大手出版社の断末魔
2010年 02月 16日
講談社や小学館など大手出版社が雑誌の販売不振のため、
女性誌のサイズを統一することで、
コスト削減しようというのだ。
なんと愚かな大手出版社・・・。
雑誌が売れない→売れないからコスト削減。
しかし雑誌のサイズを統一してお金が多少浮いたところで、
当たり前の話だけど、雑誌が売れるようにはならない。
問題は、雑誌のサイズを統一することではなく、
同じような内容の雑誌を乱立し、
広告だらけで見るページもない、
しょうもない雑誌をいっぱい作っていることを見直すことだろうに。
出版社に限らず、不景気になったからといって、
間違ったリストラすることで、最悪のデフレスパイラルに陥る。
不景気→下請けコスト削減→質低下→ユーザー離れ
→値下げ→さらにコスト削減&質低下・・・。
自らどんどん首を絞める。
これはリストラ=再建ではなく破綻まっしぐらの道。
無駄なコストは削減すべきだけど、
コスト削減しても売上は増えない。
売れないことを不景気のせいにして、
肝心要の中身を見直さない。
不景気で売れないといいながら、
宝島社の女性誌「スウィート」は100万部を突破している。
女性誌で100万部は異例の大ヒット。
付録がついていることや、
「出版社は企業で、雑誌は商品」という意識を持ち、
読者の共感を得る誌面を作りを徹底していることが、
他の女性誌の売上減が続くなか、
異例の大ヒットとなっている。
つまり不景気で売れないなんて、
大手出版社の言い訳に過ぎない。
目先のどうでもいいコスト削減の前に、
読者がほしいと思う雑誌の中身を作れば、
売れるものもあるということだ。
大企業病の大手出版社の大型倒産ニュースが、
いつかあってもおかしくはないと思う。
書籍、雑誌販売は21年ぶりに2009年は2兆円割れしたという。
しかし売れないのは、未だに1日新刊200冊以上も出ているから。
毎日200冊も新刊出てるんですよ。
あまりに異常。
しかも当然の帰結として返品率40.6%という異常な数値。
本屋に並べられた本の4割は、
売れずに返品されるという信じられない事態を放置する業界。
それでアマゾンのキンドルで電子書籍が大変だと騒いでる。
そんな問題じゃないだろう。
根本的に今の書籍や雑誌の中身を見直すこと、
似たような本を安易にいっぱい出す体質を改めることが、
重要じゃないか。
先日の出版セミナーでも、
「大手出版社より中小出版社の方がいい」
という話をしていた。
なぜなら大手出版社は月に何百冊と出るので、
1冊1冊のフォローはちゃんとされず、
いずれ本屋に埋もれてしまう。
しかし月に4~5冊程度出す中小出版社なら、
ちゃんと1冊1冊を大事にして営業・宣伝してくれるから、
その方が著者にとっても本にとってもいいと。
大手がいい、中小が悪いとは決め付けない方がいい。
むしろ今は図体がでかく、
昔の慣習に捉われて機動的な対応ができない大手の方が、
かえって危機は深刻かもしれない。
なぜ売れないのか。
不景気のせいにする前に中身を見直したい。
業界慣習を見直したい。
改善できる点はいくらでもあるはずだと思う。