世界が変わり始めた
2009年 10月 07日
中東の湾岸諸国が原油取引のドル決済をやめることを、
日本や中国、ロシア、フランスと秘密裏に交渉しているというものだ。
これ、すごいことなんです。
原油を取引する際、
今までドルだったものを別の通貨にするとどうなるか。
ドルの価値が下がるわけです。
ドルの価値が下がるとアメリカの経済力が下がる。
するとアメリカに牛耳られた世界が大きく変わるということなんです。
イラクのフセイン大統領が、大量破壊兵器もないのに、
なぜアメリカにぶっ殺されたかというと、
原油取引のドル決済をやめようとしていたからともいわれる。
アメリカにとっては死活問題なんです。
だって何枚でも刷れる紙切れが、
世界の基軸通貨として使われているから、
莫大な借金しようがアメリカ経済は成り立っていた。
しかしドルを使う場面が減ったら、
ドルの価値は他通貨に対して弱くなる。
日本ではトヨタをはじめとした輸出企業の圧力によって、
円高=悪とされてきたけど、
自国通貨の価値が高くなれば、
海外のものを安く買えるわけで、喜ぶべきことなんです。
「私は海外旅行に行かないから関係ない」
そんな次元の低い話じゃない。
日本は食糧も石油も海外に依存している。
それが自国通貨の価値が高くなれば、
安く手に入るんです。
円高を嫌がっているのは輸出企業だけで、
円高になれば国民のメリットは極めて大きい。
そんなわけでドル決済がやめられて、
ドルが安くなれば、アメリカは海外から輸入する際、
今までよりより多くのドルを払わなくてはならなくなる。
つまり世界におけるアメリカの経済力が弱まるんです。
ドル決済が減り、ドル安になり、
アメリカの国力が弱まることは、
今のところ世界にとっても日本にとっても、
非常に歓迎すべきこと。
アメリカの横暴に世界中がつきあわされなくてすむ。
今、世界は大きく変わろうとしている。
一言でいえば、アメリカ中心主義、アメリカ依存経済からの脱却。
新たな世界秩序が生まれようとしている。
アメリカ中心主義の弊害の極致が、
2001.9.11のテロであり、
2008.9.15の金融危機だと思う。
もうアメリカ中心の世界では破綻してしまうことが、
上記2つで明らかになった。
そこでブッシュに変わってオバマ大統領が誕生した。
日本も実に喜ぶべきことに、
アメリカ追従するしか能がなかった自民党が退場し、
“脱米親中”という今の世界経済の流れを自身の論文で書いた、
鳩山首相が総理になり、
円高を容認する藤井さんが財務大臣になった。
ほんと日本は運がよかった。
あのまま自民・公明政権でいたら、
アメリカと一緒に沈没していただろう。
民主党は脱米世界の流れを見越し、
アメリカ依存を脱する方向で、
今のところ動き始めているように見える。
1ドル=80円台で騒ぐ時代は終わった。
原油取引がドル決済でなくなれば、
1ドル=70円ぐらいになってもおかしくない。
そうなると世界はがらっと変わる。
もちろん円安バブルの恩恵で空前の利益をせしめた、
輸出産業は大打撃を受け、
場合によっては潰れる企業も出てくるかもしれない。
しかしそれは仕方がない。
時代の変化に対応できなかった話で、
自動車売るなら今や欧米ではなく中印だろう。
それで十分生き残れるはずだ。
今、世界経済の構造が大きく変わろうとしている。
これまでの常識が通じないことも増えてくる。
これまでのウミを出す絶好の機会。
世界がよい風に生まれ変わる最大のチャンスが、
今、訪れているように思う。
もちろんいいことばかりじゃなく、
新秩序により一時的に世界は不安定になる可能性がある。
依然としてならずもの国家の、
アメリカ、ロシア、中国とどう日本はつきあっていくか、
国防も含めて極めて難しい舵取りが必要になる。
でもこれまでのアメリカ中心世界の弊害を考えると、
いい風に変わるきっかけになることに期待したい。
大きな世界構造の変化に、
私たちも対応していかなければ。