2015年 08月 20日
自分史「親の雑誌」の着眼点に学ぶ、フリーランスは受注仕事だけでなく自分で仕事を生み出す意識を
テレビで紹介されていた「親の雑誌」。
年配の方の人生をインタビューして、
雑誌風に仕上げてくれるというものだ。

着眼点が素晴らしい。
今までも人生をまとめる自分史ニーズというのはあり、
主に自費出版会社に数百万円払って、
100冊ぐらいの本にしてもらうサービスはいくらでもあった。

しかし雑誌にするとはよく考えたなと感心した。
16ページなので本ほど作るのは大変じゃないし、
コストも抑えられる。
書くのは自分じゃなく、代わりに話を聞いて書いてくれる。
雑誌風ならカラー写真とかも生かせて、
文字だらけの一冊の本より、気軽に読める。

すごくニーズがあるはず。
これ、フリーの編集者とかライターとか、
カメラマンとかデザイナーとか、
同じようなサービスやったら十分仕事になるんじゃねと思った。

このサービスを見て真っ先に思いついたのが、
今年6月のかさこ塾に来ていた鯰美紀さん。
なんたって彼女の肩書きは、
「家族の思い出記録」ライターだ。

これまで普通のライター仕事が多かったが、
家族の話を聞き、それを文章にして、
家族に思いを伝えるサービスをしたいと言っていたので、
これはまさしく彼女がしたいことじゃないか!と思って、
彼女に「親の雑誌」ってのがあるよっていうのを、
メッセージで伝えた。
「これ、鯰さんが同じようなサービスやったら、
仕事になるんじゃないか」と。

そしたら彼女がこんなコメントを書いてくれた。

今までの私(ビフォーかさこ塾)なら、この会社に連絡して、
「興味あるので、ライターとして採用してもらえませんか」
って聞いていたと思います。
雑誌作るなんて、絶対無理!と思っていましたから。
でも、かさこ塾生の多才さを拝見していると、
「塾生の協力があれば、不可能ではないかも」と思ってしまいます。


いやー、よくわかる。この気持ち。
ライターとかカメラマンとかデザイナーって、基本、受注仕事。
制作会社なり出版社なり広告代理店から、
「こういう仕事があるからこういうものを書いてほしい」
と依頼されて仕事をするというスタイルに慣れている。
だから「そんなにニーズがあるなら、
自分でそのサービスをやってしまおう!」という発想ではなく、
「この会社に営業して、下請けとして使ってもらおう!」
という発想になってしまいがち。

いやそれはそれで決して悪いことではない。
自分がやりたい仕事をするために、
やりたい仕事をしている会社に営業をして、
その仕事ができれば、好きを仕事にできる。

ただここで発想を転換すればいい。
この会社から仕事をもらうではなく、
自分でこのサービスをやれば、
発注主に縛られることなく、
好きなことを仕事にできるのではないかと。

もちろん自分でやるには、
面倒やリスクを抱え込まなくてはならない。
客を見つけるためのルート開拓。
代金をとりっぱぐれないようにすること。
印刷会社やデザイナーの手配など。

だからあくまで一ライターとして、
下請けで仕事をするのも悪くないけど、
自分でやっちゃうという選択肢もあるよね、
という発想ができるようになると、
ぐーんと自分の可能性が広がるわけだ。

私もフリーランスになってほとんどの仕事が受注、請負仕事。
3年目になって楽しい仕事を選べるようになり、
受注だろうが請負だろうが下請けだろうが、
仕事はめちゃめちゃ楽しい。

でもせっかくフリーランスになったのだから、
単に受注仕事だけでなく、
自分から仕掛けて好きなことを仕事にしたいという思いもあり、
また、受注仕事だけだと、担当者が変わったり、
雑誌廃刊になったり、クライアントの予算がしぶくなったりすると、
あっという間に仕事がなくなってしまうリスクが付きまとう。

実際に一部のフリーのクリエイターは、
特定の雑誌とか特定のクライアントに過度に依存していて、
その雑誌がなくなったら、いきなり収入ゼロになり、
仕事獲得に苦しんでいるフリーランスを時々見かける。

でも雑誌がなくなってしまったら、
もはや自分がいくら努力してもどうしようもない。
だから思うのだ。
フリーランスは受注仕事だけでなく、
自分で生み出せる仕事も持っておくといいと。

仕事を生み出すのって着眼点なんだと思う。
自分史サービスはいくらでもあったけど、
本だったからハードルが高かったのが、
16ページの雑誌になったら、なんか新しいよねみたいな。

私の周りにはフリーのカメラマンや、
カメラマン志望の知り合いが結構多い。
しかし近年、カメラマンの仕事の減り具合は半端ない。
なぜならデジタルカメラの登場で、
もはや技術職ではなくなりつつあるからだ。
特殊な撮影なら別だが、今までならプロに頼まなければ、
撮れなかった写真が、誰もがスマホで簡単に撮れてしまう。
スマホでなくてもデジタル一眼の性能がいいので、
私のようにライターなのに撮影もできる人も増えてきている。

そういう状況の中で、カメラマンは、
仕事は減る、報酬も安くなる中、
今まで通り「なんかいい仕事ないか」と、
営業しまくったところで限界がある。

ならば、自分で仕事を生み出せばいい。
例えば、「親の雑誌」のようなサービスをライターと組んで、
撮影仕事を獲得するとか、
あとカメラマン志望の人に私が必ずアドバイスしているのは、
遺影ビジネス。
亡くなった時にお葬式に飾られる写真だが、
意外といい写真がなくて困るということが多い。

ただプロが撮影する遺影写真はもうすでにやっている人も多いが、
右肩下がりの出版社に営業して、
単価叩かれ安い仕事するなら、
遺影写真のニーズを探ってみるのもいい。

とはいえ顧客獲得をどうするかが問題になるので、
例えば、編集者やライターと組んで、
自分史雑誌づくりの切り口で攻めて、
「そうだ、遺影写真も撮りますか」
みたいなアプローチもできるかもしれない。
実際にそうしたサービスをしている人も知っている。

ただ高齢者向けの自分史やら遺影写真やらは、
「儲かりそう」といって参入する人が多く、
競争も激化し、サービスもひどいのからいいのまでいろいろだとか。
結局、継続的に事業として続けるには、
儲かりそうかではなく、
自分がこの仕事をしたいかって観点で考えないと、
うまくいかない可能性は高い。

あとカメラマンにアドバイスしているのは、
撮影仕事は減っても、1億総カメラマン時代なのだから、
写真をうまくなりたいという人はいっぱいいるわけで、
撮影仕事だけでなく、撮影を教える仕事をしたらどうかと。
そうやって自分の持てるスキルをどう活かせるか、
ただ受注仕事ありきの発想から脱却した方がよい。

かさこ塾生にフリーのライターの宮野真有さんという方がいるのだが、
ライター仕事だけでなく、ブログを書いている一般の方に、
文章アドバイスをする仕事も始めて、とてもニーズがあって好調のよう。

書くだけでなく、書くことを教える。
今まで仕事先といえば出版社や制作会社だったが、
持てる技術を活かせば、それ以外にも顧客になるのではないかと、
発想の転換をすれば、自分の好きなことを武器に、
仕事にしていける可能性は高い。

フリーランスのクリエイターが、
社蓄ならぬ家畜となってしまい、
独立したのはいいけれど、
安くて注文が多く、そんなに楽しくなく、
かつ不安定な請負仕事だけに追われて、
奴隷のように土日も深夜もなく働くのでは、
何のために独立し、何のために働いているのかわからない。
若いうちは無理できるから、そのうち体を壊して、
仕事ができなくなり、仕事を一瞬にして失うというオチが待っているだけ。

ならば社会にアンテナはって、ニーズがありそうなものは、
自分でビジネスにして自分仕事を作り出す発想が必要だと思う。

そして個人一人でできないのなら、
他のフリーのクリエイターと組んでやればいい。
そうやって好きなこと、興味があることを、
自分仕事として広げていけば、
フリーになったけど、仕事に追われるだけでつまらない、
ということにはならないんじゃないか。
もしくは新しい仕事の可能性を探るのなら、
今まで付き合いのなかった異業種とコラボした方が、
仕事の可能性がぐんと広がる。

ただフリーのクリエイターって今までの牧歌的な時代を引きずり、
極めて狭い業界の中での分業専門職になっていたため、
なかなか発想の転換もしにくいし、異業種の知り合いがいない。

そういう意味で、「家族の思い出記録」ライターの鯰さんが言うように、
かさこ塾生にはカメラマンもいれば、デザイナーもいれば、
介護施設に働いている人もいれば、
エンディングノート作成アドバイスしている人もいて、
バラエティに富んだ人たちが集まっているので、
自分一人じゃなくても協力して進めることができるかもしれない。

あとは何と言ってもブログ。
請負仕事じゃなく自分仕事をしようと思った時に、
継続的にネットで情報発信していれば、
そこで「こんな仕事も始めました!」と告知できるし、
そこから集客につながる可能性もあるし、
協力者も募ることができる。

請負仕事でなく自分仕事をしようと思った時に、
自分のブランド力・個人力が試されるわけで、
どの程度の力があるのかって、
継続的にネットで発信しているかどうかにかかっている。
そこで安心感を持ってもらったり、
興味を持ってもらえるかどうか。
新しい仕事始めた時にあわててブログで情報発信しても遅いから。
だってそれって営業くさいでしょ。
それに新規で始めてすぐにアクセス数が集まるわけじゃないし。

だから普段からフリーのクリエイターは、
自分がどんなキャラでどんなことが強みなのかを、
日々情報発信しておく必要がある。

ぜひフリーランスの方は、
請負仕事だけしていればいいというスタンスではなく、
自分で仕事を生み出すという発想の転換を持つと、
社蓄ならぬ家畜にならず、
好きなことでお金を稼げるようになるんじゃないかと思う。

・宮野真有さんの文章術レッスンのご案内
http://miya-mayu.com/lesson/

・「家族の思い出記録」ライター・鯰美紀さんのブログ
http://ameblo.jp/miki-um

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by kasakoblog | 2015-08-20 20:10 | セルフブランディング


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