国から金をもらう音楽家
2009年 12月 07日
国がパトロンになることを恥ずかしいとも思わず、
税金で助成することを当然視する発想。
そんなんだから国民から見向きもされないのだろう。
事業仕分けで芸術文化振興費が「圧倒的縮減」されたことについて、
作曲家、指揮者、演奏家らが記者会見し、
「長期的な視点もなく目先の節約を優先させた
非常識で恥ずかしい結論」と批判したという。
バカか。
そんなことを堂々といえるあんたらが非常識で恥ずかしい。
国の財政が豊かとか貧しい以前の問題。
国から金をもらうということは、
国に音楽の良し悪しを判断してもらうということだ。
国が「良い」と認めた音楽だけに税金が使われ、
国が「悪い」と考えた音楽には税金が払われない。
つまり芸術的価値判断を国が決めるという恐ろしいことを、
芸術家自らが容認しているのだ。
国が認めた音楽だけが素晴らしいのだろうか?
助成金をもらっていないオーケストラ以外の音楽は、
音楽的価値はないということなのか?
お金をもらえればいい音楽ができるのか?
お金を国から支給されないと、
人を感動させる音楽ができないのか?
ここで勘違いしてはいけないのは、
芸術と科学とはまったく別の話。
確かに科学は、事業仕分けで、
何でもかんでも削減すればいいという代物ではない。
なぜなら、科学の成果は客観的に推し量れるし、
科学の成果はある程度は予算に比例するからだ。
だから科学者たちが、
「目先の節約で削減せず、長期的な利益を考えてほしい」
というのはそれなりに筋が通った言い分ではある。
(だからといって無条件で削減するなということにはならないが)
しかし音楽や芸術は違う。
何がいいかというのは人によってまったく違う。
オーケストラで感動する人もいるが、
JPOPで感動する人もいる。
プロの音楽じゃなくても、
素人の音楽で心打たれるものもある。
音楽や芸術は科学とは違い、
誰かがいいとか悪いとか、
決められる代物ではないし、
お金をかければよいものができるものでもない。
にもかかわらず、
「オーケストラなどへの助成約19億円が半減されれば。
地方オーケストラは存亡の危機」。
だからオーケストラに金をよこせというのは、
オーケストラは他の音楽より上で、
助成してもらって当然だという思い上がりが見える。
オーケストラは素晴らしいとは思うけど、
万人がそう思うわけではない。
オーケストラ以外に素晴らしい音楽にも、
助成金を出せという話ならともかく、
他の音楽活動は助成しなくていいけど、
オーケストラは国が保護すべきだみたいな、
そういう捻じ曲がった発想がそもそもおかしい。
そんなんだから時代から取り残され、
聴く人が減ってしまっているのではないか。
素晴らしい音楽ならお金を払ってでも、
聴きたいという人は大勢いるはず。
しかしたいした営業努力をしてこなかったのは、
何もしなくても国から金をもらえるから食えるという、
腐れ根性があったからではないか。
記者会見した音楽家は、
国から助成を受けていない、
多くの他の音楽家に失礼ではないか。
本来、どんな権力からも制約を受けない、
自由な活動が許される音楽を愛するなら、
国家権力に頼るのではなく、
別の方法論を探すのが筋ではないか。
音楽で食べていけなくたって、
音楽が素晴らしいなら、
ボランティアで音楽活動したって別にいい。
「国から金をもらわなければ音楽はできない」
そんな輩に人を感動させる音楽が作れるのだろうか。
音楽は素晴らしいし、
オーケストラも素晴らしいと思う。
だからこそ税金に頼らず、
活動する方法を模索すべきではないのか。
素晴らしい音楽を作っている人たちで、
国から金をもらっている人がどれだけいるだろうか?
国から金をもらわなければ、
音楽活動ができない音楽家なんていらない。
素晴らしい音楽を作るためにも、
権力にすりよるような真似はやめてほしい。
まあしかしこういうのを大々的にニュースに取り上げる、
マスコミもどうかと思う。
政権のやることなすこと、
すべてを批判することがマスコミの役割ではあるまい。
音楽家や科学者をだしにすれば、
国民がマスコミ側の言い分を鵜呑みにするとでも思う、
世論誘導的ないやらしさを感じぜるにはいられない。
これは私の考えだけど、
基本的に国が税金でやるべきことは、
国民が死なないようにすることだけだと思う。
(国防、警察、医療、生活インフラ、教育)
それ以外、余計なことを国がするから、
そこにおかしな権力や権益が生まれ、
政治家や官僚や特定の政治家や特定の団体が、
そこに群がり、税金が食い物にされ、
本来の意図とは違った使われ方をされてしまう。
何もかも国に頼るという発想を変えない限り、
この国は借金まみれで破産する。
オーケストラ存亡の危機の前に、
国家存亡の危機であることの危機意識のない国民が、
未だ多いんじゃないだろうか。