2009年 10月 28日
貧困者向け高利貸がノーベル平和賞?!
貧困問題を解決するのは、恵み=チャリティではダメだ。
融資することで自立支援を促すべきだ。

そんなの厳しいんじゃないのとか、
そんなの無理なんじゃないのとか、
思うかもしれないが、
この仕組みはノーベル平和賞も受賞している。

貧困者にお金を無担保で貸し、
実際に貧困問題を解決している、
マイクロファイナンスという仕組みが、
最近、注目を集めている。
2006年には、その草分け的存在の、
バングラディッシュのグラミン銀行の創設者が、
ノーベル平和賞まで受賞している。

すごいんですよ、この仕組み。
融資条件だけ聞くと、悪徳サラ金も真っ青!
1日2ドル未満で生活している極貧者が対象。
属性は主に無職の女性。
金利は年利15~70%!
5人のグループを作らせ連帯保証させる。

恐ろしい!
日本のヤミ金並みの融資条件ですよ。
しかしこれがなぜノーベル平和賞になっているのか。

それは単に融資するだけでなく、
お金を稼ぐ方法を教えたり、貯金方法を教えたり、
仕事のアドバイスや教育をしたりするなど、
自立支援をセットで行っているから。

高金利なのはいわば自立支援サービスの人件費なのだろう。
そのおかげで貧困率が低下しているという。
しかも貸倒率はわずか2%という。

なぜ貧困者にお金を恵むのではなく、
利息までとる金貸しにするのか。
それは貧困者の自立支援を促すためだ。

貧しい人に魚をあげるのではなく、
魚の釣り方を教えるべきだ。

貧しい人に無料で魚をあげれば、
その日は食うのに困らないかもしれないが、
次の日も無料で魚をくれると思われてしまう。
そうなれば一向に自立なんかできない。

そこで魚を釣るための道具を買うお金を融資する。
そして魚の釣り方を教えてあげる。
貧しい人は自分で魚が釣れるようになり、
それを売って金を返せとこういうわけだ。

竹中平蔵氏に今年インタビューした時のこと。
彼はこんなことを言っていた。

「政府がやるべきことは、
“Policy to Help”ではなく、
“Policy to Solve”だ」

不景気だから定額給付金をバラまくといったような、
一時的なHelpの政策ではなく、
たとえば失業者が職につけるよう、
技能教育のためのお金を出すといったような、
Solve=問題解決の政策をすべきだと。

マイクロファイナンスの理念とは、
まさに「Help」ではなく「Solve」。
貧困者を一時しのぎで助けるんじゃなく、
貧困問題が起きないよう、
根本解決のための方法を実践しているのだ。

さて、ここまでは実に素晴らしい話だとは思うが、
この先からがややマユツバだ。

貧困者融資のためには資金が必要になる。
そこで資金をファンド形式で調達しようとしている。
この資金ファンドに投資すると、
年利4~5%の利益があるから、
ぜひ投資家のみなさん、投資しましょうというのだ。

なるほど、チャリティではなく投資することで、
4~5%もの利益が得られ、
かつその資金は貧困問題解決という、
崇高な目的に役立てられるから、
投資家はいいことしてお金をもらえる、
一石二鳥というわけだ。

それを聞くとやや不審を覚えてしまう。
やっぱり悪徳サラ金の代わりないんじゃないか。
4~5%もの利益をつけるということになれば、
個人はともかく強欲金融機関や上っ面企業などが、
「私たちはいいことしてます」との宣伝をかねて、
4~5%もの利益に食いついていくんじゃないかと。

利益を4~5%もつける必要があるのか。
そのせいで貧困者に15~70%もの高利を押し付けるのはどうか。
確かに社会的に素晴らしいことかもしれないけど、
投資した人が4~5%も儲かる反面、
貧困者に高利を押し付けるなら、
やっぱりサラ金と似たり寄ったりじゃないか。

またマイクロファイナンスがブームになれば、
いい加減な機関も出てくるだろう。
単に貧困者に高利で金を貸すだけで、
魚の釣り方をきちんと教えないみたいな。

でも5人も連帯保証人をとり、
融資するのは若い女性だけとなれば、
そりゃ回収には困りはしないだろう。
まさに悪徳サラ金の回収と同じ方式だ。

ノーベル平和賞もとった銀行とか、
本当に貧困問題解決を第一目的にやっているところは、
高利であっても素晴らしいことをしていると思う。

貧困者にお金を上げてしまうのはよくないにしても、
資金の出してに4~5%もの利益をつけると、
結局はその利益優先になってしまい、
貧困解決という本来の目的が、
うやむやになってしまわないか。

今、世界中で年利4~5%で確実に運用できるものなんてない。
世界中の強欲金融機関や強欲機関投資家が、
社会的意義があるからといって、
このマイクロファイナンスに群がったら、
きっとまがいものが増えてしまう。

貧困者には金をあげずに貸す形態にする。
しかし資金の出し手は、
金持ちからのチャリティーでもいいんじゃないのかな。

ちなみにマイクロファイナンスは、
バングラディッシュのような最貧国だけでなく、
先進国でも行われているという。

貧困問題解決のために、
日本でもマイクロファイナンスを広めるべき、
との意見もあるが、
もし融資条件がこのままなら、
やっぱりサラ金と同じだし、
元サラ金社員から見たら、
そんな高利では自立する前に潰れてしまいますよと思う。

ただ根本的な問題は“魚の釣り方”を教えるのを、
民間のマイクロファイナンス会社に頼るというのがおかしい。
本来はお金の稼ぎ方、お金の教育などは、
国が無償で義務教育内でやるべきことだろう。

バングラディッシュのような国に、
そのような教育を求めるのが難しく、
ボランティア=無償では到底できないから、
高利という利潤を確保することで、
貧困者の教育に力を入れるというのは、
素晴らしい方法ではあると思うが、
たとえば日本のような先進国の場合は、
貧困者が高利で融資をしなくても生きられるよう、
金の稼ぎ方を学校で教えるべきだ。

6年も勉強してろくにしゃべれない英語とか、
いつまでたっても魚の釣り方ではなく、
受験テクニックを教えているだけでは、
そりゃ大学卒業したところで就職できなかったり、
サラリーマン以外に技能がなかったりして、
失業してもすぐ再就職できないとか、
日常生活の中で、カードのリボ払いやキャッシング、
サラ金など、破滅の手段を平然と使っちゃうようなことになり、
それが“貧困”を生んでいる原因だと思う。


by kasakoblog | 2009-10-28 00:24 | 金融・経済・投資


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