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2001年 07月 30日

千と千尋の神隠し

<1>
今話題の宮崎駿監督の最新作「千と千尋の神隠し」。
あれほどマスコミがバカ騒ぎするほどの大作とは到底思えないが、
個人的には大いに期待していた映画だったので、「もののけ姫」を見に行って以来久しぶりに映画館を訪れた。

宣伝が一切なく、いきなり映画が始まったことに好感を持つ。
(僕が映画館にあまりいかず、しかも毎月のように騒ぐ洋画を見にいかないのは、
とにかく宣伝があまりに大仰で誇大すぎるからだ。
騒げば騒ぐほど、宣伝すれば宣伝するほど、その映画のうすっぺらさが見透かされるからだ)

宮崎駿作品には「平成ぽんぽこ狸合戦」で痛い目にあっている。
あんな史上最低の映画をわざわざ映画館で並んで金払って見て損したという苦い思い出があるから、
その他の作品が良くても、最新作を見るときには緊張する。

その嫌な予感が出だしで漂った。
現実の日本を舞台にし、しかも主人公の父母が登場したからだ。
しかもなぜか無意味にも、普通の家庭なのに車が左ハンドルというのも気になった。
「これは失敗か?」と懸念したが、すぐにその心配はなくなった。

日常世界から非日常世界へ。
ファンタジー作品の非日常性を高めるためには、現実社会の大人が登場してはいけない。
すぐに父母は消え、少女を中心とした物語が展開した。
続々と登場する奇妙なキャラクターに、不可思議な舞台が登場すると、
日常という胡散臭い世界から一転して、映画は別世界へと移行した。
(まだ見ていない人のためにストーリーあかしはしません)

<2>
アニメだからこそできる独特のキャラクターに、アニメ映画としての完成度を感じる。
不可思議なキャラクターが入り乱れる奇想天外なストーリーに引きずりこまれていく。
主人公を少女にすることによる、人間としての未熟性ゆえの成長していく姿と、
常識にとらわれない、信じられない度胸と心の強さ。
単純に正義と悪、味方と悪役が分かれていないからこそ、話に深みがある。

(洋画がつまらないのは単純に正義役と悪役を振り分けてしまうからだ。
未だにアメリカ映画は、どんなに最新技術や莫大な金を使っても、ストーリーは西部劇と変わりない。
ヒロインがいて正義の味方がいて悪役を倒して救う。
何が良くて何が悪いかわからない時代に、単純な勧善懲悪話は必要ない。)

残念ながら、「天空の城ラピュタ」や「風の谷のナウシカ」のような、
冒険物語としての壮大性は失っているが、ファンタジー性は文句ない。
「もののけ姫」ほどテーマが臭わないのは好感材料の一つ。
テーマ性を強く打ち出してしまうと、逆にしらけてしまう。
現実にはありえない非日常世界をテーマを押し出すことなく描き出すことで、
逆にその話の奥に潜む様々なことを深く考えさせられる。

はじめは父が「バブル期に作られたテーマパークの残骸だろう」という非常に生々しい発言をするが、
これははっきりいっていらない。
ただその文言をのぞけば、全体的にはファンタジー性が強く漂い、
日常世界を忘れた異次元へとタイムスリップさせてくれる。

大人には見えない世界。子供にしか見えない世界。
そこに大人社会が忘れた大切なものがあり、そこにこそ世界の真実がある。

主人公が元の世界に戻るために試される精神力の強さだ。
求められる力とは物理的な力ではなく、精神的な心の強さなのだ。

舞台がなぜか懐かしい古い日本の光景を思い起こさせる。
やはり私たちはどこかで社会の理想郷を、21世紀の未来社会ではなく、
昔のニッポンを想定しているのかもしれない。


by kasakoblog | 2001-07-30 18:22 | 書評・映画評
2001年 07月 28日

タクシー代(かさこ金融道)

<1>
4500万円の融資を成立させ、その媒介業者は5%225万円の手数料を無事せしめた。
そんなこともあって、その町金媒介業者から、「食事でもどうですか?」という誘いがかかった。
あやしい業者のその手の誘いは今まで断ってきたが、
この業者はいい人そうな人ばかりだったので、ちょっと警戒しつつも行くことにした。

50歳過ぎの町金2人と60歳過ぎのそこの社長と僕の4人で、
夕食ということで焼き肉屋に連れて行ってもらった。
韓国本場の焼き肉屋のせいか、聞いたこともない珍しいメニューがあったりして、
なんかそれだけでもカルチャーショックだった。

ほんと遠慮なくたっぷり焼き肉を食べさせてもらい、当然のごとくおごってもらい、
「じゃあ、次に行きましょう!」と連れていかれたところは、韓国人スナック。
韓国人ホステスに囲まれて、韓国語が飛び交い、韓国語のカラオケが店に響き渡る。
これもまた社会人1年目の僕のとっては、こんな空間があるとはカルチャーショックだった。

夜22時半に2次会が終わり、今日はこの辺でということで、
ことごとくおごってもらったお礼を重ね重ねいう。
すると「かさこさん、家はどこですか?」というので「市川です」と答えると、
「じゃあこれ、少ないですけどタクシー代に」と社長が胸ポケットから封筒を取り出して、僕に押し付けた。

僕はあっけにとられていた。
だってまだ電車もあるし、全然帰れない距離でも時間でもない。タクシーで帰るなんて発想が僕には全くなかった。
「いや、電車で帰れますので」といって封筒を返そうとしたが、どうしてもこれだけは受け取ろうとしない。
あまりにこちらが丁寧に返そうとすると、逆に礼儀知らずのやつといった感じで社長が不機嫌そうな顔をする。

そこで部下の50歳過ぎの一番温和なおっちゃんが、
「かさこさん、これだけは社長の気持ちなんで受け取ってください」というので、
さすがにこれ以上固辞するのは失礼だと思って、受け取ることにした。
「まだ電車で帰れる…」と思いつつも、タクシー代を受け取って電車で帰るわけにもいかず、
タクシーに乗って別れを告げた。

<2>
これが接待されるということなのか…
1年目の若造が、町金のおっちゃんから接待される。なんだか奇妙な構造だ。
それにしてもタクシーなんか乗ったらいったいいくらお金がかかるんだとそればかり心配して、
少ないといっていた封筒をのぞきこんだ。
するとそこには…1万円札が10枚入っていた。

タクシー代にしては多すぎる…。これはまずい。
これでは融資担当者へのバックマージン代わりになってしまう。
これはもらうことは絶対にまずい。とはいうものの今更返すなんてどうやったらいいのだろうか?

一瞬、もうもらってしまって返せないのだから有意義に使わせていただこうかなどという考えも思い浮かんだが、
やはりこの金をもらって使ってしまうにはあまりに恐すぎた。
給料が20万円なのに、こんな形で10万円もらってしまうと金銭感覚が狂う。
それだけではなく、こうして融資が無事成功した時はいいが、
もし融資できなかった時には、逆にこちらが謝罪をしなくてはならなくなる。
これはまずい関係だ…。

タクシーが自宅前に到着し、封筒からではなく自分の財布から料金を払うと、
僕はなんだか憂鬱な気分になってきた。
接待を受けるだけでも相当な問題なのに、10万円現生でもらうのはまずすぎる。
どうにかしなければ。

つづく


by kasakoblog | 2001-07-28 18:23 | 金融・経済・投資
2001年 07月 27日

蝶~ベトナム・第3章 忘れ去られた王国

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静寂…
自然に囲まれた廃墟は、静けさに包まれていた。
しかしそれは「死」を思わせる、無音の静寂ではなく、
むしろ「生」を思い起こさせる、音のある静寂なのだ。

草の音、風の音、虫の音、そして蝶の羽ばたく音
音のある静寂の世界が、ユートピアを夢想させる。

不思議な雰囲気に包まれた空間
ニンゲンどもを追い払ったおかげでできた楽園の地
雄弁なガイドもここに来ると話し掛けるのをやめた
僕もむやみやたらにシャッターを押すことができなくなる

ここは…夢の島
蝶が暮らす楽園の地
花に誘われて、草の香に誘われて、風の流れに誘われて、
蝶が舞う姿に、僕は現実感を失っていく。
ここはまさしく桃源郷だ


by kasakoblog | 2001-07-27 18:24 | 旅行記
2001年 07月 26日

大学

久しぶりに大学に行った。
まだまだ自分は大学生ぐらいのつもりでいたが、いざ大学の中に入ると、相当な違和感を感じた。
ジェネレーションギャップとまではいかないが、自分の思い描いている大学像とは微妙にずれているのだ。
つまりそれは自分が過ごした大学時代との相違に違いない。

なんだか出会い系サイトで知り合った男女がナンパするために集まったコンパ会場のように思えた。
なんだかみんな若くて軽くて、そして世の中を知らない子供。
そんな風に見えてしまった。

「僕はもう無理ですけど、笠原さんならまだ大学生に見えるかもしれないっすよ」
と取材に同行したカメラマンが言ったが、自分の中では相当なギャップを感じていた。
なんだろう、こんなにももう僕は大学生と離れてしまったのか?
そんな自分が信じられなかった。

年は誰でもとる。
最近つくづくそんなことを感じるようになった。

かさこさんももうおやじだなあ。
そんな言葉にあまり真向から言い返せない自分がいる。


by kasakoblog | 2001-07-26 18:25
2001年 07月 25日

臨時ニュース

「かさこの恋のばか騒ぎ」の番組の途中ですが、ここで臨時ニュースをお伝えします。
本日午後8時頃、JR新宿駅構内の山手線ホームで将棋倒しが起こり、
現在、死者10人、重軽傷者100人以上の大惨事となっています。
事故が起きたのは山手線内回り電車が新宿駅構内に到着した時のこと。
この列車には事故当時、乗車率200%を越え、1㎡に10人以上が密集。
駅に到着すると、降りる客と電車に残る客、さらにはこれから乗る客で押し合いへし合いの騒ぎとなった。
電車からホームに降りようとした老婆が転倒したのを契機に将棋倒しが発生し、大惨事となりました。

警察では実況検分を行ったところによると、事故当時、車内は酸欠状態だった可能性が高いとみています。
異常な混雑にもかかわらず入場制限を行わなかったJRに手落ちがなかったかどうか、事情を聞いています。
事故当時、新宿駅には13万人もの人が集まり、事故の起きたホームには3000人がいたことがわかっています。
警察では駅員の誘導に不備があったのではないか。また警備員の数が少ないのではないかと捜査を続けています。

二人の子供をなくしたAさんは「子供たちはJRに殺されたようなものです。警備がしっかりしていれば」と、
警備の不備に怒りをぶちまけていました。
また事故当時現場にいた数人の証言によると、将棋倒しが起きた直前に、
駅構内で茶髪の男が騒いでいたとの情報もあり、警察では茶髪の男と事故の因果関係を調べている最中です。

JRでは駅員・警備員を現在の2倍に増員することを発表。
またラッシュ時の大惨事を招かないためにも、都区内の各駅で入場制限を行う方針を決定しています。
なお警備員増強に伴い、JRでは異例の運賃改定を行うことを決定。
初乗り運賃が320円となるなど大幅な値上げを断行する予定。
運賃が高すぎるのではとの批判に「安全確保のため警備員増強を行うためには致し方がない」と、
乗客の理解を求めています。

なお、この事故について評論家のかさこ氏は、
「警備の不備の問題ではなく、通勤ラッシュが起きてしまう社会構造に根本的な問題がある」と指摘。
警備員の増強をしたとしても、社会構造の変革がなければ、また惨事は起こるだろうと警告しています。


by kasakoblog | 2001-07-25 18:26
2001年 07月 24日

教訓とはいかに~花火将棋倒し事故~

<1>
7/21、兵庫・明石で起きた花火大会の将棋倒し事故の大惨事。
マスコミはこぞって警備の不備や警備員の不足を訴える。
なぜか日本では事故が起きる度に、まず警備の不備が指摘されている。
武富士の火災事故でさえ、マニュアル不備の方向へと故意に論調を誘導しようとしていた。
(ただしその事件は、あまりに犯人の犯行が残虐性を極めていたために、マニュアル不備指摘は最小限にとどめられた)

小沢一郎の著書「日本改造計画」には、確かこんな話で始まる。
「アメリカのグランドキャニオンには柵もなければ、危険だとの注意書きもない。
これが日本だったら行政の不備を指摘されるだろうが、アメリカではこれが当たり前だ。
自己責任に基づいて各自が行動し、いらん世話のために税金の無駄使いはしないのだ」

今回の兵庫で起きた事故も、真っ先に警備の不備を問題にしようというマスコミの悪意的な意図が見受けられる。
「警備員がもっといれば防げた事故だった」そんな誘導の仕方の番組構成に腹が立つ。
あほか!
いくら警備員を増やしたところで、たかがあんな小さな花火大会に、
13万人もの人が来ること自体、もうすでにイマージェンシー(非常事態)なのだ。
警備員が何百人いようが惨事は起こるべくして起こるだろう。

この事故をもとに何を私たちは問題にし、教訓としなければならないのか?
それは、たかだか3連休で、人口海岸でしかも歴史のない花火大会程度のものに、
あれだけの人が集まってしまうほど、私たちに楽しみがないということである。
余程私たちは貧しい生活をしているようだ。
あんな程度の花火大会に13万人もの人が集まってしまうほど、
日本の余暇は貧弱だということを、日本中にさらけ出したのがこの事故だ。

<2>
ちょうど僕もこの3連休に映画を見に行こうとしたら、異常なほどの人なので見るのをやめた。
なんでこんなに人が集まるんだ?たいした映画じゃないのに。
暇つぶしで入ろうとした人にとってはいい迷惑だ。

まったく映画館とは悪趣味で、指定席にすれば並ぶ必要がないのに、
「席の確保は保証いたしません」とか張り紙をして、スピーカーでがなりちらしたあげく、
通路に人を並ばせている。それが繁盛している証拠といわんばかりに。
こんな無駄なことを客にさせているから花火事故のような惨事が起きるのだ。
警備以前の問題である。

3連休中は交通情報ではあちこち渋滞ニュースが流れる。
ゴールデンウィークや正月連休ならともかくもたかだか3連休なのに、
世の中よっぽど休みを取れないのか、この機会を逃すべからずと誰もがあわてて出かけている。
この事態こそが異常であり、いわゆる今回のような惨事を引き起こす原因となっているのだ。

休みも渋滞、平日も通勤ラッシュ。
異常なほどの人の流れの集中が、事故を起こさないわけがない。

花火事故の教訓はこれ以上ばかみたいに警備員を増やすことではない。
そもそも警備員を増やした金は花火参加者が払うとでもいうのかい?

3連休でなくても、いつでも休みを取れる社会。
地元のせこい花火大会などいかなくとも、他に楽しみのある豊かな社会。
そうなれなければ、いくら警備員を増やしたところで惨事はいつまでたってもなくならないだろう。


by kasakoblog | 2001-07-24 18:27 | 一般
2001年 07月 22日

媒介手数料(かさこ金融道)

<1>
この道20年のベテラン町金、岩山さんが、今日はやけにそわそわしていた。
「かさこさん、今日の取引は間違いなく18時ですよね」と何度も念を押してきた。
そう、媒介業者にとっては、うちが客にお金を受け渡す融資当日が勝負なのだ。
融資の口利きをしたということで5%の手数料をもらいうける。
当然お客さんは借金まみれだから、先に手数料を払うことなどできない。
だからうちの会社の融資が決定し、そのお金の受け渡し日に手数料をすっぱ抜くというわけだ。

なぜここが勝負か?
ただ融資先の紹介をしただけで5%もの手数料を取るのはなかなか大変なことである。
借金まみれの客は一銭足りとも無駄な金は使いたくない。
やっと融資が決まってお金を借りられるのに、そのお金を他にもってかれてしまったら困ってしまう。
紹介だけした媒介業者への手数料をごねるケースが多いのだ。

岩山さんは1時間近くも前にうちの会社に来た。
その異常なほどの早い出現に、ひょっとこ店長が僕を呼んだ。
「かさこくん、今日の融資は18時からでしょう。なんで業者があんなに早くきてるの?」
「いや、なんせ今回は高額な手数料になりますから。客が逃げるのではないかと相当心配しているようです」

一見するとヤクザではないかと思えるほどの強面の雰囲気を醸し出している岩山さんでさえ、
客が逃げるか心配でならないのだ。
岩山さんだけでなく、そこの媒介業者の社長さんからも電話が度々入った。
「かさこさん、うちの岩山もういってますか?今日はよろしくお願いします」

どちらかというと適当で大雑把でいつもはどっしり構えているあの社長が、
わざわざこんな風にして電話を掛けてくるのは極めて異例の事態だ。
たかだか入社1年目の新人22歳のこの若造に「よろしくお願いします」なんて、
今までに何度となく修羅場をくぐり抜けてきた社長が下手に出るのだから。

<2>
なんだか僕は恐ろしい世界に入ってしまったかのような気がしてきた。
もし客が手数料の件でごねたらどうしたらいいんだろう?
でも僕ら融資元はその件に関しては何もタッチしてはならないことになっている。
紹介してもらったのに、その業者を応援しないというのは薄情な話だが、
あまりに融資元と媒介業者が密着していると、逆にうちが手数料の二重取りをしているように見られるからだ。
本当に金融の世界はドライな関係である。

これだけ業者が気にするのには理由があった。
それはここ最近では稀にみる大きな取引だったからだ。
4500万円の融資。手数料は5%で225万円。
バブルが崩壊してからというもの、どこの融資先も融資金額をしぶった。
1000万円前後までなら何とかなるが、3000万円以上だと相当厳しい審査が行われる。
つまり今回の4500万円というのは、僕にとってもうちの会社にとっても、そして媒介業者にとっても、
久しぶりにビックな仕事なのだ。

1000万円の融資で5%の50万円ぐらいの紹介料なら文句をいう客は少ないが、
ただ融資先の口利きをしただけで225万円である。
これはあまりに多いのではないかと客がごねる可能性は十分にある。

またごねる理由がもう一つあった。
本当は客の希望は5500万円であった。
紹介料も取られることを計算し、他の借金を清算したり、他のもろもろのことに必要なお金がこの金額だった。
ところが不動産と客の属性などを考え合わせて審査で大幅に減額されてしまったのだ。
だから客としては1000万円も希望金額に満たなかったにもかかわらず、
225万円しっかり紹介手数料を取られてしまうというのは、かなりきついことだった。
希望金額の融資ができなかったことを理由に、紹介手数料をまけろという可能性は十分にあった。

<3>
客は中年のおばさん。
かなりケバイ感じで男勝りのやり手の雰囲気。女社長という言葉が似合う人だ。
18時になると客が現れた。
岩山さん同席のもと、うちの方の今回の融資の説明をする。

「まず不動産についていた町金A社への抵当権3300万円の借金返済。
第二順位でついていた町金B社への抵当権300万円の借金返済。
消費者金融5社への借金支払いが270万円。固定資産税の未納分80万円。
それからうちの費用ですが、
事務手数料が1.5%で69万円。今回の根抵当権設定の費用として司法書士に60万円。
それから公正証書作成費用に、登記簿謄本代、火災保険質権設定代・・・
ということで残額310万円をお渡ししますのでご確認ください。

客はしっかり万札の枚数を確認する。それが終わるとうちは領収書をもらって融資は完了だ。
「4500万円、13%、240回の契約で毎月のお支払いは52万円となっています。
月のお支払日は15日となっていますのでぐれぐれも遅れませんように。どうもありがとうございました」

そしてここから媒介業者と客との話し合いが始まる。
しかし岩山さんがあれだけ心配していたにもかかわらず、客はごねなかった。
もちろんきっちり岩山さんが5%の媒介手数料の契約を事前に交わしていたこともあるが。

客が帰ると、岩山さんが僕のところに飛んでやってきた。
「かさこさん!やりましたよ!!まったく値引きされずばっちり取れましたよ。
ありがとうございます。今後ともよろしくお願いしますね!」
といってルンルン気分で帰っていった。

僕は複雑な心情だった。
4500万円もの融資を成立させ、営業成績は不動のトップとなった。
何度も通いつめてうちの会社にお客をやっと紹介してくれるようになった、
取引先である媒介業者との信頼も深まり、今後もお客を紹介してくれるだろう。

でもうちの直接のお客さんはどうなるんだ?
確かに町金A社3300万円を24%で借りていたので、大分負担は楽になったかもしれないし、
客からも喜んでもらえた。
でも・・・。

そんなこと考えていたらだめなんだ。
これは仕事なんだ。金融の世界に金の貸し借りの契約以外に差し挟むべき感情はない。
仕事への満足感を覚えながらも、何か引っ掛かることを忘れようと、融資が終わると僕も会社を出た。


by kasakoblog | 2001-07-22 18:28 | 金融・経済・投資
2001年 07月 21日

『クミコハウス』書評

前作に比べて随分と文章が変わったな。
でもそれより何より、この人の写真はすごくいいな。
それがまず、すぐに思った感想だった。

『上海の西、デリ-の東』(素樹文生著)を書評ランキングで最低ランクにおいていた。
その著者が、同じ旅を題材にして別の書を作ったこの本は、
著者の成長のあとがはっきりとうかがえる。

旅の話の中身が、異国に対する文句からおもしろいエピソ-ドへと変わった。
ながったらしい文章から、会話を中心とした短い文章が増えた。
そしてこの本で、文章を書くより、この人は写真を中心にした方がよいということが明確となった。
彼にとって転回の一作となるのではないだろうか。

相変わらず文章に稚拙な部分が見えるが、前作とは比べものにならないぐらいよくなった。
写真は構図といい着眼点といい、きらりと光るものを強く感じさせる。

旅の話はおもしろかった。
ただもうちょっと話がいっぱいあればなということと、
ばらばらの一編一編をつなぐ工夫が欲しかったなということ。
こうなればすごく良い本になるだろうな。

彼も発展途上なのだ。
僕も書き手としては発展途上。常に前作より良いものを書いていきたいなと思った。


by kasakoblog | 2001-07-21 18:29 | 書評・映画評
2001年 07月 20日

王国~ベトナム・第3章 忘れ去られた王国

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バイクの後にまたがって、クイニョンの町から
田園地帯を延々走ること50km。
ひっそりと静まりかえった野原に3つの塔が残されていた。

チャンパ王国が最も栄えし12世紀頃に
建てられた「Duong Long」、別名「象牙塔」。
仏教的要素とヒンズー教的要素の交じった祠堂だ。
人々は神を奉ることによって社会生活の秩序を保っていたのだろうが、
宗教への過剰な厳格さは感じられない。

昔栄えた場所というのは、不毛の地と化しているところが多い。
崩れ落ちた廃墟は、寂しくそして冷たく、人を寄せつけない雰囲気がある。
しかし、なぜかこの廃墟は緑も豊かで、
しかも、懐かしさを思い起こさせるような温かさがある。
かつて自分が住んでいた古家であるかのような親しみを覚えさせるのだ。

自然と一体化しようとしているこの廃墟には、
かつて王国に住んだ人々の息遣いが聞こえてきそうな、そんな優しさがある。

「ユートピア」~どこにもない場所~
そんな言葉が僕の心にふと浮かんだ。


by kasakoblog | 2001-07-20 18:29 | 旅行記
2001年 07月 19日

最近

かさこさん、最近マックの話があんまり出てこないんじゃないですか?
そうなんです。高円寺に引っ越しして以来、朝マックの風習はやめ、
すっかり夜型原稿書きに変わってしまったのです。

それはともかく、昼食には未だにマックに結構行くのですが、一時期よりめっきり回数が減りました。
まいどのようにチーズバーガーセット388円で飲み物はどんなに暑くてもホットコーヒーだったのですが、
最近凝りはじめたものがあるのです。
Subwayのサンドイッチなんです。

セットにするとマックより圧倒的に値段が高く、しかも店はなぜか狭いところばかりで、
落ちついて携帯ワープロで原稿を書けないので、今まで全く利用しようとは思わなかったのです。
ところがたまたまある時、持ちかえりで会社で食べたんですが、
なかなかこれは使えるぞと感じたのです。

1.マックなどは持ちかえりするとあっという間に冷めてまずくなるが、その心配がない。
2.飲み物セットにすると高いが、サンドイッチだけ買ってくればそんなに高くはない。
3.見た目より意外に量があって腹にたまること。
4.野菜がたっぷり入っていて、野菜不足になりがちな一人暮らしの身にはありがたい。
といった利点があったのです。

ということでここ最近は、忙しくてゆっくり昼休みを取れない時や、夕食に、
Subwayのサンドイッチをほぼ毎日のように食しているのでございます。
ちなみに好きなのはツナサンドイッチ390円。
これならマックのまずくて量が少ないチーズバーガーとポテトのセットで388円出すのと値段的には変わりない。

まあ持ちかえりでしか有効に利用できないという欠点はあるものの、
なかなかヘルシーでうまくていいですよ。
ぜひみなさんにもおすすめです。


by kasakoblog | 2001-07-19 18:30 | グルメ・ラーメン