機械に負ける社員の話
2010年 04月 14日
今まで人間が行ってきた仕事やサービスが、
どんどん「機械」に置き換わっている。
例えば銀行ならATMやネット銀行があれば、
支店の窓口担当なんてほとんどいらない。
チケットやホテルの予約などもそうだろう。
近い将来、高性能ロボットが登場し、
人間の仕事を奪うとも言われている。
でもそれが悪いことなのかといえばそうではない。
人間がやるにはあまりに「苦役」な、
膨大な量の単純作業を機械がやってくれれば、
その分、人間は時間が浮き、
より高度で複雑な仕事やサービスを行うことができる。
逆に言えば、機械と同等の単純作業しかできない人材、
高度で複雑な仕事ができない人材は、
淘汰されるということにはなるが。
先日、10年ぶりに旅行会社HISの支店を訪れた。
ゴールデンウイークに海外旅行に行くため、
航空券およびホテルを手配するためだ。
私は毎年1~2回は海外旅行をしているが、
旅行会社に赴いたりすることは皆無。
なぜなら全部ネットで手配できるから。
航空券ならアルキカタドットコムなどで手配することが多い。
ホテルは基本、現地で探す場合が多いが、
インドやネパール旅行では日本からネットで予約したりもした。
そんな私が今回ネット手配ではなく、
わざわざ支店を訪れたのは、
航空券と宿泊セットの安いプランがあれば手配してほしかったことと、
GWのため予約がとりにくそうなので、
第一希望の場所が行けないのであれば、
第二希望、第三希望の場所も取れるかどうか、
手配してほしかったからだ。
もちろん上記のようなことでもすでにネットでできるのだが、
条件入力しても空きがないことが多かったので、
ネットでいろいろ探すより、
支店で手配してもらった方が手っ取り早いと思ったからだ。
支店で約1時間。
若い女性が対応してくれた。
残念ながら私の希望地の航空券+ホテルのツアーはもうないらしく、
航空券のみの手配となった。
第一希望の場所へは3航空会社が空いており、
直行便24万円、直行便22万円、乗継便17万円の3種類を提示してくれた。
第二希望の場所は航空券は23万円。
そこで第一希望の場所で乗継便を手配してもらうことにした。
ホテルも取ってほしかったが、
バカ高いホテルしかないので、
自分で取ることにした。
ここまではよかったのだが、
後の対応がひどかった。
出発がすでに2週間後と期日が迫っているので、
・全額、航空券代をすぐ振込んでほしいこと
・パスポート番号を教えてほしいこと
の2点をお願いされ、支店を終えた後、すぐ手配した。
翌日、担当者から、振込みの確認電話もなく、
パスポート番号ファックスを受け取ったとの確認もない。
心配になって翌々日電話したら担当者は休み。
代わりの人が対応してくれたのだが、
「振込みは確認できた。
パスポート番号はファックスで届いているが、
パスポートの有効期限も必要なのでファックスしてほしい」
とのこと。
おいおい、こっちから電話する前に、
パスポートの有効期限が必要なら、
連絡すべきだろうにと思いつつ、
パスポートの有効期限をファックスした。
数日たっても、ファックスが届いたとの連絡もないので、
またこちらから電話。
電話したらまたもや担当者が休み。
別の人が対応し、5分保留で待たされた挙句、
ファックスは届いており、手続きは問題ないとのこと。
発券次第、連絡するとのことになった。
何度も何度も平日日中こちらから電話し、
ファックスのやりとりしたりしているのを、
ほんとバカらしく思い、
「だったらネットで手配すればよかった」と後悔した。
ネットならば必要事項に不備があれば、
先の画面に進めないようになっているから、
パスポート番号だけでなく有効期限が必要とか、
何度もやりとりする必要はない。
金額の振込みがあれば振込み確認のメールが来る。
発券する日時や受け取り方も、きちんと連絡が来る。
GWだし期日がないから人が手配してもらった方が確実、
と思った私がバカだった。
もちろん私があたってしまった担当者が、
たまたま単に使えなかっただけかもしれないが、
日中にこちらから何度も電話しなきゃいけないって、
ネットに比べるとえらい手間。
HISは10年前にも航空券を手配した時、
私の行く先の地名がわからず、
とんちんかんな回答をしてきたので、
あまり信用ならない会社だとは思っていたが、
やっぱり二度も続くと、もう二度と利用したくないなと思う。
今回の私の例に限らず、
今や人がサービスするより、
機械やネットの方が間違いもなく、
きちんと確実に対応してくれる場面は増えた。
こうした中でわざわざコストをかけて、
支店を構え、社員を雇い、対面サービスを行う意味があるのか。
それをするなら、機械以上の付加価値を提供しなくてはならない。
果たして一人一人の社員が機械以上のサービスをできているかどうか。
それができなければ不要な人材という他ない。
ライバルは同僚でも上司でも後輩でもない。
機械やネットだ。
機械やネットに勝るサービスを客に提供できる人材かどうか。
それが今、あらゆる職種で問われているのではないかと思う。