バブルはじめました!
2009年 12月 03日
1年が過ぎた世界は今、危機に学ぶことなく、
再び危機を招こうとしている。
新たなバブルの兆候があちこちに見え始めた。
また4~5年後に金融危機のような、
急激な経済危機が起きたらたまらないですよね。
にもかかわらず、世界は新たな危機をこしらえている。
ドル安バブル、新興国バブル、エコバブル、不動産バブル・・・。
世界経済は過去に学ぶことなく、
性懲りもなくバブル生成とその崩壊を繰り返している。
しかもどんどんその規模が拡大している。
今まで以上に大きな風船を膨らませて、
一挙に破裂させて大損害を与える。
その繰り返しだ。
なぜ愚かなバブルを繰り返すのか。
答えは簡単。
バブル崩壊後にさまざまな景気対策、
金融緩和政策を行うからだ。
経済が悪くなるというのは、
金回りが悪くなること。
そこで金回りをよくするために、
政府が税金を使って金をばらまき、
(給付金、エコポイント、公共事業など)
金融緩和によって市場に金をばらまく。
(低金利、量的緩和など)
子どものおままごとで考えてみよう。
おままごとで使うオモチャ紙幣が1000円しかないとする。
1000円は取り合いになり、
誰かが1000円を手に入れた後、
貯金にお金を回して、お金を使わなければ、
他の人は物が売れず、お金が得られず、
困ってしまう。
そこでおままごとが楽しくなるよう、
新たにオモチャ紙幣を10万円流通させる。
「みなさん!今なら10万円を、
たった0.1%でお貸ししますよ!」
と超低金利で借金させるわけです。
するとみんなお金を借りて、
欲しい物を買うから、
経済が活発になるというわけだ。
バブル生成である。
しかしそれは根本的な解決策なのだろうか?
買うものを買い尽くしてしまい、
新たに欲しいものがなくなれば、
みんなお金を使わなくなる。
使わないお金をみんな貯金する。
銀行は10万円ものお金が預けられ、
貯金者に利子を払うために、
何かに投資しなければならない。
お金が余って困ってしまった銀行は、
利益を得るために、
株や不動産や原油や金や新興企業やらに投資する。
みんな投資するからバンバン価格が上がる。
しかし投資したところで、
みんな欲しいものはないから、
お金を使わないことに変わりない。
投資した企業は物が売れなくて儲からない、
作った不動産は売れない、
原油や金はそんな高値で必要ない、
新興企業の事業はうまくいかない。
こうなると今度は急速に逆回転が始まる。
投資したものから一斉にお金の引き上げが始まる。
バブル崩壊だ。
みんなお金を溜め込んで、
消費も投資もしなければ、
経済活動は冷え切って、再び不景気になってしまう。
そこでどうするか?
じゃあ今度は10万円じゃなく100万円のオモチャ紙幣を、
市場に流通させればいいと思うわけだ。
こうして再びバブルが生まれ、
またバブルが崩壊するというのを繰り返している。
2001年のITバブル崩壊により、世界経済が悪化。
景気対策のために、各国は市場に金をばらまいてきた。
そこで2003年から2007年まで、
世界中でバブルが発生する。
欧米不動産バブル、新興国バブル、ドバイ不動産バブル、
原油バブル、円安バブルなどなど。
どんどん風船が膨らんだ挙句、
2008年の金融危機で一挙に風船が破裂したのだ。
そしてこの1年、世界中で景気対策と称して、
大きな風船を膨らまそうと、
各国政府は市場に金をばらまき続けている。
金融危機から1年が過ぎ、
すでにブラジル、インド、中国はバブルの様相を呈し始めた。
さらにドルが低金利で借りれることから、
ドルを借りて金などに投資する、
ドルキャリートレードが活発化している。
だから円高ドル安にもなったわけだけど、
金が1オンス1200ドル台を突破するなど、
使い道のない余った金で儲けようと、
過熱している市場も出てきているわけだ。
こうして今、次のバブルが作られようとしている。
バブルによって景気が回復したところで、
無理やり膨らませた風船は破裂するのが宿命だ。
こうして金融危機よりさらに深刻な危機が、
全世界に再び起こる可能性が高まっている。
私は前回の金融危機で、世界は学んだと思い込んでいた。
今までのようなバブル生成と崩壊という恐ろしさを知り、
愚かな繰り返しをしなくなるのではないかと。
しかし根本的には何も変わらなかった。
金融危機後の景気悪化を、
新たなバブル生成で乗り切ろうと。
米国は日本のバブルに見習い、
ドル安バブルと環境バブルによって、
この危機を乗り越えようとしている。
あと2~3年もすれば、
不景気だのデフレだのといっていたのが嘘のように、
バブルとインフレと投資ブームで、
世界はわきたつだろう。
そして5~6年後にバブルは崩壊し、
世界は金融危機よりもひどい痛手を受けるだろう。
市場に金をばらまいて、
みせかけの景気回復策では、
新たな危機を招くだけだ。
実需を伴わない金融取引を規制するような、
新しい経済体制を作らないことには、
世界は再び同じ過ちを繰り返すと思う。