ヤマダ電機に転職しようか・・・
2010年 01月 13日
サラ金は法律改正とおかしな裁判所の判決によって、
いまや倒産寸前まで追い込まれている。
40歳。子供も2人いる。住宅ローンもある。
いつリストラされるかもわからない。
取材を終えて、一緒に池袋駅に向かう帰り道、
ヤマダ電機のそばを通ると、この社員はふとつぶやいた。
「リストラされたらヤマダ電機に雇ってもらおうかな・・・」
池袋のヤマダ電機は、51年の歴史に幕を下ろした三越百貨店の跡地に建てられた。
時代のニーズに合わなくなり、売上急減で今や斜陽産業となった百貨店。
消え去った百貨店の命運は、
サラ金業界の未来を映し出しているように見えたのかもしれない。
その時、私はこう口にした。
「ヤマダ電機だって10年後どうなってるかわからないですよ。
Amazonや楽天などネット通販に押されて、
店舗縮小、社員削減の大リストラをしているかもしれないですし・・・」
学生の人気就職先ランキングで、
毎年、わりと上位に顔を出しているのがJAL。
しかしJALは今、8000億円もの債務超過を抱え、
今後1万人以上の人員削減をするとも言われている。
同じく学生の人気就職先の常連が電通や博報堂。
しかし創業以来の大赤字となり、
単に不景気だからというのではなく、
広告代理店というビジネスモデルそのものがあやうくなり、
企業の将来が急にあやしくなりはじめた。
つまり、就職先、転職先を選ぶ際、
今、人気だからとか、成長しているからとか、
安定して大企業だからといった理由で選んでも、
それがこの先も続くかわからないということだ。
不景気で安定志向を求める人が増えている。
斜陽産業をリストラされた人たちが、
今、業績のよい企業に転職しようとする。
しかしそういう職の選び方をしている限り、
この先も同じ問題に直面してしまうだろう。
若いうちは異業種へ転職できるだろうが、
年をとれば異業種への転職は難しくなり、
路頭に迷う可能性が高くなる。
こんな時代だからこそ、
「好きを仕事にする」ことがますます重要になると私は思う。
最近、読んだ本に、
「好きを仕事にする人なんかほとんどいないし、
そもそも仕事にやりがいを求めるのが間違いだ」
と書いてあったし、そういう意見の人も多いだろう。
この本を書いた著者の年齢が66歳と知って、
だからこういう結論しか導き出せないのだと思った。
高度成長期でどんな企業だろうが右肩上がりで成長する。
そういう時代に生きた感覚が抜けきれないから、
「仕事にやりがいを求めるな」と平気で言えるのだろう。
今はもうそんな時代じゃない。
低成長は当たり前。マイナス成長だっておかしくはない。
高度成長期のように、誰でもいいから頭数がいる、
という時代ではなく、
社員は少数精鋭で厳選されていくだろう。
そもそも技術の進歩によって、
単純労働は社員でなくても機械がやってくれる時代になった。
そんな時代にどんな人材が求められるか。
たとえば、先ほど出た家電量販店。
今、成長しているからという理由だけで、
単に食うために入社・転職した社員と、
家電が大好きだから入社・転職した社員。
業績が良い時はどちらも雇ってもらえるだろうが、
業績が悪化して真っ先に切られるのは、前者の方ではないか。
仮にネット通販がますます発展し、
10年後に家電量販店が大リストラ、または倒産したとする。
その時、家電を売るネット通販に転職できる人材は、
家電好きで家電知識に詳しい人材ではないか。
人気企業、成長企業、安定企業の概念は、
時代によって瞬く間に変わる。
しかし自分が好きなことって、そんなには変わらない。
好きなことならより知識やスキルを得ようと努力できる。
好きなことなら、仕事をしていても、そんなに苦にならない。
時代の変化で勤めている業界や企業がおかしくなっても、
「好き」を軸に転職できる。
「そんなの理想論だ」
「現実社会はそんなに甘くない」
そう思う声もあるだろうし、確かにそういう面もないとは言えない。
私も25歳ぐらいまで仕事や企業に悲観的な思いを抱いてきた。
「仕事に好きを求めるのはバカだ」
「そんなこと、この社会でできるはずがない」
そうやって好きなことにフタをした結果、
サラ金にしか就職できなかった。
もし今もそのままサラ金に勤めていたら、
リストラにおびえながら、
転職先のあてもなく大いに困っていたはずだ。
今、思えば、居心地もよく営業成績もよかったサラ金を24歳で退職し、
好きな書くことを仕事にしたいと思い、
周囲から見れば正気の沙汰とは思えない転職だが、
3000人の上場企業から、
20数人の中小企業の編プロに転職して、心から良かったと思っている。
「好きを仕事にできるわけがない」
そういうのは簡単だが、そういっている限りは、
毎日、イヤイヤ仕事せざるを得ず、
経済環境の風向きが変われば、
転職先に困り、路頭に迷うことになる。
こんな時代だからこそ、
「好きを仕事にする」ことを真剣に考えるべきではないか。
ただし、いきなりすぐ「好きを仕事」にできると焦ってはいけない。
なるべく自分の好きなものの方へ方へと、
ちょっとずつシフトしていけばいい。
自分にとって何が楽しいか、何が幸せかは、
人それぞれだと思うけど、
イヤな仕事を毎日する人生より、
好きな仕事を毎日する人生の方が、
ストレスも少なく、よっぽどいいんじゃないか。
客の方だってイヤイヤ仕事している人から、
サービス受けたくないだろうし。
どんな大企業だろうが、
この先、どうなるかはわからない。
安定を求めて企業に頼るのではなく、
自分の「好き」を求めて企業を利用する生き方の方が、
はじめは不安定かもしれないけど、
長い目で見た時、安定した人生を送れるのではないだろうか。
就職や転職は損得で決めない方がいい。
好き嫌いで決めるべきだ。
恋愛や結婚相手を選ぶのと同じように。
年収や勤務先でパートナーを決めても、
経済的地位が一生続くとは限らないのだから。
企業もそれと同じ。
・好きを仕事にする方法・講演抜粋
http://kasakoblog.exblog.jp/11602658/