2015年 05月 16日
仕事のやり方ではなく人としてのあり方を教えれば売上は上がる~居酒屋チェーン奥志摩グループ中村文也さん
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居酒屋チェーンで有名なワタミの赤字が拡大し、
2015年3月期に100店舗閉鎖にとどまらず、2016年3月期に新たに85店舗閉鎖するという。
「ブラック企業だ」と方々から批判されたことも要因なのかもしれない。

ワタミに限った話ではなく、居酒屋チェーンや飲食業は、
薄利多売、熾烈な価格競争から効率重視、人件費を切り詰めるため、
長時間労働、安月給などで従業員が疲弊してしまうケースが多い。
厳しい競争の中、ここ4年で売上が2倍になったというのが、
名古屋に拠点の構える居酒屋チェーン奥志摩グループだ。

店舗数が2倍になったわけではないのに売上がなぜ2倍に伸びているのか。
奥志摩グループの社長、中村文也さんは、
「従業員に、がんばれ!とか努力しろ!とは言わない。
むしろ、がんばるな!努力するな!楽しめ!とアドバイスしている」と話す。

中村さんがたまたま他の居酒屋チェーン店に行った時のこと。
てきぱきと動く従業員の姿は素晴らしかったが、
効率重視のため時間に応じて最少人数のシフトで回しているせいか、
ただただ客の言われるままの「作業」に追われて、
働くスタッフに心の余裕がなく、必死さを感じてしまった。
「スタッフがワクワク楽しく働いていなければ、
お客さんにこうした気持ちは伝わってしまい、
結果、お客さんは離れていってしまうのではないか。
好きなことしか続かない。
だからうちでは楽しめ!ワクワクすることをしよう!と、
従業員が楽しく働ける環境づくりに力を入れています」と中村さんはいう。

また中村さんが細かな仕事のやり方を教えることはほとんどないという。
「大事なのは人としてのあり方。あり方さえしっかりしていれば、
お客さんに喜んでもらうことができ、結果、売上が伸びていることにつながっているのでは」
と分析する。

でもどうやって人としてのあり方をスタッフに教えているのか。
「毎日従業員に人としてのあり方をしっかり持つために、
参考になるような話をメールで送っているんです。
人間としてかっこいいことか、ダメなことなのか。
これさえ間違わなければ、お客さんに支持してもらえる店になるはず」

このメールがおもしろい、ためになると評判になり、
今ではフェイスブックに毎日投稿し、
従業員だけでなく多くの人が読めるようになっている。
毎日この話に500人~600人いいね!がつくという好評ぶりだ。

「人生、苦しく大変なものと考え、悩んでいる人は多いのですが、
そんなことはないんです。
ワクワクしたことやろう!
そしたらみんな、自分の思い描いた通りの楽しい人生になるはず。
そういうことを社員だけでなく多くの人に伝えていきたい」

今ではこのフェイスブックの投稿が話題を呼び、
名古屋の町を歩いていると知らない人から声をかけられ、
「いつもフェイスブック読んでます!」と声がかかることもあるという。
また奥志摩グループを知らない人も、中村文也さんという存在が、
フェイスブック上で知られるようになり、
中村さんの投稿がきっかけで、奥志摩グループを知るようになり、
それがきっかけで店に来てくれるお客さんも増えているという。

「実は好調な原因の一つは今年はじめに経営理念を変えたからなのかもしれません。
これまでは『心の喜び お役立ち』というものでしたが、
より具体的に『人に親切に楽しく幸せに生きる』にしたんです」

中村さんが日々実感していること。
それは人に親切にすることと、自分がワクワクする楽しいことをしていれば、
不思議といい結果がついてくるということだった。

例えば社員向けに送っていたメールは社員だけに送ればいいものを、
人の役に立つのなら多くの人に見てもらおうとフェイスブックに投稿するようになった。
結果、中村さんのファンが増え、結果として奥志摩グループのファンが増えた。

店の売上を増やそうと思ってフェイスブックにいい話を毎日投稿したわけではない。
いい話を多くの人に伝えたいと思って毎日投稿した結果、ファンが増え、売上が増えた。
中村さんのしていることは我欲ありきではない。
人に親切になることなら自分のできることならお金関係なく何でもやろうと思う、
その純粋な心がスタートになっているからこそ、従業員やお客さんの心を動かせるのだろう。

また人のあり方として中村さんが大事にしているのは感謝の気持ち。
「従業員の雇ってやっているという感覚じゃなく、
従業員のみんなが働いてくれているおかげで店が成り立っているという、
感謝の気持ちを持てるようになると、不思議と仕事はうまくいくんです」という。
昔から感謝の気持ちを大切にしてきたつもりではあるが、
若い時に比べたら今の方が従業員に対して何倍もの感謝の気持ちを、
心の底から持てるようになったという。
だからうまくいく。

他の経営者を見てもそう。
効率重視で社員や取引先に威張り散らしているような経営者の店は、
たいがいすぐに潰れるという。
でも従業員や取引先やお客さんを大切にしている経営者の店は、
やっぱり繁盛している。

講演会の企画を手伝った時のこと。
講師Aさんは名古屋駅までの送迎を頼み、かつ十数人で出迎えてほしいと指示があった。
講師Bさんは地下鉄で会場まで行くからわざわざ送迎の必要はなく、
出迎えなんかもいらないといった。
その後、商売がうまくいっているのはBさんの方だという。
Aさんの商売はあまりうまくいっていないという。
中村さんがいう「人のあり方」とはそういうことだ。
人への親切や感謝の気持ちがめぐりめぐって自分の仕事にも影響してくるのだ。

「それと大事なのは何でも自分でやろうとしないこと。
一人ひとりが持つ力にはそれぞれ得意不得意がある。
全部を自分でやろうとすると大変だけど、
親切心や感謝の気持ちがあれば、自分ができないことは人が助けてくれる。
何でもできる人になるより、人に助けてもらえるような人になりなさい、
という話を従業員によくしている」という。

効率重視で仕事のやり方を教えれば短期的には売上は伸びるかもしれないが、
それによって従業員が疲弊してしまえば、結果、お客さんは離れていく。
時間はかかるかもしれないが、人としてのあり方を伝え続け、
従業員が楽しく幸せに働いていれば、長期的に見れば売上が上がっていく。

この話を中村さんが聞いた時、マクドナルドの不振の原因は、
人としてのあり方ではなく仕事のやり方を重視した結果なのではないかと思った。
社員を大事にしていた時代はうまくいった。
でも効率重視、短期的な成果重視をした結果、
社員が疲弊し、結果としてお客さんが離れていってしまったのではないかと。

数年前に280円居酒屋が流行った時。
多くの居酒屋は売上が落ちたという。
中には流行にのり280円居酒屋をマネする居酒屋もあった。

「でも結局、今は随分280円居酒屋は淘汰されてしまったのではないか。
280円という安さで売ると従業員が疲弊してしまう。
心ない接客になってしまう。
結果、安さだけを求める客しか残らず、
他のお客さんは離れていってしまったのではないか」

奥志摩グループのホームページには、
「料理が旨いのは当たり前。
だからこそ私たちの仕事は、お客さまを楽しませることにある」と書かれている。

案外、消費者は、はじめは価格やメニューで店選びをしているものの、
何度も行くかとなると、値段が安くても対応が悪いと、足が遠のいてしまうのではないか。

店が繁盛するためにお客さんを喜ばせるにはどうしたらいいか?
働いている従業員が楽しく働いていることに尽きるのではないか。

仕事のやり方ではなく人のあり方を教える。
相手に喜んでもらうために、まず働いている側がワクワクする。
中村文也さんの教えはすべての仕事に通ずるのではないかと思った。
(取材日:2015年5月16日)

・中村文也さんフェイスブック
https://www.facebook.com/nakamura.fumiya.okushima

・奥志摩グループホームページ
http://www.okushima.co.jp/

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by kasakoblog | 2015-05-16 23:13 | 働き方


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