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2007年 09月 29日
白夜行 東野圭吾
2冊立て続けに東野圭吾作品があたったもんだから、
分厚い3冊目に突入したのだが、
この本はまったくおすすめできませんので、注意。
もしこの作品から読んだら、
「手紙」や「天空の蜂」がおもしろいとすすめても、
「ほんとかよ」と半信半疑になるだろうから。

長い、そして半分くらいいった時点ですべてがわかってしまい、
もう読者は真犯人をしってしまっているのに、
いつまでもその真相に近づけず、
何度も同じことを繰り返すストーリーに嫌気がさしてくる。

東野圭吾らしい、最後にえっ、そんなことが、
という真相が1つだけあるものの、
もう真犯人が本の半ばでわかってしまっているから、
それでなんなのって感じになってしまう。

登場人物もいっぱい出してきて、
いろんな事件を20年にもわたる話を積み重ねていくんだけど、
さすがに長いし、はじめはなんでこんな長くて、
いろんな話を積み重ねているのかが意味がわからない。

やりたいことはわかるんだけど、
あまりに長すぎるし、容易に読者に犯人がわかってしまうんで、
もっとコンパクトに構成を考えて作ってほしかった。

おもしろくなくつまらないので、読まない方がいいでしょう。


by kasakoblog | 2007-09-29 22:37 | 書評・映画評
2007年 09月 29日
天空の蜂 東野圭吾
実におもしろい!
そしてすごく考えさせられる、奥深い作品。
ぜひみなさんに読んでほしいおすすめ本です。

話は原発へのテロ。
「原発」と「テロ」という組み合わせが、
いかにもたいしな中身でなくても、
おもしろい内容になりそうな、
そういういやらしい題材の選びなのかなと思ったが、
まったくそうではない。

単に原発の批判しているだけじゃない。
単に日本でのテロの危険未来シミュレーションでもない。
それ以上にもっと奥深い問題。
原発の存在によって、
一人一人の人間の日常生活が、
具体的にどのように変わっていってしまうのか、
単なる原発被害ではなく、
人間の愚かしさと原発特性の勝手な恐怖感による、
社会の歯車が狂っていく様を見事に描いていて、
それでいてだから単純に原発が悪いだけではないという、
そういうバランス感覚にも優れた素晴らしい作品だ。

特に最後の方で明らかになる事実がほんと驚愕。
なんとそんなことが・・・。

おもしろすぎる。そしてほんと興味深い作品。
ぜひ読んでほしい。
特に原発の仕事をしている人や、
原発の地域に住んでいる人に読んで欲しい。

・天空の蜂


by kasakoblog | 2007-09-29 22:36 | 書評・映画評
2007年 09月 29日
手紙 東野圭吾
本を読んではじめて泣いた。
文句なく素晴らしい傑作!!!
最近流行りの、ただ泣かせるだけの、
安直なストーリーなんかじゃなく、
日常にひそむ様々な問題を深く考えさせられる、
現代文学の最高傑作といっていい作品。
ぜひ読んでほしい、おすすめの一作。
おもしろいのでストーリー紹介は一切しない、
抽象的な書評ですのであしからず。

冷徹なまでに徹底したリアリズムに基づいて書かれているのが、
何より好感が持てる。
本や映画にありがちな、絵空事的理想な話なんて、
そういう展開になりそうながら、
まざまざと現実社会の壁を見せつけられる。
しかもその壁をつくっているのは、
特定の権力者とかそういうことではなく、
私たち一人一人であることにまた愕然とさせられる。

でもそんな絶望的な世の中にも、
数少ない希望もあったりして、
そうした光を頼りに紆余曲折する主人公の苦悩と、
取り巻く周囲の人たち。

そして、ラストがほんとやばい!
まさかこんなことになるとは・・・
あり得ない奇想天外な結末でもなく、
かといって予想しうる結末でもない、
なるほどそういうことだったのかと、
深く納得させられる実に示唆的なエピローグに、
私の目に自然と涙が浮かんできた。

映画「涙そうそう」みたいに、
そりゃそういうストーリーにすりゃ誰だって泣くだろうっていう、
泣かせて観客のストレスを発散させるような安直なもんじゃなく、
ほんと自然にね、涙が出てくる。

ほんとすごい、この作品。
東野圭吾をはじめて読んだ。
イメージ的には、
今受けする流行りの軽薄なストーリーを、
量産する作家だと思い込んでいたので避けてきたけど、
文学とか社会を深く追求した筆致に、
同じ物書きとして脱帽せざるを得ない。
それほどまでにこの作品、すごい。
ほんとよく描かれている。

ある意味ではミスチルの「彩り」に通ずる何かがある。
社会をよくしていくこと、
社会を悪くしていかないことって、
やっぱり1つ1つの、一人一人の、つながりなんだなと。

ちなみに「解説」も素晴らしい。
小説の解説ほどつまらなく無駄なものはないと思っているんだけど、
ほとんどネタバレせず、
かつ単なるストーリー紹介でもなく、
単純に自身の感想や作家との思い出とかでもなく、
この作品を考える上での1つの広がりをちりばめているのが、
実に素晴らしいなと思った。

ほんとおもしろい。
ぜひ読んでみてください。
そしてこの本をすすめてくれた方、ありがとう。

・手紙


by kasakoblog | 2007-09-29 22:35 | 書評・映画評