ミスチルの10年!
2009年 12月 27日
久々に桜井さんインタビュー記事が音楽誌に掲載されていた。
(MUSICA2010年1月号)
2000年代を振り返るというテーマで、
ミスチルについて語っているんだけど、
あらためてミスチルのすごさを感じさせる記事内容だった。
何がすごいかって、ミスチルは2000年発売アルバム「Q」で、
解散するのではないか、終わったのではないか、
と思われていた節から見事に“復活”したからだった。
ミスチルは90年代のバンドだ。
数々の90年代のバンドが消えていったなか、
なぜミスチルだけが生き残り、
かつトップセールスを維持できたのか。
インタビューでも書いてあるように、
時代に合わせてリスナーが聴きたい音楽とは何かを考えて、
音楽を作ってきたからではないか。
ミスチル現象という一大ムーブメントを巻き起こした90年代から、
2000年「Q」がかなり息詰まっていたのではないかと思うのは、
「ダーツで曲の速さを決めたりもした」
といった発言もあったからだ。
私自身「Q」の曲ももちろんすごい好きなんだけど、
こうしたインタビューとかを読んだ時、
一度「DISCOVERY」(1999)で到達してしまった後、
自分たちがどういう音楽を作っていくか、
相当、悩んでいたのではないかと思う。
解散説をさらに後押しする結果となったのは、
2001年、2枚のベストアルバム発売と、
これまでのミスチルを網羅するようなセットリストの、
「POPSAURUS」ツアーが行われたからだ。
まるでミスチルがこれで終わりといったような、
締めくくり的雰囲気に、「ひょっとして解散?」
という想いは私の中でも大きかったが、
でもこの時、この曲を聴いて解散はないなと思った。
「優しい歌」(2001.8発売)
なんかこの曲を聴いた時に、
ミスチルは新たな方向性をつかんだのはないかと思った。
ネガからポジへの反転を象徴するきっかけとなったはずだ。
そしてミスチルが90年代ミスチルの呪縛を解き放ったのが、
2002年の「IT'S A WONDERFUL WORLD」。
あのミスチルが“世界が素晴らしい”なんていうなんて、
それは大転換にも等しい変化だった。
これを境に、ネガティブなイメージが強かったミスチルが、
2007年「HOME」という頂上に向かって、
どんどんポジティブな曲が多くなっていった。
「Q」の迷いから方向性が見えたミスチルは、
デビュー10周年を契機に2002年、
5ヵ月間に及ぶツアーを計画。
ところが桜井さんが突然の小脳梗塞により、
全公演中止となるハプニングに見舞われる。
しかし長い目で見ればこの“病気”は、
ミスチルが永続的な活動をする上では、
よかったのかもしれない。
インタビュー記事で桜井さんが、
「『もしかしたらこれでミスチルのライブは観られなくなるかも』、
『歌が聴けなくなるかも』という気分を煽ったかもしれない」
といったようなことを言っているように、
「強者としてのミスターチルドレン”が、
弱さをさらけだしたことで身近な存在になった」
のかもしれない。
そしてまたミスチルが2000年代にも活躍ができた、
大きな要因の1つが、2004年に結成したBank Bandの存在だろう。
「Bank Bandがどんなに優れた技術を持ったバンドであろうとも
できないことがあって。
それをミスターチルドレンではできる」
と桜井さんが言うように、
一度、違うバンドでやってみることで、
桜井さん自身がミスチルの良さを再認識する結果となり、
“衝動を音にしていく”「I♥U」(2005年)という、
アルバムを生み出す結果となった。
衝動を音にという意味では、
2004年の「シフクノオト」もミスチルらしいアルバムだった。
しかしもう一度、ミスチルに“危機”が訪れる。
2007年「HOME」だ。
ある意味ではミスチルがポジに転換してから、
これ以上はないというぐらい、
完全なポジになった到達点ともいうべきアルバムができてしまった。
「彩り」なんかはその最高点に位置する曲で、
これ以上、ミスチルの前に新しい山はないんじゃないか。
そんな風にも思えたアルバムだった。
しかし一方ではポジに振れすぎて、
優しすぎて物足りなさもあったアルバムでもあったが、
それをパワーアップさせたかのような、
まさに最高作品ともいうべき、
「SUPERMARKET FANTASY」を2008年に発売。
「HOME」の優しさに「I♥U」の力強さを加えた、
2000年代のJPOPの中で正真正銘、
最高傑作アルバム発売に至ったと思う。
2009年に二度の「SUPERMARKET FANTASY」ツアーを行い、
この先のミスチルの展開が気になるなか、
このインタビュー記事では驚くべきことに、
「アルバムに向けてレコーディングしていて、もう10曲くらいある」
という。
皮肉というかミスチルのすごさというか、
「SUPERMARKET FANTASY」ドームツアーで、
文句なしに一番盛り上がった曲が、
最新曲の「fanfare」であったように、
常に時代に合った最新曲を作れるところにこそ、
ミスチルのすごさがあるんだと思う。
ただ「fanfare」は“外部”の力によって、
引き出された曲といっていい。
週刊少年ジャンプ1月1日号の巻頭に、
桜井さんとワンピース作者尾田さんとの対談記事があったが、
尾田さんからの手紙によって、
これまでとは違った曲が引き出されたことがわかる。
これだけのトップミュージシャンにもかかわらず、
“外部”からの言葉を受け入れて、
自分の世界観に新たな地平線を生み出していく度量。
それが他のアーティストにはない、
ミスチルのすごさではないかと思う。
今日、ミスチルのドームツアーがすべて終わった。
今年ラストの公演は行けなかったけれど、
まだまだミスチルは精力的に活動しそうな気配!
来年もミスチルの新機軸を聴きたい!
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