グレーゾーンで裁く日本の恐怖
2010年 03月 03日
すべての業界・企業がターゲットにされる可能性がある、
恐ろしい問題だ。
あなたが働いている企業が100万円で物を売っていたとする。
原価は70万円。粗利は30万円。
ある日、当然、最高裁でこのような判決が出る。
「100万円で売るのは違法。売っていい値段は50万円まで。
10年前までさかのぼって、100万円で売った人に50万円返しなさい」
こんなムチャクチャなことがあるだろうか?
50万円返したら原価割れして赤字になってしまう。
これはどこかの新興国の出来事なのか。いや違う。日本の話だ。
こんなムチャクチャなことが堂々と罷り通っている。
そしてそのせいで潰れるのがサラ金業界だ。
お金が返ってくるお客さんはいいかもしれない。
しかしこの返還金を取り戻すには、弁護士に頼まなければならず、
50万円のうち15万円程度は報酬として支払わなければならない。
日本の法律はグレーゾーンに満ちている。
わざとグレーなゾーンを作っているのではないか
というのが私の仮説だ。
なぜならグレー(灰色)は、
白にも黒にも解釈できる余地があるからだ。
時の為政者や既得権益者のニーズに応じて、
ある時は白、ある時は黒と判断できれば、こんな便利なことはない。
貸出金利の上限が法律上、
二つ存在するというグレーゾーンは数十年間、放置され続けてきた。
いや、放置というよりどちらの法律も正しいという前提のもとに、
実際のビジネスが行われてきた。
しかし2006年、最高裁判決で出資法の上限金利29.2%が事実上違法で、利息制限法に合わせるよう判決が出た。
しかもこれからそうしましょうという話ではない。
今までの分も全部返金しなさいという話だ。
こうしてサラ金は潰される運命となった。
今年6月に予定されている改正貸金業法の全面施行が行われれば、
銀行系のサラ金以外は全滅すると予想している。
私はかつて大手サラ金に勤めていた。
サラ金を擁護する気もないし、サラ金を利用したいとも思わない。
むしろサラ金なんか絶対に手を出してはダメだという
意見を持っている。
でもだからといって法律を守ってきた企業や業界が、
誰かの都合で意図的に潰されるとするなら、
それはおかしいのではないかと思う。
一体、誰か何のためにサラ金を潰そうとしているのか。
サラ金を潰すと誰が利益を得るのか。
サラ金を潰すと、多重債務問題は解決するのか。
借金苦による自殺者は減るのか。
自己破産者は減るのか。
生活保護は少なくなるのか。
今、サラ金の現場で働く社員たちを中心に、
一体、何が業界で起きているのか、取材をした。
サラ金で働く社員はヤクザでもなく
普通のどこにでもいるサラリーマンだ。
サラ金社員から見たここ数年のサラ金騒動を浮き彫りにすることで、
グレーゾーンで裁く日本社会の恐怖がわかると思う。
・・・
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