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2012年 05月 31日
被災地支援?県外観光客に金をバラまく被災地応援ツアーの謎
「福島いわき市に来た観光客に、
いわき市は1万円助成金出すっていうんです。
私も含め被災者はまだ先も見えない状況なのに・・・。
そんなお金あったら被災者支援をしてほしい」
(いわき市の津波被災者)

被災地に観光すると、
県外観光客の旅行費用の一部が、税金でまかなわれる。
こんな政策が一部自治体で行われている。
福島県いわき市は、県外観光客で、
20人以上のツアー旅行で宿泊客には上限1万円を、
同じ条件で日帰り観光客には上限5000円を支援することを始めた。

被災者を支援するには様々な方法がある。
直接、金をばらまく方法もあるが、
支援づけになり依存してしまい、自立ができなくなってしまう。
生活保護の問題と同じだ。
そのために県外から観光客を呼び、
観光を活性化させて雇用を増やし、
被災者に働く機会を与えようというのは、
悪いことではないと思う。

ただ、まだ震災から1年しか過ぎておらず、
被災者の多くがプレハブ仮設で暮らしている最中、
また高台移転の莫大な費用ねん出などの問題もある中、
限りある予算を県外観光客に税金を助成する、
というのは正直「?」と思う。

私は昨年から被災地観光をどんどん進めるべきだ、
と主張している。
でもその方法として被災者も払っている税金から、
県外観光客に現金を助成するというのはおかしいのではないか。

東京都も同じような税金ばらまきを始めている。
『被災地応援ツアー』と題し、
東北に旅行すると1人1泊3000円の助成、
日帰り客には1人1500円の助成がされる。

それでも被災者雇用につながったり、地域活性化につながればいい。
でも「被災地」をだしに、
「東北を応援しよう」などと企画しているツアーの多くが、
甚大な被害のあった被災地から遠く離れた、
被災者にもお金が落ちるのかと疑問に思うようなものが多い。

例えば、3000円助成の対象になっている、
東京都被災地応援ツアーを企画している旅行会社は、
おすすめ観光スポットの第一に岩手県の平泉を紹介している。

平泉が「被災地」応援なのか???
今回、震災被害がひどかったのは、東北でも沿岸部。
沿岸部の人たちが職をなくして困っている。
でもほとんど大きな被害がなかった、
沿岸部から遠い内陸の平泉。
そこに税金で助成してまで観光客を呼び込むと、
「被災地支援」になるのだろうか?

あるバス会社は被災地応援ツアーと題して、
会津若松日帰りツアーを企画している。
会津若松が被災地?
会津若松には原発被災者が多く避難しているとはいえ、
震災の直接的被害は沿岸部の比ではない。
そこに「被災地応援」と題して金を落として、
はたして被災者が潤うのだろうか?

もちろん東北=被災地とされたせいで、
震災被害や放射能汚染がひどくなかった地域でも、
それこそ東京都のトップの発言に見られる自粛ムードや、
東北=被災地とひとくくりにされた「風評被害」のせいで、
観光客が激減し、困っているのは確かだろう。
でも一番被害のひどかった東北沿岸部の被災地、
そこで職を失った被災者を応援するツアーという意味では微妙に違う。

観光が重要な産業の1つである会津若松とかが、
会津若松の税金を使って、
「被災地応援ツアー」ではなく「風評被害応援ツアー」と題して、
県外観光客を助成するなら、
それはそれで市の政策として意味のあることだと思う。
でもなぜ東京都が?
しかも甚大な被害のあった被災地ではないのに、
とか思うと、なんともおかしな税金の使い方ではないか。

それだったら昨年の震災直後、
一番人手がいる重要な時期に、
危険をかえりみず、甚大な被害のあった被災地に行った人に、
ボランティア保険代を助成するとか、
まだそういう方が被災地の役にも立つし、
東京都が東京都民の税金を使って、
税金をばらまく意味があるのではないか。

甚大な被害のあった被災地でもないのに、
岩手県、宮城県、福島県なら、
すべて「被災地応援ツアー」になり、
観光客が税金助成を受けられる対象ツアーになるような、
「まがいもの」ツアーだけでなく、
旅行会社によってはこうした助成の対象にはならないが、
津波被災地に行き、ボランティアをしつつ、
被災者の方と交流するようなツアーを企画している旅行会社もある。
http://www.his-j.com/kokunai/kanto/volunteer/#aboutTour

これなら「被災地応援ツアー」というのはわかるし、
私が昨年から被災地観光すべきといって、
イメージしているのはこういうツアーの方が近い。

そもそも被災地を岩手、宮城、福島に限定しているのがおかしい。
震災被害を考えた被災地応援ツアーというなら、
平泉や会津若松より東京ディズニーランドの方が、
はるかに震災被害は大きかっただろう。
周辺住民の液状化被害もひどかった。
震災被害の少ない平泉が「被災地応援」となり、
金がもらえるのに、
震災被害の大きかった東京ディズニーランドに行っても、
被災地と見なされずに助成がされないというのは解せない。

別にディズニーランドだけの話ではなく、
東北でなくても千葉や茨城でも、
被害のひどかった地域がある。
でもそっちは被災地応援にならず、
被害が少なくても東北ならすべて被災地応援になるとすれば、
それは被災地をだしにした便乗商売、
便乗税金バラマキに過ぎない。

「被災地応援ツアー」と題して、
税金をばらまくのなら、
甚大な被災地や被災者に金が落ちるようなツアーに、
限定すべきだと思うし、
甚大な被災地に金を落とせる場所がないなら、
被災地のボランティアツアーや、
(まあ今やもう一般ボランティアができることは少ないが)
被災者の方にお金を払って被災地を案内してもらい、
震災時の体験や今後の防災に役立つ教訓を話してもらう、
そういうツアーを企画して助成すればいい。

もしくは被災者の人にお金を払って、
県外に来てもらって震災体験を話してもらい、
今後の防災の役に立てるとか。
そういうことなら被災者支援にもなるし、
県外の人の税金を使って県外の人のためにもなる。

またはツアーへの現金支給ではなく、
風評被害を軽減するために、
放射能測定機を税金で購入して、
主要観光スポットの放射能測定値を公表するとか、
そういうことに税金を使って、
支援するならまだわかる。

お金が無尽蔵にあればいい。
しかし消費税増税しないと財政不足で大変で、
金が足りないといっているわりに、
支援になるのかもよくわからない、
被災地でなく単に都内の旅行会社が儲けるだけ?
県外の観光客に金ばらまいてどうする?
みたいな税金の使い方を平然としているのは、
なんとも解せない。

また今、被災地に行っても、
震災被害のひどさは見た目にはわからない地域がほとんど。
がれきは片付き、以前、その町に来たことがない人なら、
「単なる更地」にしか見えない被災地が多くなった。

私は被災地にお金を落とさせ、
しかも被災地以外の人に防災教訓を知らしめる上でも、
震災被害のすさまじさを象徴する建物などは、
残しておいた方がいいという考えだが、
その多くはもうすでに撤去されてしまっている。

だからこそ「被災地」でもない、
遠く離れた内陸部に「被災地応援ツアー」と称した、
被災地・被災者支援なのかよくわからないものに、
税金助成して便乗商売し、
被災地支援に取り組んでいるように見せているところが、
多いのかもしれないが。

限られた税金の使い道を、
もうちょっとまともに考えてほしいと思う。

被災地取材本「検証・新ボランティア元年」

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by kasakoblog | 2012-05-31 01:34 | 東日本大震災・原発
2012年 05月 30日
本日サンクチュアリ出版でイベント参加中継あり
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本日サンクチュアリ出版で開催されるイベント
「「毎日が革命」無印本命PJ設立記念イベント」に参加します。
USTREAMでも中継予定!19~21時。
キャラの濃い面々がわんさかいるので、
私のコメントは少ないかもしれませんがよかったらご覧ください。

USTREAM

・イベント概要

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by kasakoblog | 2012-05-30 14:31 | お知らせ
2012年 05月 29日
原子力ムラやりたい放題!
電気が足りないから原発再稼動が必要だとか、
放射能汚染問題があるから脱原発だとか、
はっきりいって今の日本はそんなレベルの議論ができないほど、
そもそも論で悪質・イカサマ行為が行われている。

原子力政策を見直しする作業部会で、
公表前の報告書原案が、
事前に原子力推進関係者だけに配られていたという。

原発が必要かどうかうんぬん以前の問題として、
政策を見直す部会で、
推進派に有利になるような根回しが堂々と行われている。
はっきりってこれでは再稼動是か非かとか、
そんなこと以前の問題でしょう。

こんなイカサマが平然と行われている、
今の原子力関係者は信用できないと思うのは当然のことで、
再稼動がどうかとか電力が足りる足りない以前の問題で、
こんなイカサマする連中をまず追放しなければ、
原発を運転するかどうかなんて議論すらできない。

レースの前に八百長やっているのに、
その八百長行為を取り締まらずに、
レースをしたら危険か否かなんて、
そんな議論のレベルに達していない状況なんです。
今の原子力ムラは。
まずは八百長をなくさないとお話にならない。

それにしても、ここまで悪質行為を行い、
何が何でも推進ありき、再稼動ありきって、
どれだけおいしい利権があるのだろうか。
でもそんなにイカサマしてまで原発動かしたいのなら、
原子力ムラの関係者家族全員を、
福島原発20キロに強制移住して、
そこで廃炉作業をしながら、
他の原発再稼動してボロ儲けしてくれるならそれはそれでいい。
イカサマしてリターンを得たいのなら、
原発リスクを直に味わってもらえばそれでいい。
でも自分たちは安全地帯にいて、
事故が起きても放射能拡散予測は公表せず、
また原発でボロ儲けしたいって、
儲けたいならリスク負えっていうの。

でも本当に経済のために原発再稼動が必要なら、
未公表の資料をわざわざ推進側だけに、
渡しちゃうなんてイカサマしなくても、
正々堂々と日本経済のために必要だって言えばいいのに、
いろんなところでイカサマしてるってことは、
正々堂々と議論すると原発の必要性がないという証拠なのかとも思ってしまう。

あれだけの原発事故が起きたにもかかわらず、
事前に推進側だけに未公表の資料を渡してしまうような、
そんな八百長の中で原子力政策は進められようとしている。
再稼動容認派と脱原発派でケンカしていても仕方がない。
どちらにせよ事故を起こしてしまった関係者、
その後も八百長をしている関係者を厳罰に処してから、
あらためて原発が必要かどうかを話し合うべきだと思う。

電気料金「家庭向けぼったくり」販売電力量4割で利益の9割
http://news.livedoor.com/article/detail/6589690/

挙句の果てに東京電力は、
2012年冬のボーナスとして147億円を人件費に計上している。
安全対策を怠って事故を起こした挙句、
国民に賠償もせず、値上げし、ボーナス支給。
しかも電気を独占し今までボロ儲け。
被害者である国民が犯罪者に賠償金を支払いボーナスまであげるのか。
狂っている。

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by kasakoblog | 2012-05-29 22:43 | 一般
2012年 05月 29日
ジョードプル写真
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インドの魅力は人だけでなく、建築物!
かつて建設された城や宮殿はほんとすごい!

ジョードプルの写真をアップしましたのでご覧ください。
http://www.kasako.com/1205indiafoto5.html


・・・・
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by kasakoblog | 2012-05-29 12:50 | 【写真】海外
2012年 05月 29日
自分に才能ない?毎日練習してる?
「私には才能ないからダメだ」とかいっている人に限って、
「才能ない」を言い訳に、ろくに練習も勉強も努力もしていない。
才能ないとかいっている暇あったら毎日練習しろよ、
とか思うわけで、そんなことを度々このブログでも取り上げてきた。

ただお恥ずかしながら、そんな言い訳を私自ら、
知らず知らずのうちにしていて、
それをつい最近、ブログ読者から指摘され、
はっと気づかされることがあった。

最近すっかり夢中の音楽活動。
でもはじめはそんなに本格的にやるつもりもなく、
自分で作詞作曲できるかなぐらいの気持ちで、
とりあえず1曲作ってみた。

みなさんに公開する前に、
音楽に詳しいブログ読者に聴いてもらい、
感想やアドバイスをしてもらおうと思った。
その時、私は自分に自信がないもんだから、思わず、
「相変わらずギターはへたですが」と、
知らず知らずのうちに言い訳めいた、
自己弁護の言葉を書いていた。

そんな私にブログ読者の方がこんな風に返信してくれた。
「ギター上達法については
かさこさんなら良く知ってるとは思いますが、
まず第一に続けること!
毎日少しずつでもさわってみること。
最後にそれが好きかどうかが決定打になります」

それを読んで私は気づかされた。
私は言い訳してたんだ。
ろくに練習もしないで「ギターはへた」なんて、
言って見せて自分を守ろうなんて、
なんて姑息なやり口だろう。

そう私も普段からブログで書いている通り、
才能ないとか能力ないとか言ってるなら、
毎日やればいいんです。
10年続けたら大概のことは、
立派にできるようになる。
それをしないで何が下手だ、才能がないだ、能力がないだと、
めめしい言葉を吐くのだろう。
努力しない言い訳ではないか。

でも継続するには好きでなくてはならない。
だから好きなものしか上手にならないし、
好きでもないことを義務感でやっていても、
絶対にうまくならないし、仕事とかでもできるようにはならない。

好きなことを毎日続ける。
これが人生の基本でしょって、
そんなことを書いている私が、
自分は棚に上げていることに、
ブログ読者から気づかされた。

「うまくなりたいならまず第一に続けること!
毎日少しずつでもさわってみること」

このメールを見て、なんか私は、
ぱっと視界が開けたというか、
とてもスッキリした気分になれた。
そうだ、毎日ギター練習すればいいんじゃんって。

そんな言葉の後押しもあり、
今は毎日、5曲作った曲を、
ギターで弾き語りして歌って練習してます。

まだ練習し始めのデモ音源ですが、
「携帯音楽プレイヤーに入れて聴きたい!」
といってくれる方がいたので、
ダウンロードできるようにしておきましたのでご自由にどうぞ!

くらげの歌
カエルの子供
サバンナ
百獣の王
人間動物園

これから本格的に曲を歌いこみ、ギターもがんばって練習し、
ギター弾き語りライブができるようがんばりたいと思います。
ちゃんとした音源をみなさんに聴いてもらえるよう、
これから数週間練習して、
その後にレコーディングします。
またその音源ができたら無料で差し上げたいと思っています。

「えっ、かさこさんってフリーになったのは、
音楽活動に力を入れていくため??」
って不審に思われている方もいるかもしれませんが(笑)、
あくまで私はジャーナリスト。カメライター。旅人。
社会の問題や働き方・生き方にかかわること、
人生を楽しむための提案などを発信していきます。

ただその手段の1つに新たに音楽が加わっただけの話です。
歌詞も「文章」であり、ライターとしての力も活かせて、
それを単に歌にしてメッセージを伝えていくという、
方法が変わっただけで、
私が伝えたいメッセージは変わりません。

そんなわけでますます私の活動範囲が広がって、
はたから見ると専門性が見えなくて、
レッテルがはりにくい=売りにくいキャラになりつつありますが(笑)、
ジャーナリストだろうがミュージシャンだろうが政治家だろうが旅人だろうが、
私が伝えていきたいメッセージに変わりはなく、
ただその時その時で伝える手段を、
いろいろ使い分けているだけ。
それで肩書きがその都度変わるに過ぎず、
肩書きの職業になりたいからなっているわけではない。

「かさこさん、政治家になる気あるんですか?」
と言われることもあるけど、
私は政治家になることが目的じゃなく、
社会を住みやすいように変えることが目的であって、
職業や肩書きや表現手段は何だっていい。

でもやっぱりよく伝わる手段は、
自分が好きで毎日続けられること。
文章、写真、旅。そして音楽?!

「才能ない」とか「能力ない」なんて言い訳している暇あったら、
毎日100回素振りすればいいんです。
365日、毎日続ければいいんです。
キライだったらどうせ身につかないからやめればいいんです。
好きなことをし続ければいいんです。

それが人生を楽しく生きる、
シンプルな原則だと思います。

・・・・・・
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by kasakoblog | 2012-05-29 03:29 | 生き方
2012年 05月 29日
かさこ曲デモ音源
はじめての作詞作曲5曲のデモ音源をYoutubeでアップしてますが、
今日、複数人の方々から「携帯音楽プレイヤーに入れて聞きたい!」
というありがたいお言葉をいただきましたので、
下記よりほしい方はダウンロードください。

なおこれはまだあくまでデモ音源です。
「人間動物園」なんか2日前にできたばかりで、
まだ自分でも歌いこんでいないので、
かなり歌も演奏も稚拙なところがありますが、
これから数週間かけて毎日練習し、
きちんとレコーディングして、
きちんとした音源をお届けする予定です。

それまでしばしこのデモでよければどうぞご自由にダウンロードして、
聞いていただければと思います!

くらげの歌
カエルの子供
サバンナ
百獣の王
人間動物園


by kasakoblog | 2012-05-29 01:35 | 音楽
2012年 05月 28日
津波被災者の心の叫び「原発避難者ばかりなぜ優遇・・・」
「誰も望んでいない被災者同士、市民同士の摩擦が広がっている。
地元の津波被災者より原発避難者ばかり優遇されるなんて・・・」
福島県いわき市の津波被災者の方から、
この現状を多くの人に知ってほしいとメールがきて、
先日、現地に行き、話を聞いた。
震災から1年以上が過ぎ、被災地は見た目には、
平常に戻っている部分も多いが、
それだけに被災者の悩みが見えなくなり、
逆に深刻化している現状があらわになった。
しかもそれは原発事故が絡んでいるがゆえに、
余計、複雑化している。

「死の町」から大量に移住・避難しているいわき市は、
震災後、福島県にもかかわらず人口増加している特異な町で、
ある種の経済バブルも起きている。
しかし、
1:津波被害のなかったいわき市民
2:津波被害のあったいわき市民
3:市外の原発避難者
という置かれた状況や被害の度合いが大きく異なる3者が、
被害の少なかった市中心部に混在して住むことで、
思わぬ摩擦が出始めている。
被災地で起きている複雑な現状をレポートする。
(取材日:2012年5月22日・23日)

・不動産なく結婚もできないほど不動産バブル
福島県は放射能問題で人口が減少しているが、
原発から40~50kmと近いいわき市だけは、
震災後、2~3万人も人口が増えたとも言われている。
約33万人の人口に対して1年でこの増え方は尋常ではない。
それは原発20~30キロ圏内の「死の町」の人たちが、
このいわき市になだれ込んでいるからだ。

「不動産がないので新居が探せず、
結婚できないカップルがわんさかいる」
と地元の市民は言う。
原発避難者だけでなく、いわき市内で津波被害にあった沿岸部の住民も、
市中心部で生活を始めた。
津波被災者も原発避難者も、元の家にいつ帰れるかもわからない。
ならばいわき市中心部に腰を据えてしまう、
という人が増えているからだ。

いわき市が原発からそう遠くない距離にもかかわらず、
風向きに恵まれ福島市や郡山市など、
中通りの都市よりはるかに線量が低い。
しかも中通りと違って雪も少なく過ごしやすい。
そのためいわき市に人口が増えているのだ。

半年ぶりにいわき市にきて、
昨年何度も借りたレンタカー屋さんは、
「人が増えて交通量も増えてますから、
運転気をつけてくださいね」と声をかけてくれた。
確かに市内は多い。

カー用品の店員は「この半年で新規会員が急増した」と話す。
「もう毎日毎日忙しくて仕方がない。
まあ商売繁盛でいいんですがね・・・」
と震災バブル景気で喜ぶはずが、
なぜか複雑な表情を浮かべる。
私が聞いてもいないのに、
「ほら、原発避難者の人は働かないでしょ・・・」
と非難めいた口ぶりで話してくれた。

・原発避難者がなぜバッシングされるのか
いわき市民にとっては人口流入、経済活性化で、
喜ぶべきはずなのになぜ原発避難者への風当たりが強いのか。
地元の人たちが不動産を確保できないといったこと、
実態はどうかはともかく「働かないで遊んでいる」といった話、
さらにはほんのささやかな行き違いだが、
「ゴミの分別が厳しくなかったせいか、
ゴミの捨て方が悪い」といった話も聞く。

さらに原発避難者は住民票をいわき市に移した人は、
まだそう多くないため、
「住民税を払っていないのに市のサービスを受け続けている」
といったことも悪感情の原因になっているようだ。

ところがこうした状況を、
「いわき市民が原発避難者に冷たくあたっている」
といったことにメールをくれた津波被災者は憤りを感じていた。
「原発被災者の声ばかり取り上げられて、
いわき市内の津波被災者の声が取り上げられない」

これは昨年からの問題だ。
私が昨年、何度となくいわきに取材に行ったが、
その度に津波被災者の多くが、
「原発報道ばかりでいわきで津波被害があったことが、
ぜんぜん取り上げられない。
取材に協力するからどんどん取り上げてほしい」と言われた。

福島=原発になってしまい、津波被害が取り上げられない。
そのために津波被災者が不満をずっと感じ続けているのだ。

メールをくれた被災者は、
「原発避難者の方が、
『なぜいわき市民の人が仮設住宅に入ってるんですか?』
と聞くんです。そんなことを聞くのは、
いわき市内に津波被害者がいることを知らないから。
またいわき市中心部に住む人の一部にも、
市内の沿岸部が壊滅的な津波被害を受けたことを、
あまり知らない人もいる」と話してくれた。
報道が少ないために、
自分たちがどれだけ苦境に置かれているか、
知られていないことに何よりも怒りを感じているのだ。

「なぜ同じ市内なのに津波被害の状況を知らないのか?」
と不思議に思う人がいるかもしれないが、
首都圏に住む人が東日本大震災で、
千葉・浦安の液状化被害がどれだけひどかったか、
すべての人が知っているわけではないだろう。
津波被害のなかったいわき市民も被災者であり、
震災直後はライフラインがストップし大混乱だった。
また市民だからこそひどかった津波被災地を、
自分のこの目でわざわざ見たいと思う人はそう多くはないのではないか。
すると報道がないと市民でも「あまり知らない」
ということは起き得るのだ。

・津波被災者より原発避難者優遇
さらに地元の津波被災者が怒っているのは、待遇の差だ。
例えば、いわき市民の津波被災者は、
プレハブの仮設住宅なのに、
原発避難者はロッジ風の木造仮設が提供される。

メールをくれた津波被災者によると、
待遇格差は今に始まった話ではなく、
2011.3.11直後も差があったという。

「津波被災者は体育館で寝起きし、
あまり物資もなくテレビもなかった。
その後、原発避難者が来たが、
はじめは体育館に一緒に寝起きのはずが、学校の教室へ。
しかもなぜかそちらの方には物資がいっぱいあり、
テレビもあった」

避難するマイクロバスすら差があったという。
「私たちは津波被災地から避難所まで、
余震と津波におびえながら、マイクロバス1台でピストン輸送。
でも原発避難者は何台ものマイクロバスに乗ってやってきた。
なぜ地元の津波被災者と市外の原発避難者がこんなにも違うのか」

そう、今に始まった話でなく、
昨年来「なぜ?」という不満が募っていたのだ。

・原発避難者が悪いのではなく行政の対応が悪い
ただメールをくれた津波被災者は、
原発避難者に不満の矛先を向けているのではなく、
いわき市の行政対応に不満を持っている。

「原発避難者の方は大変だと思います。
戻れる場所がなくこの先どうなるかもわからず、
いわきにとりあえず来ただけなのですから。
でもなぜいわき市はこんなにも地元の津波被災者と、
原発避難者とに待遇の差をつけるのでしょうか?
誰も望んでいない被災者同士、市民同士の摩擦が広がっている。
それが今、いわき市の最大の問題だと思っています」

原発避難者の中にも原発被害だけでなく津波被災者もいる。
「死の町」と化した原発避難者の苦悩は計り知れない。
でもだからといって地元の津波被災者からしてみれば、
これほど待遇の差をつけられたら怒るのは当然だ。

無論、いわき市が待遇格差をつけているというより、
原発被災地の自治体がいわき市の行政対応より、
はるかに「上手」だったこともあろう。
でも地元民からすればおもしろくない出来事として映るだろう。
だからカー用品店のスタッフも、
儲かっているのに非難めいた口調がつい出てしまうのだと思う。

・被災地で広がる歪み・妬み・温度差
昨年から何度も被災地を訪れているが、
被災地に広がっているのは、
いや日本全体に広がっているのは、
「絆」なんかじゃなく「歪み」だと以前に書いたが、
まさに今のこうした「歪み」がひどくなっている。

被害状況が違うための温度差。
偏った報道やボランティア活動により、
忘れられる被災者・被災地と、
忘れられない被災者・被災地の支援格差。
そこに原発事故による放射能問題が加わり、
単なる地震・津波被害以上に、
問題が複雑化・深刻化してしまっている現状。

歪みがひどくなっているがために、
取り残された被災者はより徒労感を募らせる。

特に今回メールをくれた津波被災者の方は、
・甚大な津波被害があったエリアに住んでいたが、
大規模半壊なものの家は残っている
・震災直後、避難所からすぐ自主避難し、
自分で市内で住居を探したため、
他の津波被災者と異なり、
市から住宅費に関して援助が受けられず、
二重ローンにあえいでいる
といった状況のため、
避難所にいた人や仮設住宅にいた人より、
ほとんど支援を受けていない。
だからこそ余計に、
「こんなに被害を受けたにもかかわらず、
なぜ私のところに支援が少ないのか」
と憤りを感じ続けていたのだと思う。

この津波被災者の方は今の心境をこう話す。
「1年が経って生活はして生きてはいますが、
時が止まったままの気がします」

今回の震災ではあまりにも広範囲かつ、
被害が複雑だったために、
こうした取り残された被災者の方もいる。

無駄なイベントして金使ったり、
仮設にばかり有り余る物資支援をするより、
困っている被災者がいっぱいいるはず、
と言い続けてきたが、
やはりそういう状況があった。

私としてもいわき市に何度も行きながら、
こういう声を拾ってこれなかったのは、
反省すべきことだと思う。

この方は今年3月に発売された、
拙著「検証・新ボランティア元年
~被災地のリアルとボランティアの功罪」を読んで、
被災者の心の叫びを取り上げてくれるのではないか、
また報道がされないいわきの津波被災地に、
何度も取材をしているから、
他のメディアとは違い期待をしてメールをくれたのだと思う。

「とりあえず今は支援がなくても生活はなんとかしています。
今、何か支援がほしいというわけではありません。
ただ震災から1年以上が過ぎても、
こうして取り残されて苦悩している被災者がいること、
そして行政のまずい対応のために、
津波被災者VS原発避難者といったような、
誰もが望んでいない摩擦が起きているという現状を、
多くの人に知ってほしい。
私が今、望んでいるのはそれだけです」
と話してくれた。

具体的に今、私たちが何かができるわけではないとしても、
被災地で今どんな問題が起きているのか、
そもそもいわき市にも甚大な津波被害もあったということなどを、
被災者以外の人たちも知っておくこと、
関心を持ち続けることが大事なのではないかと、
この方の話を聞いて思った。

311の1周年のが終わり、
自己満足ボランティアは「もうやることない」と支援をやめ、
マスコミは被災地報道を急減させ、
国民の関心もかなり薄らいできているのを感じるが、
私は引き続き被災地の現状や苦悩に声を傾けていきたいと思います。

まずは知ること。
被災者が望んでいるのは「忘れないでほしい」ということ。
私のブログを通じて、
風化していく被災地の現状を、
知っていただければと思います。

※被災者の方でメディアがあまり取り上げず、
悩んでいることがあればメールください。
kasakotaka@hotmail.com

※ただ、津波被害のなかったいわき市民、
津波被害のあったいわき市民、市外の原発避難者、
3者をみんなで集めて、お互い情報交換し、交流しあって、
いがみあうだけでなく、陰口を言い合うのではなく、
みんなで協力して新しいいわき市を作っていこうという動きもある。

・一生、家に帰れない帰宅難民インタビュー~原発の恐ろしさ~
http://kasakoblog.exblog.jp/17677403/

書籍「検証・新ボランティア元年」

・いわき市内で津波被害がひどかった場所
薄磯
http://www.kasako.com/1105iwaki1.html

豊間
http://www.kasako.com/1106toyo.html

久之浜
http://www.kasako.com/1105hisa.html

・取材費の活動のたしにしますので、
もしAmazonでお買い物される方いらっしゃれば、
下記のリンクより買い物していただければ幸いです。
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by kasakoblog | 2012-05-28 00:23 | 東日本大震災・原発
2012年 05月 27日
人間動物園
人間動物園  作詞作曲 かさこ

なぜなぜなぜ 脱走しない
だってだってだって 鍵は開いてる
みんな知ってる ここを抜け出せることを
でも出てかない だって寄生虫みたいにラクだから

食う寝るだけが唯一の楽しみ 言われた通りにやればいい
見世物だろうが社畜であろうが 単純作業の毎日がいい
機械の方がはるかにいいって わかっちゃいるけど誰も言わない
ズーは満室パイも少なくこのままいけばみんな全滅
ディストピア

もういっぱい人で あふれかえってる
新規参入やだ エサが減るから
限られた場所 醜く奪い合っている
もう窒息しそう だって誰もここから出てかないから

客は見飽きて倒産寸前 檻にしがみつくニンゲンども
やがて滅びる運命だろうが 自分だけ助かると楽観
野生の本能投げ捨てたから フリーな世界じゃ生きていけない
座して死を待つ事なかれ主義 抜け駆け許さない
負の連鎖

檻で媚売る術なんかより 外で獲物を捕らえる力を
沈むムラから生き残るには 誰よりも早く飛び出す勇気を

今まで信じた楽園ない 守ってくれた檻ももうない
金科玉条安全神話は とっくの昔になくなってる
逃げ場所のないズーの中で じたばた逃げ回っているより 
束縛ないけど危険いっぱい  でも自由な世界へ行けばいい
ユートピア

・簡易PVデモ音源
http://www.youtube.com/watch?v=BLNgQC4o1yo

もし何かAmazonで買い物があるなら、
下記よりお願いできれば助かります。
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by kasakoblog | 2012-05-27 18:15 | 音楽
2012年 05月 27日
全会社員必見のおすすめ書「辞めて生きる技術」
フリーエージェントとかノマドワーカーとかいうと、
自分には関係ないとか、そんなものなるつもりないとか、
フリーはリスクが高いとか、そういう受け止め方をしている人が、
正直まだまだ多いと思う。

でももうそんなこと言ってられる時代じゃなくなった。
フリーエージェントに自らなりたいんじゃなく、
会社都合でフリーエージェントにならざるを得ない時代になったのだ。
こうした時代の変化による危機感を訴え、
いつ会社を辞めさせられても、
自分で独立して生きていけるようになるための、
おおまかな概略が書かれたのが「辞めて生きる技術」(藤井孝一著)である。
私が今年読んだビジネス書の中で文句なしに一番のおすすめ書。
明日はわが身、いつかくるリストラに備え、
ぜひ会社員の方は読んでいただきたい。

フリー=不安定=リスクが高いと思われがちだが、
著者は「今の時代、会社員こそ不安定でリスクが高い」と説明する。
こうした時代の移り変わりを第一章、第二章あたりで説明した後、
ではどうやって独立準備をしたらよいのか、
その後の章で具体的な方法が書かれている。

その方法で何より素晴らしいのは、
今、サラリーマン時代から独立する準備のため、
副業をはじめようと勧めていることだ。
サラリーマン時代から自分で稼ぐ実績=副業を作っておき、
そのビジネスを徐々に拡大していき、
いつ会社都合でリストラにあっても、
そのまま副業のノウハウを本業に持っていくことができるので、
スムーズな独立が果たせるというものだ。

ただ「副業」といっても、
できれば今の仕事に近い分野を著者は勧めている。
それが一番ノウハウもあり、稼ぐのに手っ取り早いからだ。

1:本業の専門分野を生かして何かできるかを考える
2:自分を棚卸しして事業内容を決める
3:肩書きを決め、名刺をつくる
4:あなたの専門分野に関する情報をネットなどで積極的に配信
5:見込み客リストをつくる
6:タダ働きして実力をつけ、実績をつくる
7:受注する

これを会社員勤務時代から始めておけば、
いざ会社が何かあってもスムーズに独立できるという。

ただ正直、一番のネックは、
会社の仕事との兼ね合いや、
副業・兼業が禁止されている社内規定を、
どう逃れるかだとは思うが、
6ぐらいまでだったらうまく言い逃れはできるのではないか。

そしてこの7ステップがすごく説得力があると感じたのは、
実はこれ、私が会社員から独立するまでの過程で、
全部やってきたことだったからだ。

まさに私はこの7ステップをこの10年間、ずっとやってきた。
編集プロダクションに勤めながら、
会社の仕事とは抵触しない分野で、
個人的な活動を行っていた。
はじめは別に副業をするつもりだったわけではなく、
ただ好きな分野の執筆や撮影をしたいと思い、
ネットを中心に情報発信していたら、
いつのまにかそれが仕事になり、
はじめはほんの小遣い程度だったのが、
仕事といえるまでに成長した。

これまで勤めていた編プロは社長の引退リスクが大きく、
正直いつ会社が解散になってもおかしくはない。
その時に自分で食べていけるようにならなくてはならない、
と思っていて、でもいろいろごたごたがあり、
今年の3月より会社を辞めてフリーになった。

だから私も決して自分が好き好んだタイミングで、
かっこよく独立、フリーエージェント宣言したわけではない。
やむにやまれずという側面もあった。
はてどうしようかと思っていたが、
まさにこの本に書いてある通り、
これまでの副業がスムーズなフリーの移行ができたのだ。

そしてこの本がとても共感できるのは、
独立準備の必要性を会社倒産危機時代だけでなく、
311の話をまえがきに持ってきている点だ。

311が起きた時、どうして今、自分がこんな仕事をしてるのだろう?
こんな仕事をしている場合じゃないのではないか?
さらにこんな事態に会社で働いている場合ではなく、
守るべき大切な家族のそばにいるべきではないか?
そう思った人も多いのではないかと著者は書いている。

まさにその通りだと思う。
311で働き方や生き方そのものを、
根本的に見つめ直す時がきた。
今まで起きないといわれたリスクが起き、
何が大事かがはっきりした。

ぜひそういう意味でも本書を多くの人に読んでほしい。
単なる独立志向称賛本でもなく、
後ろ向きな会社員不安を煽るだけの本でもなく、
今、会社員の立場でできることが書かれています。
私もこの本だけは売らずにとっておこうと思います。

・「辞めて生きる技術

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by kasakoblog | 2012-05-27 09:28 | 書評・映画評
2012年 05月 26日
国民サービス削減のためのスケープゴート~異様な河本準一バッシング
スケープゴート・・・
1 古代ユダヤで、年に一度人々の罪を負って荒野に放たれたヤギ。
2 責任を転嫁するための身代わり。
不満や憎悪を他にそらすための身代わり。

お笑い芸人、次長課長の河本準一さんの母親が、
生活保護を「不正受給」していたとして、
自民党の片山さつき氏を発端に、
マスコミがこぞって大バッシングを繰り返している。
テレビをつけるとどこもその謝罪会見ばかりでびっくり。
しかも驚くべきことに、同業の芸能人までもが、
甘かっただのなんだのって批判している。

こんなにも大バッシングしているけど、
国民はそれほどひどいと思っているのだろうか?
私にはバッシングと国民世論に大きな乖離があるのではないかと、
違和感を覚えている。

生活保護の不正受給は前々から問題となっている。
既得権益を守り続け、改革を先送りする、
政治家・官僚・企業とそれを頼りにする国民のせいで、
日本経済が衰退し続けているために、
生活保護受給者が増えている。

受給者が増え、受給額が膨れ上がるが
税収は減り、借金はいっぱい、
でも自分たちの既得権益は守りたいので、
無駄な公共事業や意味なし景気対策などは削りたくない。
でも財政問題も深刻だしなんとかしたい、
というのが政治家や官僚の思惑だ。
そこで格好のターゲットが見つかった。
そう、お笑い芸人の河本準一さんだ。

不正受給かどうかもかなりグレーそうで、
仮に不正受給だったとしても、
もっとひどい不正受給例はいっぱいあるだろうが、
それでは国民の関心を集めることができない。

しかし有名芸能人ならどうだろう?
「あんなに稼いでいるくせに生活保護もらうなんて悪質だ!」
「サラリーマンは苦労しているのに芸能人のくせにもらいやがって」
それが自民党の片山さつき氏の狙いでもあり、
マスコミの狙いだったんだろう。

でも実際に彼らの目論見とは裏腹に国民の反応はどうか?
河本準一さんのキャライメージが大きいと思うが、
私の勝手なイメージだと、
・計算高く得するような悪知恵がありそうな人には見えない
・ものすごいボロ儲けしている芸人には見えない
といったことがあるせいか、
「河本準一さんはあれほどまでにバッシングされるほど、
悪質な不正受給だったのだろうか?」と感じた。

そもそもサラ金にいた私からすれば、
芸能人なんてどれだけ一時的に高収入があっても、
人気によって収入が大きく激変する、
金を貸すにはランクの極めて低い不安定職業だ。
確かに今は高収入なのかもしれないが、
それが永続的に続くとは思えない。

またこの手のニュースで気をつけなくてはならないのは、
高収入者=金持ちではない、ということだ。
子供手当てなんかでも話題になったが、
「高所得者層はもらうべきではない」
「所得制限をして低所得者に限るべきだ」
みたいな話が必ず出る。
それは高所得者層への妬みを煽るやり口で、
片山さつきやマスコミの手法と同じく、
「金持ちを批判すれば国民から人気がとれる」
と思っている人たちがよく使う手法だ。

でも高所得=金持ち、低所得=貧乏とは限らない。
収入の高低だけでなく支出が多いか少ないかで、
使えるお金(可処分所得)は変わってくるからだ。

先日、福島いわき市の津波被災者の主婦に話を聞いた時のこと。
この方はこんな風に嘆いていた。
「『おたくは大企業のサラリーマンだから
収入がいっぱいあっていいですね』と、
同じ地区の津波被災者から、
やんわり嫌味なようなことも言われることがある。
でもうちには3人の子供がいて大学にも通わせているので、
支出も多くて大変なことには他の被災者と変わらない。
単に夫の所得金額が多いから、
あそこのうちは裕福だから支援は必要ないとか、
そういうのはおかしいと思う。
うちだって津波被害にあった家のローンと、
今、仮住まいしている家賃の二重ローンで苦しんでいる。
年収で見るのではなく生活実態も見てほしい」

年収が高い低いだけでなく、
親と同居しているのかどうかとか、
ローンがあるのかないのかとか、
子供の人数とか、重病な家族がいるかいないかとか、
そういう状況を考えないといけない。
年収が多くても生活が大変なところもあるだろうし、
年収が低くても親と同居していて、
ローンがなく独身とかだったら、
支出が少ないから逆に使える金はいっぱいあって、
「裕福」かもしれない。

そうした個別事情を一切無視し、
紋切り型に年収の多寡だけで考えるから、
逆に生活保護の不正受給で働いている人より金持ちだとか、
義援金たんまりもらえるから働かずパチンコしているとか、
おかしな実態が出てきてしまうのだろう。

でも片山さつきみたいな政治家やマスコミは、
低所得者や世間的に見た「弱者」は批判しにくい。
むしろ「弱者」にかわいそうだと同情してみせることが必要だ。
だから本来批判されるべき対象よりも、
「芸能人」「高所得者」というわかりやすいターゲットを祭り上げ、
国民の不満を集中させてガス抜きをさせ、
自分たちの人気をとろうという悪質なやり口を繰り返すのだ。

今の政治家・官僚がやっていることは、
これまで何十年もやってきた、
まったくムダだった税金の使い道によって、
膨れ上がった借金のツケを国民に支払わせるために、
お笑い芸人のようなバッシングしやすい対象をスケープゴードにし、
本来国民に必要な最低限のサービス(教育、福祉、医療、年金)を、
どんどん削り、挙句の果ては「財政不足だから消費税増税もやむなし」
みたいに国民を洗脳させることばかりにやっきになっている。
それでいて公務員や政治家の無駄な手当てや宿舎みたいなものは、
ほとんど削減されないとか、
除染みたいな意味なし事業に多額の税金を使うとか、
特定業界を儲からせるためだけのエコポイントに多額の予算を使ったりとか、
おかしな税金の使われ方がずっと続いている。

それでお金が足りなくなりました。
だから国民への最低限のサービスを削りますって、
やるべき優先順位がまったく違っているのではないか。

ちなみに生活保護問題では受給額をなんとか減らそうと、
本来支給すべき弱者にナンクセつけて支給させず、
餓死させたという北九州市のとんでもない事件も起きている。

・「これは行政による人殺し」~生活保護求めても応じず餓死
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-06-04/2006060401_04_0.html

不正受給はきっちり取り締まるべきだ。
また被災者支援ともまったく同じだが、
働かない方が儲かるとかそういう制度設計は見直すべきだと思う。
しかし必要な人に支給しなければ死んでしまうわけで、
今回のようにもっと悪質な人がいっぱいいるのに、
有名人だからといって取り上げてバッシングすることで国民世論を味方につけて、
本来提供されるべき国民サービスを削減するという、
ねじまげた方向に持っていってはならないと思う。

今の政治家や官僚は、国民同士に悪感情を抱かせて、
それによって国民福祉を削減し、
自分たちのこれまでの政策の失敗を隠蔽し、
本来やるべき自分たちの非効率な体制改革や、
意味のない政策予算の削減には手を出さないことを堂々としている。
異様な河本準一バッシングは、そうした意図が透けて見える。
本質をごまかして小手先の改革ばかりが続くと、
ほんと日本もギリシャのようになってしまうと思う。

※本編の話とはあまり関係ありませんが、
河本準一さんとは今年テレビ番組「くだまき八兵衛」出演時に、
お会いさせていただきました。
奇しくもその際、「借金するのは収入が不安定な芸能人が多く、
サラ金では芸能人のランクは低い」という話をしました。
・サラ金の舞台裏については拙著「金融屋」をご覧ください

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by kasakoblog | 2012-05-26 23:04 | 政治