あなたの票は一票の価値がない?
2009年 08月 28日
あなたの一票は一票の価値がないことをご存知だろうか?
例をあげると、今回の選挙で、
最も価値がない票は千葉4区のみなさん。
有権者48万9437人で1人しか選べない。
逆に最も価値ある票は高知3区のみなさん。
有権者21万2376人で1人選べる。
いわば、千葉4区の人は1票しか投票できないのに、
高知3区の人は2.3票も投票できることになる。
自分の一票の価値がいくらあるかは、
http://www.ippyo.org/checker.html
で計算できるので、確かめてみるとよい。
だいたい多くのエリアで、0.6票ぐらいしか価値がない。
※高知3区を1票とした場合
東京都新宿区など:0.47票 大阪府中央区など:0.57票
北海道札幌市:0.45票 沖縄那覇市:0.84票
民主主義というのは多数決だ。
投票数の多かった人が政治家として選ばれる。
ところが現実は、10万票で当選してしまう人がいるのに、
20万票でも落選してしまう人がいる。
選挙は、高校野球の県代表を決めるのとはわけが違う。
選挙権が、ある県では2票もあるというのは、明らかにまずかろうに。
もう選挙の区割りも終わり、
今さら一票の格差を問題にしても、
有権者は何もできないわけだが、
それに国民は物申すことができると、
すごい“過激”な意見広告が載っていて驚いた。
今回の選挙では、みなさん、
最高裁判所の裁判官の国民審査ができる。
裁判官としてふさわしくない人にバツをつけるという方式だ。
この過激な意見広告では、
今回、審査される9人の裁判官のなかで、
「一票の不平等を定める公職選挙法は、
憲法に違反せず有効である」
との意見を示している裁判官として、
那須弘平、涌井紀夫の名をあげ、
あたかもこの二人にバツをつけるよう、
全面広告で訴えているのだ。
この広告を見て、
一票の格差を容認するなんてひどい裁判官だ!
バツをつけろ!
とはすぐには思わない。
というのも、
・他の7人の裁判官が一票の格差を容認しているかはわからない。
(※1人は憲法の趣旨に沿うものとは言い難いとしている)
・一票の格差だけでなく、他の判決で、
裁判官としてふさわしいのかどうかを考える必要もある。
からだ。
ただ、どうだろう。
私もそうだけど、
9人の裁判官がどんな判決をして、
どんな考えを持って裁判にのぞんでいるのか、
詳しいことがよくわからない。
たとえば、冤罪が疑われる御殿場事件で、
上告を棄却した裁判長だった桜井龍子は、
バツをつけるべきだという意見が多い。
御殿場事件とは、女子高生が10人に強姦されたという事件だが、
被害を受けた女子高生の供述がころころ変わっているなど、
不審な点が多いことから、
冤罪ではないかとかなりテレビでも放送された事件だ。
ただ本当にこの事件が冤罪なのかどうか、
マスコミやネットの情報しかない国民が、
断言できるのかと思うと、
断言もできないのにバツをつけてもいいものかどうか、
迷ってしまう。
もし本当だったら国民自らが“冤罪”をしたことにもなるのだから。
そんなわけで、衆議院議員選挙と同時に行われる、
最高裁判官の国民審査というのは、
どうしたらよいのか、いつも迷う。
ただ一票の格差という忘れられた問題に焦点をあて、
大新聞に全面広告をうって、
裁判官を落とせという意見広告は、
かなりのインパクトがあった。
最高裁判官の国民審査をどうするかということよりも、
小選挙区制になったにもかかわらず、
未だに2倍以上もの票の価値の格差があることを、
今まで放っておいたのってどうなんだろうと。
人口増減があるから、すべてを平等にすることは不可能にしても、
いくらなんでも2倍以上も一票の格差があるというのは、
重大な憲法違反といっても過言ではないのに、
こんな状態が平然と続けられて、
問題にもならないというのは、不思議な国だなと。
結論なき日記だけど、
こんな問題がまだあるなかで、
選挙が行われているということは、
知っておいた方がいいんじゃいかと思う。
「一票の格差」2.3倍に拡大
http://www.asahi.com/politics/update/0818/TKY200908180340.html?ref=rss
一票の格差を問う意見広告
http://www.ne.jp/asahi/ippyou/kakusa/asahi090730.pdf