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ちょっといい話

私の工場写真集やブログの文章で、
励まされたという読者の方とお会いした。
そんなちょっといい話。

彼は、病院で働いていたが、
仕事の過労から体も心もボロボロになるほど疲れ果て、
休職せざるを余儀なくされた。

3ヶ月の休職。
少しずつ疲れを癒していくなかで、
そろそろ復帰に向けてリハビリをしなくては、
と思っていた。
そんな彼は10年ぶりにカメラを手に取った。

以前はカメラの仕事をしていたが、
苦い経験などもあり、
二度とカメラには触るまいと思っていた。
そんな彼は久しぶりに何か撮影しようと思った。
仕事ではなく、リフレッシュするために。

そんな時、私の撮影した工場写真集「工場地帯・コンビナート」に出会った。
人と接する仕事で疲れていた彼は、
無機質な工場の夜景に興味を惹かれた。
私の工場写真集には巻末に、
撮影ベストスポットの地図が掲載されている。

「カメラマンなのにこんなに撮影場所を教えてくれるなんて!」
そう思って彼は写真集を手にし、
工場地帯撮影めぐりに出かけ、
工場夜景の美しさとその撮影によって癒された。

休職期間が終わり、そろそろ復帰しなければならない時期にきて、
彼の中にある迷いが生じていた。
このまま病院に復帰すべきか。
それともこれを機にカメラの仕事に転身しようかと。

撮影をしている彼の姿を見て、妻がこう言った。
「撮影している方が楽しそうだね」

彼は決心した。
病院を辞めて、再びカメラを手に取り、
好きな撮影で仕事をしていこうと。

病院を辞めてフリーのカメラマンになったものの、
何度となく葛藤があった。
こんな歳でフリーのカメラマンなんかになって大丈夫なのか。
この先、食っていけるのか。
やっぱり病院に戻ろうか・・・。

そんな迷いがあった時期に、
私がブログで「好きを仕事にする方がいい」
といったことなど、
人生を前向きに生きるヒントとなるような日記に、
何度となく励まされたという。

「自分はきっともっとできる。
もうちょっとがんばってみよう」

こうして今、彼は、フリーのカメラマンとして、
順調に新たな人生を歩み始めている。

私の写真集がきっかけで写真を再び始めることになり、
写真の道を決めた後も何度も日記で励まされたと、
彼から直接話を聞いて、私はとってもうれしく思った。
私の写真や文章が誰かの心を動かして、
人生を前向きに歩むのに役立っている。
むしろ私自身が自分の活動の励みになった。

私は写真も文章も好きでやっている。
誰かの心を動かしてやろうとか、
お金儲けをしようとか、
そういうことは二の次であって、
まず第一は自分が心動かされたものを、
写真を撮ったり、文章を書いたりして、
ただそれをひたすら毎日続けている。

でもそれが結果としてこうして誰かの役に立っている。
それがとてもうれしかった。
やっててよかったなと。

そんないい“仕事”をしていきたい。

そんないい“仕事”をする秘訣は、
まず何よりも自分が楽しむこと。
いやいや仕事をしている人から、
心を動かされることはないだろう。
働いている人が楽しいからこそ、
その楽しさや感動が人に伝わるのだと思う。

誰かから命令されて、
いやいやする「やらされ仕事」ではなく、
誰かの役に立ちたいと思い、
自ら率先して仕事をする意識に転換すること。

それが自分も他人も社会も、
ハッピーになる秘訣ではないかと、
あらためて気づかされた。

ライターは読者によって支えられている。
写真家は見る人によって支えられている。
そんな当たり前のことがうれしい。

・写真集「工場地帯・コンビナート」

by kasakoblog | 2010-04-17 18:29 | 働き方

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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