政治に競争原理が働いた
2009年 08月 30日
今回の選挙だったのではないか。
今までは自民党しか選べない状況。
野党があまりにへぼいから、自民は襟を正す必要はなく、
悪いことをわんさかやり、問題は先送りにし、
平然と国民を“騙し続けて”きても、
自民党が選ばれ続けてきた。
だって他に選択肢がないんだから。
しかしはじめてライバル=民主党が現れた。
いわば無人島で結婚相手が1人しかいなかった状態から、
国民ははじめてもう1人、別の相手を選べるようになった。
新たな相手=民主党が決して気に入ったわけじゃない。
しかし、今まで付き合ってきた相手があまりにひどかった。
こんなひどい相手なら、違う誰かなら誰でもいい。
そこで国民は民主党を選んだ。
民主党を不安視する声も大きいが、
今回は民主党しかあり得なかったと思う。
民主党に入れることで、自民党が反省し、
もう一度、まともな政党として立ち直る機会にもなったからだ。
惨敗で自民党が襟を正せば、
政治は前よりは確実に良くなるだろう。
民主党は圧勝したが、
小泉自民の大勝時の奢りは今のところない。
なぜなら“風”の恐ろしさを知っているからだ。
民主党はぶれまくりの政策で、
2005年衆議院選挙で惨敗を喫した経験もある。
しかし風が一転すれば、
これほどの大勝になるということを肌で感じ、
きっと恐ろしさも感じているだろう。
政権をとった後、失敗すれば、
今回の自民惨敗のような結果に、
自分たちがなることを十分認識しているはずだ。
日本の政治にはじめて競争原理が働き、
国民がはじめて2つの選択肢から、
相手を選ぶことができたのは、
非常に意義がある選挙結果だったと思う。
競争原理なき業界はサービスが向上しない。
そのために独占禁止法がある。
競争が激しい業界は、
消費者に自社商品を気に入ってもらうよう、
必死に経営努力やサービス向上に努める。
今までの日本政治にはそれがなかった。
だからいつまでたっても政治の“サービス”は向上しなかった。
ただ大きな危惧がある。
民主党がいい悪いの問題ではなく、
どの政党も経営体力=財政を度外視した、
安売りサービス合戦をはじめることだ。
民主が高速無料といったから、
自民・公明はあわてて高速1000円を実施した。
民主が子ども手当てを政策に入れたので、
今までマニフェストに入っていながら、
何にもやらなかった幼児教育無償化を、
自民はあわてて訴え始めた。
消費者に気に入られるために、
体力を度外視した安売り競争をすれば、
どちらの企業も倒産し、
結果、消費者にも迷惑をかけることになる。
今回のマニフェストを見て、
私は「バラマキ選択選挙」と名づけた。
すでに安売り合戦の様相を呈し始めていた。
政治に競争原理が働くことはよいが、
国民受けばかりを狙ったサービス合戦はやめてほしい。
今回、私は小選挙区も比例でも民主に入れたが、
(比例は、民主か共産かみんなの党かでかなり迷ったが)
高速無料も子ども手当ても高校無料も実施してほしくない。
民主党に期待するのは、
自民公明では絶対にできない無駄遣いの排除。
これがどこまでできるかで、
民主党の実力が問われると思う。
そしてひそかに期待しているのは、
政権交代が起きたことで、
これまでマスコミが報道してきた以上の、
とんでもない無駄遣いが発見され、
無駄を撲滅できるのではないかということ。
それができれば、民主党が果たす、
日本政治における役割は極めて大きいと思う。
ただそのせっかく浮いた金を、
高速無料や高校無償などという、
とんでもないバラマキには使ってほしくはないんだけど。
民主党がへまをすれば、
まず参議院選挙で民主が惨敗し、
次の衆議院選挙でも惨敗を喫することになるだろう。
今回の選挙で競争原理の恐ろしさを民主党が感じていれば、
たとえ大勝しても、
体力なきバラマキをしないと期待している。
逆にそれをしなければ、
今度は民主に大逆風が吹く番だ。
今回の選挙結果を生かせるのは、自民か民主か。
これからの政治が見物ではある。
それにしても民主党はタイミング的には、
相当な“貧乏くじ”をひいたといっていいだろう。
なぜなら来年の経済は、
自民・公明がむちゃくちゃやった、
需要の先食い景気対策の反動で、
まず景気は悪くなるからだ。
しかし景気が悪いのは時の政権のせいにされるだろう。
そこでまた「景気を良くしろ」という、
「バラマキ」圧力をマスコミや国民がかけると、
また同じ過ちを繰り返すことになる。
新型インフルが猛威をふるい、
経済や社会に大打撃を与える可能性もある。
つまり経済環境が逆風下のなかで、
政権の舵取りをしなくてはいけないというのは、
民主党が悪いわけではなくても、
民主党のせいだと見られる可能性が非常に高い。
マスコミも国民もその辺をきちんと見極めて、
何でもかんでも時の政権が悪いと批判するだけでなく、
何が原因で悪いのかを見極めた上で、
その批判の矛先を向けねばならないと思う。