価は1万円台だったが、
東日本大震災が起き、福島で原発事故が起き、
3月15日には8000円台になっている。急落だ。

じゃあこれだけ株価が下がったのは民主党政権のせいだ!
というバカは多分どこにもいないはず。
地震や原発事故が起きたから株が下がっただけで、
政権の経済政策とは何の関係もない。

そもそも日本の株価はほぼアメリカの株価と連動している。
アメリカ経済がよくなりアメリカの株価が良くなれば、
日本の経済政策など関係なく日本の株価は上がる傾向にある。

安倍政権になって株価が上がったのは、
アホノミクスによる金融緩和の要因ももちろん大きいが、
そもそもアメリカ経済が回復し、アメリカの株価が右肩上がりになっているから、
それに連動し、日本の株価も上がっているという要因も非常に大きい。
日米の株価推移を見てみれば一目瞭然だ。

逆にいえばいくら日本の政府が素晴らしい経済政策をしたところで、
アメリカ経済がダメだったり、アメリカの株価が低迷していたら、
日本の株価は上がらないだろう。

結論:日本の株価の変動は政権の経済政策の良し悪しで決まるわけではない。

2:株価が上がっても国民の生活が良くなるとは限らない
まるで株価が上昇すれば国民の生活は良くなり、
株価が低迷していれば国民の生活は悪くなるといった、
単純な論調で政権を評価しているバカが多いのに驚くわけだが、
株価の良し悪しと国民の生活の良し悪しは必ずしもイコールではない。

そもそも日経平均株価は日本の中でごく限られた大企業の株価の平均に過ぎず、
そこに上場していない圧倒的多数の中小企業の評価は反映されていない。
また企業の業績がいいから株価が上がり、業績が悪いから株価が下がるとは限らない。
株式市場という賭場は人気投票に過ぎない。
世界中で株式市場という賭場で金稼ぎをしたいと思えば、
企業の業績と関係なく全体的に株価は上がり、
株式市場なんて恐ろしい賭場にお金を振り向けたくないと思えば、
企業の業績と関係なく全体的に株価は下がる。

2005年~2007年しかり、その前の時代のバブルしかり。
猫も杓子も株式投資に夢中になるような時代になれば、
企業業績や国民生活とは関係なく株価が上がる。
株価が上がる=国民生活が良いというわけではまったくない。

今まさにアベノミクスが問われているのはこの点だ。
アベノミクスは私は大成功だったと思っている。
なぜならアベノミクスとは庶民から富を収奪し(消費税増税)、
異次元の金融緩和という副作用があるかもしれない禁断の麻薬を使い、
株価をつり上げる、物価を上昇することを目的にしたものだからだ。
その意味でその通りになった。
でもアベノミクスとは株価をつり上げることが目的であって、
国民生活を良くしようなんてハナから考えていない。
一部の輸出企業や大企業が儲かればそれでいいというのがアベノミクスであって、
国民生活を良くするためにアベノミクスをしたわけではない。

だからアベノミクスで株価が上がったから、国民生活も良くなったともいえない。
安倍政権前より株価が上がったので、国民の生活が前より良くなったかどうかはわからない。
株価上昇=国民生活が良いではない。

結論:株価を上昇した政権が国民生活を良くしたとは限らない

3:株価上昇の要因がその時の政権のおかげとは限らない
アホノミクスのように劇薬麻薬によって短期的に株価を上昇させる、
相場操縦的な政策はさておき、様々な経済政策を実施したからといって、
それがすぐ株価に反映するかどうかは別問題だ。

もしかしたら何年か前に実施した経済政策のおかげで、
今になって株価が良くなることもある。
逆にその反動で株価が悪くなることもある。
株価が時の政権の経済政策の成績表とは限らない。

需要の先食いをするような経済政策を行った場合、
その時には株価が上がるかもしれないが、
何年かしたらその反動によって悪影響を及ぼす。
しかし株価が下がっているのは前政権の需要先食い政策のせいであって、
今の政権のせいであるとは限らない。

株価で政権運営の良し悪しが判断されるのであれば、
みなアホノミクスのように、何年かたった時の副作用や悪影響は無視し、
目先の株価を上げるための政策をばんばんするようになるだろう。
でもそれで株価が上がったとしても長期的に見て国が本当によくなるのか。

民間企業の四半期業績で経営者の良し悪しで判断するように、
政権の良し悪しを短期的な株価の推移で判断するなんて愚の骨頂としかいいようがない。

結論:経済政策の影響にはタイムラグがあるものもある

4:経済だけが政治じゃない
そして最もバカなのは株価だけで政治を判断しているということだ。
当たり前の話だけど政権の良し悪しというのは経済政策だけで決まらない。
株価にはほとんど関係のない様々な政策もある。

例えは秘密保護法案を通したかどうかは、直接的に株価には何の関係もない。
例えば年金制度を充実させたところで、直接的に株価には何の関係もない。
政権の良し悪しを判断する上で、
経済政策以外でどんなことをしたのかは極めて重要な要素だ。

また下手をしたら、社会保障を充実させる政権では株価が下がるかもしれない。
なぜならその分コストがかかるからだ。
でも株価が下がるから社会保障はカットしますという政権がはたしてよいのか。

アホのごとく株価の推移だけで、あの政権は良かったとか、
あの政権は悪かったなんて言っていること自体が根本的におかしい。
政権は民間企業ではないし、経済政策だけをやっているわけではない。
ましてや株価対策をするところでもない。
株価で政権の良し悪しを判断するなんて頭が悪すぎるとしかいいようがない。

結論:政治は経済政策だけで評価が決まるわけではない

・・・・・・・
株価を上げた政権がいいとか、
株価が低迷していたからその政権が悪かったとか、
そんな幼稚な記事にくれぐれも騙されないように気をつけたい。

・日本株6年ぶりの高値。2005年の株バブルとそっくり
http://kasakoblog.exblog.jp/21387656/

・経済成長が目標なら人口増やさなきゃダメなんじゃないんですか?
http://kasakoblog.exblog.jp/20781215/

・まだ株高でも円安でもない~10年スパンで市場を見る
http://kasakoblog.exblog.jp/20222945/

・金融緩和をギャンブル場に例えてわかりやすく解説
http://kasakoblog.exblog.jp/20709528/

<お知らせ>
・11/29(土)愛知県豊田市で映画「シロウオ~原発立地を断念させた町」上映!
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http://kasakoblog.exblog.jp/22281210/

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by kasakoblog | 2014-11-23 21:30 | 政治

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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