賛否が寄せられているが、カジノが儲かるのは、
中国人をカモにできるという論点が抜けている。
中国人のギャンブル熱は異常だ。
ラスベガス取材に訪れた時、
中国の旧正月である春節になると、
巨大カジノホテルが次々と中国人仕様に様変わりするのに驚いた。
巨大ホテルの外観に中国人歓迎の垂れ幕。
ホテル内にはあちこちに中国をモチーフにしたオブジェが置かれ、
レストランには期間限定で中国人メニューが並ぶ。
しかしラスベガスはさすがに遠いので、
本当に限られた中国人富裕層だけしか対象にならない。
そこで急成長したのがマカオである。
マカオにもラスベガスに展開している巨大カジノホテルが進出。
中国から近いこともあり、マカオは世界一のカジノシティに急成長した。
マカオがラスベガスから中国人カモを奪えたのは、
距離が近いというだけでなく、
中国語が話せる人が多いというのも、大きな要因だろう。
その点、日本はダメだ。
中国語を話せる人間なんてろくにいない。
そんなんでは英語が話せない中国人をカモにすることはできない。
カジノってこんなにおいしいビジネスはない。
だって絶対に損する機械(スロット)を置いておくだけで、
勝手にばんばん金使ってくれるわけだから。
何の産業もないラスベガスのような荒地が、
カジノのおかげで世界中から4000万人ぐらいが訪れている。
カジノがあれば経済効果があるのか、
実際にラスベガスやマカオに訪れていない人は、
ぴんとこないのだろうが、
ラスベガスなんか3000~5000室の巨大カジノホテルが20~30はあり、
しかも稼働率は90%近いとも言われている。
カジノに金を落とすだけでなく、
宿泊やレストランなどさまざまな経済効果があり、
ものすごい大人数の雇用が確保できるのだ。
それだけではない。
楽してボロ儲けできるから、
住民税はただ。福祉、教育施設も充実しているという。
カジノができると治安が悪くなるというのも、
極めて短絡的な発想だ。
治安が悪ければ金持ちギャンブラーが来なくなってしまう。
外国人観光客が激減してしまう。
だからラスベガスなんかはものすごく治安に力を入れている結果、
アメリカの中では極めて珍しくかなり治安がよいことで知られている。
(もちろん悪い場所もあるが)
マカオでは中国返還後の10年、カジノビジネスが絶好調で、
マカオの一人当たりのGDPは約3倍。
財政は9年続けて黒字。
年金支給額が毎年引き上げられ、
社会保障基金は約3倍になった。
失業率は6.8%から3%に減少した。
日本とはまるっきり逆。
夢のようなことが実現できるのだ。
これらカジノ観光客増加の恩恵。
住んでいる人への経済波及効果は高い。
だから政治家連中は、
楽して儲けられる絶好のビジネスとして、
カジノを口にしたがる。
しかもカジノのようなバカなゲームに熱中して、
大金注ぎこむ筆頭が中国人である。
中国に距離的に近いことから、
日本の政治家連中が、
起死回生の秘策とばかりにカジノを口にするのだろう。
確かに中国人向けのカジノを日本で作って成功すれば、
楽してボロ儲けでき、外貨も獲得でき、
雇用も生まれ、ハコモノも作れる、
まさにばら色のプランなわけだが、
当たり前の話だがそんなにうまくいくわけがない。
ラスベガスがマカオに抜かれたように、
今や世界各都市でカジノビジネスの熾烈な競争が
繰り広げられているがゆえに、
はっきりいって中途半端なカジノを作っても見向きもされないだろう。
もしカジノビジネスに本気で乗り出すなら、
大赤字覚悟で、ラスベガスやマカオも驚くような、
施設・サービスの充実を図らなければならない。
しかしカジノを口にするバカな政治家連中は、
多分そこまでの覚悟とリスクは考えていないのだろう。
カジノさえ作れば人が来ると思っている。
まさに前近代的ハコモノ至上主義の極致だ。
またカジノは生きていくうえで、
絶対に必要なものではない。
そういうものは極めて景気の影響に敏感だ。
たとえばマカオでは、
2009年上半期の経済成長率が12.8%も減少した。
ギャンブルに依存する恐ろしさは、
何も賭ける方だけでなく、胴元にもある。
客が来なければカジノなど、
維持費がかかる何の役に立たない粗大ゴミ。
観光客減少で雇用情勢も一挙に悪化する。
カジノビジネスに依存することほど、
リスキーな商売はない。
カジノビジネスは中国人をカモにできる
絶好のビジネスではあるが、
都市間の極めて競争が激しいビジネスだけに、
安易な気持ちでカジノで振興なんて言ってるんだったら、
やめた方がいいだろう。
またこれは個人的な意見だけど、
沖縄なんかにカジノは作ってほしくない。
沖縄は別にカジノなんか作らなくても、
観光客は呼び寄せられるだろう。